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経営者には、意外にも「ヤンチャ」な人が向いている

起業を考えているのなら必ず考えておかなければいけない、人材の配置。誰しも得意分野、不得意分野がありますよね。そのタイプを知った上で、適材適所で人材を配置しなければなりませんが、その基準やコツはあるのでしょうか。メルマガ『戦略経営の「よもやま話」』では、有名な起業家を例に上げながら仕事のタイプを紹介、それらを活かすために取るべき方策を紹介しています。 

成功のための「自己分析」

万能の才能の人などおらず、それぞれが活躍できる分野は異質です。ために成功を収めるには、自身の得意を知ることが要件になります。大きく分けて経営者タイプ専門家タイプ特殊才能タイプがあります。組織は、いろんなタイプの人が協働することによって成果を実現させています。経営者に求められるのは、専門家特殊才能最高に活用させることです。

もちろん企業の成果の最終責務は、経営者が負わなければなりません。そのために最終意思決定権が委ねられているのであって、それは固有の責務と対を成すものです。これが奥義なのでしょうか、業績のよい中堅企業ほど「販売する商品の最終チェック」は他人に委ねず経営者自身が見て触れて使用して行っています。

人間とは面白いもので、委ねられて責任が負わさてはじめて真剣になります。パナソニック(旧松下電器)が事業部制をとったり京セラがアメーバ組織を採用するのは、成果について真剣に責任を感じ、考える人を増やすためです。少し話が横道に逸れますが、松下さんが責任者を選ぶとき「運の強い人」を選んだそうで、東郷平八郎が連合艦隊司令長官に選ばれたのもその理由です。

タイプ論に話を戻しますが、人それぞれに特異とする能力があり専門家の人は経営者マネジャー)に向きません本田宗一郎さんのような専門家タイプの人がマネジメントに立障ると不都合がおこってしまい、藤沢武夫さんに会社の実印ごと委ねました。「社長」としてもっとも経営の本質知った勇気ある賢い判断だと言えます。

ただし、この2人の例は稀有なことあったとしても普遍的な判断です。経営者専門技術について理解していることを要しますが、求められるのはマネジメントの専門知識であり精神であり実行力です。ソフトバンクの孫さんなどは、最も一流の専門家の活用に秀でた人のようです。IPS細胞の山中教授なども、経営感覚の抜群の人のようです。

専門家タイプの人は不得意な経営にタッチしない方がよく、その場合は本田さんのようにマネジメントに精通した真摯な人協働することが求められます。原則として、自分が専門家タイプであると感じたら社長となることには不都合ないのですが、専門分野に専念し有能なマネジャーを見つけることです。どちらにしても専門家とマネジャーは、協働してこそ総合力を発揮します。

企業の創業を目指す人は、最初に「自分の得意な才能」を知らなければならず、そこから必要とされるチーム・メンバーを考え編成しなければなりません。

最後のタイプ、「特殊才能タイプ」についても身の処し方を考えてみます。このタイプの人が「世に立つ」には、有能なマネジャーの存在はかかせません。少しうがった例ですが、「ヘレン・ケラー」は「アン・サリヴァン」の献身により教育家、社会福祉活動家として社会にできることできました。小林幸子が紅白歌合戦に出られなくなったのも、この例なのかもしれません。

才能はいずれが上でいずれが下ということはなく、それぞれの成果のために発揮できる能力分野が異なるだけですべてが必要です。組織は成果を達成するためのものであり、経営者は主に「マネジメントのエッセンス」を「分かって」経営(マネジメント)することが必要です。ホンダは、技術者社長のエッセンスを重視しています。

経営者には意外に「ヤンチャ」な人が向いているようです。大手中堅で「業績の良い」企業のトップには、元体育会系の主将経験者等がそれなりに見受けられるようです。創業者が経営者として大成するには、多くの失敗や辛酸を舐めなければならずそこで「分かった」ことがホンモノの経営力として身につけられて行きます。

大成するすべてのタイプの人について共通するのは、その道で最初から一流になることを目指すこととやり抜くことです。「運は準備が整った人に開かれる」と言われています。「準備」とは、自身の好きなこと得意なことに関して一流を目指して地味に忍耐づよく育成を続けることが唯一の方策であるといえそうです。

image by: Shutterstock

 

 『戦略経営の「よもやま話」

著者/浅井良一
戦略経営のためには、各業務部門のシステム化が必要です。またその各部門のシステムを、ミッションの実現のために有機的に結合させていかなければなりません。それと同時に正しい戦略経営の知識と知恵を身につけなければなりません。ここでは、よもやま話として基本的なマネジメントの話も併せて紹介します。
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