ブラックホール撮影に異論 リング状構造「見えず」―国立天文台助教ら独自解析

2022.06.30
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by 時事通信

 国際共同研究プロジェクト「イベント・ホライズン・テレスコープ(EHT)」が2019年4月、初めて撮影に成功したと公表したブラックホールについて、国立天文台などの研究チームは30日、独自解析の結果、EHTが公開したような光るリングの中にブラックホールの影が写る画像は得られなかったと発表した。論文は同日付の米科学誌アストロフィジカルジャーナルに掲載される。
 EHTは17年4月、世界各地の電波望遠鏡を連携させ、地球から約5500万光年離れた楕円(だえん)銀河M87中心部の巨大ブラックホールを観測。約2年間の解析を経て、得られたデータから画像を構築、公開した。
 国立天文台の三好真助教らは、EHTが公開したデータを別の手法で解析した。その結果、リング状ではなく、ブラックホール本体があるとみられる「コア」から、高速のジェットが噴き出す構造が得られたという。
 三好さんは、EHTの研究チームが解析対象としたエリアは狭く、データに偏りが生じたと指摘。「M87はジェットで有名な銀河だが、EHTチームは検出できていない。私たちの結果はジェットも見えており、過去の観測とも整合する」と話した。
 国立天文台はEHTの参加機関の一つだが、三好さんらは加わっていないという。
 EHTはホームページで「四つの独立した解析がリング状構造を再構築しており、われわれの論文を補完している」と主張。三好さんらの説明について「誤った理解に基づき、誤った結論を導いている」と反論した。(2022/06/30-20:32)

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