MAG2 NEWS MENU

節分の「豆」知識。どうして豆で鬼が追い払えるのか?

「鬼は外!福は内!」―。節分は悪い鬼を追い払って、福の神を家に呼び込むというのは何となく知っていますが、そもそも鬼って何? 何で豆で追い払うの? 考えたらたくさん疑問が出てきますよね。無料メルマガ『おもしろい京都案内』では、そんな節分にまつわる“豆”知識と「京都節分おばけ祭」という一風変わったイベントについて詳しく紹介しています。

京都の節分はハロウィン?

今日は京都の節分にはハロウィンのような風習があることを紹介します。そして、節分の行事、由来、鬼の正体などを合わせてお伝えします。

節分の日の京都はハロウィンのような光景を目にすることがあります。「節分お化け」という風習があり、街の人は仮装をして歩いているのを見かけます。

陰暦(旧暦)で正月にあたるのは立春の日曜日です。その大晦日である節分に仮装をして寺社にお参りし1年の厄を落とすという行事です。これは平安時代まで遡るとされているので、千年の歴史があります。

どうして仮装するのか? これは仮装することによって、節分の夜に出現するとされる鬼を驚かし撃退するためなのです。立春前夜は、暗い季節から明るい春の季節になる変わり目の時期です。また旧暦では1年の始まりです。

このような季節の変わり目や年月の変わり目は秩序が大きく変わり不安定な時期とされてきました。豆まきなどの行事と同じように、「節分お化け」もそうした民間信仰のひとつとして今も続いているのです。最近では京都の幾つかの町では地域によって「節分お化け」の取り組みをしているところもあるようです。

京都節分おばけ祭り 公式サイト

そして花街で芸舞妓が行なう行事としても知られています。芸妓などが時代劇やスポーツ選手など、様々な扮装をして座敷に出るそうです。また時には客の方が芸妓や舞妓に扮して他の客の座敷に出ることもあるそうです。通常このようなことはタブーですが、節分お化けの時は特別だそうです。花街のお化けは、厄年の人が変装して厄払いをすることも行われると言います。

そもそも「鬼」って何者?

」は、安倍晴明で有名な陰陽師の「おん)」に由来 します。鬼は、「おぬ)」にも由来する言葉です。「陰」「隠」は、「目に見えない邪気」「この世のものと思えないもの」、怖いものです。災害や疫病、飢饉などの災いなどはこの「の仕業だと考えられていたのです。人間の想像を超えた恐ろしい出来事はみんな鬼の仕業と考えられていたのです。

節分は大晦日

新しい年(立春)を迎える前日(立春の前日・節分 )に、鬼に豆をぶつけます。そして邪気(鬼)を払い、福を呼びこもうとしたのです。最近は恵方巻きを節分に食べるというのがブームになってきました。しかし一昔前まで節分で食べるものは鰯(いわし)でした。

なぜいわしを食べるのか?

昔から臭いのきついものや尖ったものを厄払いに用います。鬼の嫌いなものは「臭い鰯(いわし)の頭トゲが鋭い柊(ひいらぎ)」です。京都では今でも鰯の頭を焼いて柊の枝に刺し、家の戸口に置いて鬼の侵入を防ぐという風習があります。最近ではだいぶこの光景も減ったようですが、いわしの塩焼きが節分の食卓に上がる家庭もあるそうです。

そして、京都の寺社仏閣で行われるのが「追儺式(おにやらい)」です。邪気を追い払うために、節分には古くから豆まきの行事が行われてきました。平安初期、宇多天皇の時代に鞍馬山の鬼が出て来て都を荒らしたと伝えられています。すぐさま鬼の穴を封じ、大豆で鬼の目を打ちつぶし、災厄を逃れたと言います。この時の故事伝説が鬼の始まりだとされているようです。は語呂合わせで「魔目まめ)」を鬼の目に投げつけて鬼を滅する。また「魔滅」に通じ、鬼に豆をぶつけることにより、「滅する」ことになります。いずれにせよ邪気を払い、1年の無病息災を願うという意味があるのです。

豆をまき、まかれた豆を自分の年齢(数え年)の数だけ食べる。また、自分の年の数の1つ多く食べると、体が丈夫になり、風邪をひかないとも言います。鬼は虎の毛皮を身にまとい、表面に突起のある金棒を持った大男です。肌の色によって「赤鬼」「青鬼」「緑鬼」などと呼ばれます。鬼は牛の角を持ち、虎の牙と爪を持ち、虎の毛皮を身に付けています。

鬼が入り込むとされる鬼門は北東の方角です。北東の方角は丑寅(うしとら)です。だから、鬼は牛と虎の合いの子の様な姿をしているのです。それに勇敢に立ち向かい鬼門を守護するのはです。これは裏鬼門の方角南西は未申(ひつじさる)だからです。鬼門の正反対にいる猿が「難をサル」状態にするために鬼門を守護しているのです。だから京都御所の北東方向の「猿が辻」に猿を置いて都を守っているのです。

御所の猿が辻、延暦寺の鎮守社・日吉神社、赤山禅院、幸神社(さいのかみのやしろ)は御所の北東の線上に存在します。このいずれの場所にも烏帽子を被り御幣を担いだ猿が安置され今も都を守護しています。これこそが京の都を1,200年以上守ってきた最高のセキュリティーシステムなのです。

※ 詳しくは「京の都を守護する最強のセキュリティーシステム(メルマガ「おもしろい京都案内」第4号)」をご覧下さい。

image by: Wikimedia Commons

 

おもしろい京都案内
毎年5,000万人以上の観光客が訪れる京都の魅力を紹介。特にガイドブックには載っていない京都の意外な素顔、魅力を発信しています。京都検定合格を目指している方、京都ファン必見! 京都人も知らない京都の魅力を沢山お伝えしていきます。
<<登録はこちら>>

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け