岸田外交、初訪米で同盟強化 問われる対中韓関係

2021.11.11
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by 時事通信


首相官邸に入る林芳正氏=10日午後、東京・永田町

首相官邸に入る林芳正氏=10日午後、東京・永田町

  • 皇居での親任式のため、首相官邸を出る岸田文雄氏=10日午後、東京・永田町

 首相は10日の第2次内閣発足を受け、「岸田外交」を本格始動させる。来月上旬に召集予定の臨時国会前にも米国を訪問する方向で調整しており、まずは外交の基軸である日米同盟の一層の強化を図る方針。経済・軍事両面で影響力を増す中国には「硬軟両様」で臨む構えだ。
 首相は10日の記者会見で早期訪米に意欲を示し、「日米同盟のさらなる強化、自由で開かれたインド太平洋の実現へ連携していく」と表明。中国やロシアに対し「主張すべきは主張し、毅然(きぜん)とした外交を進める」と述べた。拉致問題の進展に向け、北朝鮮の金正恩総書記と「条件を付けずに直接向き合う決意だ」と語った。
 首相は英国訪問中の2日、バイデン米大統領と就任後初めて対面で短時間会談した。年内訪米が実現すれば本格的な首脳会談となる。外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)も近く予定される。こうした機会に、4月の共同声明で掲げた「防衛力強化」の具体化や、「国家安全保障戦略」改定などについて、日本側の取り組みを説明したい考えだ。
 「安定的な関係構築」が課題の中国をめぐっては、外交ボイコット論がくすぶる来年2月の北京冬季五輪への対応が当面の焦点となる。背景には香港や新疆ウイグル自治区の人権問題がある。首相は国際人権問題担当首相補佐官に中谷元・元防衛相を起用したが、中国政府は首相方針に「内政に外部勢力の干渉を許さない」とすかさずけん制した。
 第2次内閣では外相に・元文部科学相を起用した。林氏は超党派国会議員でつくる「日中友好議員連盟」の会長を2017年から務める「親中派」。中国要人ともパイプがある。その林氏は8日の民放BS番組で「『知中派』であっていいが、媚中ではいけない」と強調。中国の人権問題にも「深刻に懸念すべき問題だ」と首相と歩調を合わせた。
 元徴用工問題などで険悪化する韓国との関係でも、首相の手腕が問われそうだ。元徴用工への賠償をめぐる日本企業の資産の「現金化」が現実味を帯びている。日本政府は1965年の日韓請求権協定に反するもので認められないとの立場。首相は具体的な行動を引き続き求める方針だ。(2021/11/11-07:45)

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