増える10代の少年少女による殺人事件。命に価値を見出していない少年少女たちに命の大切さを伝えるためには何をすればいいのか。『子どもを伸ばす 親力アップの家庭教育』では、3つのステップで子どもに働きかけることが大切だと伝えています。
子どもたちに命の大切さを伝えるには?
子ども達に命の大切さを伝えるためには、具体的にどうしたらいいのでしょうか?
家庭教育アドバイザー 柳川由紀さんの回答
何度となく報じられてきた10代の少年少女による殺人事件。ニュースを耳にするたびに胸が痛みます。少年少女たちは命に価値を見出していないような気がします。
お互いを尊敬し合ったり、いたわり合ったり、大切に思ったりする気持ちが薄れているとも思います。
これは少年少女に限ったことではなく、社会全体としてです。
子ども達が相手を思いやり、命の大切さを感じとるためには、大人達がそうした社会を作っていかなければなりませんね。
次の3つのポイントに注目して子どもに働きかけましょう。
1.無関心を捨てる
命の大切さを知るには、身近で何か起こらないと気づきにくいもの。
多くの人は、周りのこと、人のことに無関心というのが現状です。ですからまずは周りのことに関心を持つこと、持たせることが心の成長にもなるのです。
人に対してだけではなく、例えば、「近くで物音がしたけど、別に関係ないか」ではなく「あの物音なんだろう? 大丈夫かな」と、普段から何にでも関心を持つことです。
2.身近な、動物や植物と触れ合う
土を耕し、種を蒔くと花が咲き、やがて枯れて実を付けます。その実が種になり、また芽を出し新たな命が循環します。
同じようにおたまじゃくしが蛙になり、青虫が蝶になり、やがて子を残して死んでいきます。
子どもたちはこうした自然の摂理を目の当たりにしていますか?
自然環境が少なくなった今、意識してこうした環境に身をおく機会を見つけましょう。
3.「いただきます、ごちそうさま」の意味を実感させる
「いただきます」とは「あなたの命を、私の命にさせていただきます」の意味。
今83歳の母は、叔父が戦地に向け出征する日、叔父の好物であるカレーライスを親戚一同で食べてから送り出したそうです。
お肉などしばらく見たことがなかったため、母たち兄弟姉妹は、とても喜んだそうです。
ところが翌朝、チャボが一羽いません。
そこで初めて、昨日カレーライスに入っていたお肉が、いつも自分たちで面倒を見ていたチャボだったと気づきました。
子ども心にとても悲しくなった一方で、自分の糧となってくれる食べ物に「ありがたい」という思いを感じ、
改めて「いただきました」と声にしたそうです。
母は、だから食べ物を粗末にしてはならないと強く感じたそうです。
家庭教育アドバイス・・・「おかげさまの心」
「命の大切さを教える」とはつまり「命を大切だと思う心を育てる」ということ。
言葉でどんなに何度も「命は大切だ」と繰り返しても、本人が心から「大切にしたい」と感じなければ意味がありません。
そのためには、まず自分自身の存在を大切に思うことからスタートです。
自分から10代前(およそ250年から300年前)に遡ると、ご先祖様は1024人。
このうち誰か一人でも欠けたら今の自分はいません。ですから今の自分という存在はとても奇跡的なのです。
自分が生きているのは、こうしたご先祖様をはじめとしたいろいろな人の支えや積み重ねがあるおかげです。
人は自力で生きている、と思うのは錯覚です。太陽、地球、自然の恵みを受け、他人様のお陰で生き、生かされているのです。
それを実感すると「お陰様で」という他人様への感謝の心に繋がります。
感謝の心を持つということはすなわち、人はもちろん動植物の命も尊重できるようになること、
また相互依存関係の中で生かされ、生きていることを自覚することです。
この自覚が、思いやりや優しさ、そして命を大切だと思う心を育てるのです。
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家庭教育のプロとして、教育相談員の経験を生かしながら、親としての接し方のコツをお伝えします。専門である教育心理学、家庭教育学をベースに家庭の中でできる「子どもを伸ばすためのコミュニケーション術」を「親の力」に視点を置き、毎週月曜、木曜の二回に亘って配信予定です。乳幼児、小学生、中学生、高校生、大学生など発達段階に応じた子どもへの声掛けを具体的にご紹介します。
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