救済新法、自民が譲歩案 配慮義務違反なら勧告・公表―6日に審議入り
自民党は5日、立憲民主党、日本維新の会との3党幹事長会談で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題を受けた被害者救済新法案の修正案を示した。宗教法人などが「配慮義務」に反した場合、行政機関が必要な措置を勧告し、法人名を含めて公表できるようにすることで、実効性を高める。施行後3年をめどとしていた見直し規定も「2年をめど」に短縮、野党に歩み寄った。
修正案は、法人が献金などを勧誘するに当たっての配慮義務が順守されず、「個人の権利保護に著しい支障が生じている」場合に勧告・公表し、必要に応じて法人に報告を求めるとした。
これに対し、立民の岡田克也氏は「禁止と明確化しないといけない。配慮のままでは使えない」と述べ、さらなる修正を要求。一方、維新の藤田文武氏は一定の評価を示したが、賛否は明確にしなかった。ただ、同党の馬場伸幸代表は秋田市で記者会見し、修正案を踏まえ「100点満点で60点ぐらいまでに成熟してくれれば、賛成する可能性は高まってくる」と述べた。
会談後、自民党の茂木敏充氏は「今国会で成立を期すことについては、立民、維新と一致をみた」と記者団に明らかにした。岸田文雄首相は自民党役員会で「会期内成立に向け全力を尽くしたい」と強調した。
政府案は法人側に対し、(1)自由な意思を抑圧し、適切な判断が困難な状態に陥らせない(2)個人や家族の生活維持を困難にしない(3)勧誘する法人名などを明らかにし、寄付金の使途を誤認させない―の3点の配慮義務を設けた。野党はこれでは十分な効果は望めないとして、違反すれば罰則対象になる禁止行為とするよう求めている。
救済法案は6日、衆院本会議での趣旨説明を経て、衆院消費者問題特別委員会で審議入りする。同特別委は5日の理事懇談会で、与党質疑を6日に行い、参考人質疑を7日にも実施することで合意した。野党は十分な審議時間の確保や首相出席を求めた。(2022/12/05-19:08)