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知育玩具を子供に買う親は、感性が豊かじゃないというこれだけの理由

耳あたりの良い宣伝文句に「子供の感性を育ててくれそう」と思っておもちゃを購入した経験、ないでしょうか。しかし、無料メルマガ『ビジネス発想源』の著者・弘中勝さんは、自身がゲーム会社に勤めていた頃の経験を振り返り、大学教授などの推薦文がついた、いわゆる「知育玩具」について否定的な意見を述べるとともに、親として気をつけたいことについても記しています。

感性を伸ばすと言っても

うちには4歳と1歳の子どもがいるのですが、私はこれまでに一度も

「子どもたちの感性を伸ばす」
「子どもの感受性を豊かにする」

などの売り文句で販売されている玩具や教材を買ったことがありません。正直、それを売り文句にしている時点で、あまり信用していないのです。それは、自分がゲーム会社に勤めていた頃の経験から来ています。

私が勤めていたゲーム会社では、数多くのキャラクターもののゲームの制作依頼が多かったこともあり、たくさんの玩具メーカーから新商品発表の展示会に呼ばれることが多くありました。

そして、私が転職したその頃にちょうど、いわゆる「知育玩具」がたくさん出てくるようになり、そんな「子どもの感性を~」「子どもの感受性を~」といった売り文句がやたら使われていたんですね。私はその頃は独身で子どももいませんでしたが、以前にずっと教育業界にいたこともあるのでこういうことには結構興味があり、

「子どもの感性の、どの部分が伸びるんですか?」
「子どもの感受性の、どういう点が豊かになるんですか?」

と、けっこう根掘り葉掘り聞きました。結局、自分が納得できる回答は1つもありませんでした。それは当然のことで、要するにこれを作ったのはおもちゃ屋さんであって、教育に関してはド素人なわけです。

結局質問して得られた結果をまとめたら、「子どもの感性を豊かにするって言ったら、バカな親が真に受けてすぐ買って儲かるから」という理由であることが明らかに分かりました。

そして少しでもその根拠を持たせるために、「ナニナニ大学の何とか教授監修!」という売り文句もつけて、その監修の方法はこんなので監修料はいくらが相場、なんていう話をいろいろと聞いて、「そういうマーケットなんだなあ…」と思いました。

今はもちろん、その頃から比べて、知育玩具ひとすじだった開発者たちもプロの教育者に匹敵するほどにノウハウを得ていると思うのですが、それでもやっぱり思うのです。「感性を豊かにする、という売り文句を見て、これは感性を豊かにしてくれるのだと判断するような親が感性が豊かなはずがない」ということを。

結局、子どもの感性が豊かになるためには、そもそも親の感性が豊かであって、そんな親の後ろ姿や過ごし方を見ながら子どもは感性を育てていくものなんじゃないか、と思うわけです。

親がバカなテレビ番組しか見ないような鈍い感性で、そんな親の姿を子どもは横でずっと見ているのに、おもちゃだけは子どもの感性を豊かにするというものを買い「はい、これで感性を豊かにしなさい」なんて言っても、感性が豊かになるはずがないのです。

「感性を育てる」
「感性を伸ばす」
「感性を豊かにする」

なんていうことを教育や生活の中に持ち込む時には、まず大切なのは、「自分の考える感性というのは、なんのことか」という定義です。この定義がきちんと定まっていない人には、感性を育てる、感性を伸ばすと言っても、どこに何を伸ばすのか全くわかりません

本当に感性を豊かにする商品であっても、感性のなんたるかが定まっていない人には、使っても上手な使い方が分かりません。

で、そんな人に限って「感性を伸ばす商品です」などと言われたら、そうなんだ、感性を伸ばせるんだ、などと変に納得してお金を払ってしまう。子どもには全く関係のないところで、親が損して業者が儲かるだけなんですね。

感性や感受性という言葉は、定義が曖昧だからこそ、それを使う親や指導者の立場の人は自分がどう考えているかを的確に決められなければ、子どもの教育や部下の育成には活用できません。

ただ売り文句にしているだけのことに惑わされず、自分なりの感性の定義感受性の定義をきちんと決めておきたいものです。

【今日の発想源実践】(実践期限:1日間)

image by: Shutterstock

 

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