スマホやタブレットが普及し手軽に情報を得ることができるようになり、腰を据えて本を読む人が減ってきていますが、そんな今こそ「教養をつける読書」をすべき、というのは『毎日3分読書革命!土井英司のビジネスブックマラソン』著者の土井さん。今回は、「教養としての読書の作法」が身につく1冊を紹介してくださっています。
『自分を変える読書術』堀紘一・著 SBクリエイティブ
こんにちは、土井英司です。
出版業界は、昨年に続き産業規模を縮小しましたが、だからといって、ビジネスにおける読書の効用が減ったわけではありません。
むしろ、読書をしなくていい、スマホでニュースを見ていればいい、という層が増えれば増えるほど、読書をする人には差別化のチャンスがあると考えています。
ただ、今後心掛けるべきなのは、「武器としての読書」ではなく、「教養をつけるための読書」でしょう。
いまや戦術・武器を得るための情報はスマホのほうがはやく、読書の役割は、もっと根幹部分、思想や戦略、問題発見、問題解決を学ぶ部分になってくるでしょう。
そこで読んでおきたいのが、教養としての読書の作法。なかでも、優れた本を読み、優れた実績を出している方の読書論には注目したいところです。
本日ご紹介する1冊は、東大、読売新聞経済部、三菱商事を経て、ハーバード・ビジネス・スクールでベイカースカラー(成績優秀者)に選ばれ、その後ボストン・コンサルティング・グループで日本代表、さらに起業して一部上場企業を創った堀紘一さんが、その読書術を公開した1冊。
生まれや学歴をひっくり返す「読書」の効用と、読むべきジャンル、読み方、さらには著者おすすめの6冊が紹介されており、じつに興味深く読ませていただきました。
読書の効用として、語彙が増えること、教養ある方と交流できることなどを挙げており、まさに我が意を得たりといった内容でした。
さっそく、エッセンスをチェックしてみましょう。
◆楽しく生きる3通りの方法
- 金持ちの子どもとして生まれること
- 有名人の子どもに生まれること
- 読書で教養を身につけて一流の人間になること
耳学問で聞いて学べるような人物は基本的に頭のよい人たちだから、読書を通じて教養ある一流人になってくると「こいつは若造だけど、なかなか勉強しているな」と見抜いてくれる
読書で表現力が磨かれるのは、第1に本を読むとボキャブラリー(語彙)が増えるからだ。アメリカで行われたある調査によると、ウエストサイドの下層の人が日常的に使っている語彙は、たったの3,000語(中略)大学で学んだアメリカ人の語彙となると、その10倍以上の5万語にまで広がるといわれる。英単語を5万語知っていれば、新聞を読んだり、社会科学の本を読んだりしても理解できる
大学を出たというレベルでは、教養人の半分の語彙しかない
遺伝的要因に恵まれていないとしたら、環境因子に頼る他ない
環境因子を左右する重要な要素のひとつに、よい師匠に巡り合えるかどうかが含まれている
◆ビジネスパーソンが読むべき4つのジャンル
・生物学 ・歴史 ・軍事学 ・哲学
ビジネスとは、1日のなかでどうやって有効な時間をひねり出すかの知恵比べをしているようなもの。「忙しい」が口癖になっているタイプは、その知恵がないと自ら白状しているようなものである
ビジネスパーソンの読書を前提にすると、私は「4:3:3」というバランスがよいと思っている。つまり「ビジネス書40%、小説30%、その他30%」ということである
世の中には速読のハウトゥー本が横溢しているけれども、私は横着するのが大嫌いだ。人生で成功するのは何事にも丁寧な人であり、横着なタイプが人生で成功するというのは考えにくい
「ハーバード・ビジネス・スクールとはどんなところか?」という質問に私がひと言で答えるならば、「なにが問題かを考えることを教える学校だ」と答えるだろう
坂井は敵機が照準器からはみ出すくらいまで近づいて撃つから、撃墜率が高かった。この話を読んだとき、何事も目標に肉薄しないと成果は得られないと思い、以来胸に刻んでいる
ビジネスパーソンが読むべき4つのジャンルとして、生物学、歴史、軍事学、哲学を紹介しており、それぞれの学びどころを指南しています。
おすすめ書も骨太なものが選ばれており、それぞれの本から著者が何を学び取ったのか、その詳細が書かれています。
今年1年の読書計画を立てる際の参考に、ぜひ読んでみてください。
image by: Shutterstock
『毎日3分読書革命!土井英司のビジネスブックマラソン』
著者はAmazon.co.jp立ち上げに参画した元バイヤー。現在でも、多数のメディアで連載を抱える土井英司が、旬のビジネス書の儲かる「読みどころ」をピンポイント紹介する無料メルマガ。毎日発行。
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