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中国が異常な量の金(ゴールド)を世界から買い漁っているワケ

止まらない世界的な株安ですが、経済崩壊が囁かれる中国に今、世界中から異常な量の金(ゴールド)が集まりつつあります。「有事の金」の常識を肌で知る中国が資産保護のためにかき集めていると見られますが、メルマガ『高城未来研究所「Future Report」』の著者・高城剛さんは、「高値で金を買わせた上で一気に暴落させ、中国を危機に陥れる戦略が取られている可能性がある」と指摘しています。

中国に集まる異常な量の金(ゴールド)が暗示するもの

今週は、かなり多くの方々からご質問を頂戴しております、今後の世界経済の行方につきまして、私見たっぷりにお話ししたいと思います。

現在、リーマンショックを大きく超える世界的株価の暴落が続いています。原因はチャイナショックやらドイツ銀行のCOCO債やら日本のマイナス金利やらと様々言われていますが、問題はリーマンショック以降の各国金融政策のツケが回ったとみるべきだと思います。英テレグラフ紙によれば、「世界は次の金融崩壊に耐えられない。私たちが知る資本主義は終わりになるかもしれない」とまで述べています。

The world can’t afford another financial crash ? it could destroy capitalism as we know it

この問題は、1990年代後半、当時ビル・クリントン大統領が「不倫スキャンダル」で糾弾される中、まるでそれをもみ消すがために、メディアを事実上支配するウォール街と悪魔の取り引き」をしたことに端を発すると僕は見ます。1999年、世界恐慌の時に二度と同じことが起きないように策定したグラス・スティ-ガル法を廃止するグラム・リーチ・ブライリー法にクリントン大統領がサインし、銀行がリスクの潜む自己勘定での取り引きを行う投資銀行業務を出来るようにしたのです。これにより、のちにサブプライムと呼ばれる問題が発覚し、リーマンショックへと連なることになります。

当時、就任したばかりのオバマ大統領は、「問題は、(クリントン大統領がサインした)グラム・リーチ・ブライリー法が大恐慌以来禁止されていた投資銀行、商業銀行と保険会社を所有することができる巨大な金融スーパーマーケットの創造を許可した規制緩和に至ったからだ」と述べ、その規模は、あまりに大きく、絡み合っていて、潰せないサイズまで膨張していました。

そして、リーマンショック以降の世界経済を立て直す、というより延命策は、事実上各国の「超金融緩和」だけであり、そのツケが、現在まわりはじめているのです。そして現在の株価大暴落の状況は「超金融緩和」政策の総量から見れば、まだ序章に過ぎません

また、今回の世界的大暴落に際しまして、多くの方々から、有事の際の金ゴールド)につきまして、ご質問を頂戴します。

現在、異常な量の金(ゴールド)が、世界中から中国に集まっています。

Record UK Gold Export To China In September, Chinese Gold Import Reaches 156t

英国だけでなく、スイスや米国の金(ゴールド)が中国に集中している上に、中国は今月、金(ゴールド)の保有高を公表するのを廃止しました。その理由は定かではありません。

昨年、中国の主婦の間で、資産を金(ゴールド)にして保有する動きが大きくなっていることは本メールマガジンでもお伝えしましたが、過去に文化大革命等を経験している中国人は、国家や通貨をそこまで信用しておりませんので、ある一定額を金(ゴールド)に換えて持ってリスクを回避するのが一般的です。これは香港でも同様で、それゆえ街中に「銀行」ではなく「金行」が多くあるのです。現在、中国では5年前と比べて、金(ゴールド)の取り引きは、700%増にも登っています

China is on a massive gold buying spree

中国人はまさに「有事の金」を肌で理解し、また、世界中の金(ゴールド)が中国に集まるということはそれだけ中国の危機が近づいていると見ることもできますが、もし、石油価格同様、英米が裏で手を握りながら中国に金(ゴールド)を高値で買わせ、一旦釣り上げながら、その後一気に暴落させ、中国をボロボロにし相対的に自国の価値を高める戦略をとっているとしたら大変なことになります。

世界中の誰もが「有事の金」だと思っていますが、だからこそ僕は危険が孕むと考えます。そこから考えられることは、今後数年間で金(ゴールド)が暴騰と暴落を繰り返す可能性がとても高いということです。

紙やデジタルの数字でしかない通貨は、いくらでも増やすことができますが、現物資産としての金(ゴールド)は増やすことはできません。しかし、金(ゴールド)を担保にドルを借り入れ、そのドルでまた金(ゴールド)を買ったり、ETFや先物市場に膨れ上がった通貨を集中させることで、価格をコントロールすることが可能なのが現代の金融システムです。すなわち、金(ゴールド)を使った「現代の錬金術」がここに生まれることになります。

原油価格をコントロールされたことにより、ロシアをはじめ資源で伸びてきた新興国は、現在未曾有の危機に瀕しています。もし、同じように金(ゴールド)を「誰かに」コントロールされ、中国を危機に陥れ、相対的に米国や英国の価値を高める可能性は、現段階では拭えません。

誰もが考える「有事の金」。常識だと言われることだからこそ、大きな危険が孕むことを忘れてはなりません。

image by: Shutterstock

 

高城未来研究所「Future Report」』より一部抜粋

著者/高城剛(作家/クリエイティブ・ディレクター)
1964年生まれ。現在、コミュニケーション戦略と次世代テクノロジーを専門に、創造産業全般にわたって活躍。毎週2通に渡るメルマガは、注目ガジェットや海外移住のヒント、マクロビの始め方や読者の質問に懇切丁寧に答えるQ&Aコーナーなど「今知りたいこと」を網羅する。
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