「物言う株主」取締役に 綿引氏、選任後に辞任―東芝株主総会

2022.06.28
0
by 時事通信


東芝の株主総会に向かう人たち=28日午前、東京都新宿区

東芝の株主総会に向かう人たち=28日午前、東京都新宿区

 東芝は28日、東京都内で定時株主総会を開き、「物言う株主」出身の2人を含む取締役13人全員の選任案を賛成多数で可決した。ただ、2人の選任案に反対していた綿引万里子社外取締役(元名古屋高裁長官)が辞任。東芝は大株主とのこじれた関係を修復し、株式の非上場化を含めた経営の抜本改革を加速させたい考えだが、前年に続き取締役が選任直後に辞任する異例の事態となった。
 今回選任されたのは、大株主の米資産運用会社ファラロン・キャピタル・マネージメントの今井英次郎氏、米エリオット・マネジメントのナビール・バンジー氏ら。総会後の取締役会では、綱川智前社長に代わり、M&A(合併・買収)助言会社フーリハン・ローキー(東京)の渡辺章博会長を取締役会議長に選んだ。
 東芝によると、「綿引氏は、取締役会が一体となって進むためには自身が退任することがふさわしいと考え、辞任するとの申し出があった」としている。総会前までの議決権行使結果では、綿引氏に対する賛成比率は65.87%、今井、バンジー両氏は75~76%台だった。
 綿引氏は6月初旬、物言う株主2人の選任案に「公平性を欠く」と反対を表明。総会でも、株主からの質問に対し「(取締役の)多様性、公平性、バランスの良さが欠けている」と反対理由を説明した。綿引氏の辞任に伴い、総会前に8人だった東芝の取締役は12人になった。
 総会では、島田太郎社長が「取締役候補者は企業価値向上に向けた検討とガバナンス(企業統治)改善の観点から最善と考えている」と強調。一方、一部株主からは「(物言う株主出身者の選任で)利益相反の懸念はないのか」などの声も上がった。(2022/06/28-20:41)

print

人気のオススメ記事