仕事の悩みでよく問題になる「人間関係」。能力の優劣はともかく、「気に入らない」という理由だけで経営者が従業員を「降格」させることはできるのでしょうか?無料メルマガ『「黒い会社を白くする!」ゼッピン労務管理』では、営業成績の不振を理由に降格させられた社員vs会社の裁判を例に、降格が認められるための条件を解説しています。
会社の「降格」が認められる条件とは
「彼女たちの1年間のドラマはここから始まる」
2016年6月18日(土)、AKB48選抜総選挙が行われます。芸能情報に疎い私にはもはやどんなメンバーがいるのかすらほとんどわかりませんが、参加メンバーとそのファンにとっては映画界におけるアカデミー賞のような一大イベントなのでしょう(もしかしたら、みなさんの中にもファンがいらっしゃるかも知れませんね)。
ところで、この選挙にはファンでなくてもよく知られているルールがあります。それは、「ファンの投票によって順位が決まる」ということです。そのルールはかなり厳しく行われ厳正を期するため、弁護士の立会いのもと開票するという徹底ぶりです。
では、ここでもし秋元康さんが投票で1位になったメンバーを「気に入らない」という理由で選抜メンバーから降格させたらどうなるでしょうか? おそらくメンバー全員のモチベーションダウン、ファンからの大ブーイング、そしてなによりこの総選挙自体が成り立たなくなってしまうでしょう。
では、これが会社だったらどうでしょうか? 会社による一方的な「降格」は、はたして認められるのか?
それについて裁判があります。
ある保険会社で、営業所の成績不振によりその営業所の所長が所長代理に降格させられました。それに不満をもったその元所長が会社を訴えたのです。
ここで1点、会社側に問題がありました。それは、「就業規則に降格の規定がなかった」ことです。
では、裁判の結果はどうなったか?
会社が勝ちました。その降格は有効と認められたのです。ここでのポイントは、就業規則に降格の規定が無くても「人事権の行使」としてその権利が会社には認められるということです(懲戒としての降格は就業規則に規定が必要ですが)。
ただし、その「人事権の行使」としてどんな降格でも認められる訳ではもちろんありません。では、その降格が認められるためにはどうしたら良いか?
まず、その判断の元になる人事の評価基準が明確になっていることです。評価基準が明確で無かったり、上司の気分的な判断が入っているとその降格自体が認められません。また、営業職等で、売上数字のみで評価していながら、「態度が悪い」などの別の評価基準で降格することもトラブルの原因になる可能性があります。
次に、極端な減額になる降格はしないことです。あるエステ会社の裁判では降格により基本給が50%減になったことでその減額は合理性がないとして降格が認められませんでした。これらの点は、降格が会社の人事権として認められているとは言え、注意したほうが良いでしょう。
降格を積極的にオススメするわけでは決してありませんが、他の社員のモチベーションや業績を考えるとどうしてもせざるを得ないこともあります。ただ、いざそうなったときに評価基準が明確でなかったり評価制度が適切に運用されていないと不必要なトラブルを起こす原因になります。それを避けるためにも今のうちから制度を整えておく必要があります。
また、就業規則に規定がなくても認められるとは言えその一文を入れて、社員に知らせておくことでトラブルになるリスクはさらに軽減されます。
もしものために今から準備しておくことが重要なのです。
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『「黒い会社を白くする!」ゼッピン労務管理』
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企業での人事担当10年、現在は社会保険労務士として活動する筆者が労務管理のコツをわかりやすくお伝えいたします。
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