人は誰でも褒められたら嬉しいもの。だからこそ、相手を上手に褒めることができれば、コミュニケーションもうまくいくというものなんですが…、「その方法がわからない」という方も多いのではないでしょうか。無料メルマガ『弁護士谷原誠の【仕事の流儀】』では、褒め方の基本から、わざとらしくならない裏ワザまでもが詳しく紹介されています。
褒め方のススメ
こんにちは。弁護士の谷原誠です。
私を含め、人は、他人から褒められると、嬉しいものです。ですから、相手の良いところを見つけたら、積極的に褒めたほうがよいですね。しかし、人を褒めることは簡単なようで難しく、苦手意識を持っている人が意外に多いものです。
今回は褒め方にスポットを当てて、ノウハウを考えてみましょう。
褒め方は難しく考えることはありません。まずはわかりやすいものから、ステップアップして考えるのがコツです。
まず思いつくのは姿かたち、ファッションなどの外見を褒めるのがステップ1です。次に所属する会社、学歴等の属性、あるいは性格等の内面を褒めるのがステップ2です。相手のことを知ることで、次第に深い部分を褒めることができます。
もう少し高度なものとなると、「○○に見えるのに○○なんですね」と、見た目と内面のギャップを褒めるという方法があります。外見や内面を直接褒めるよりもこちらのほうが高度であり、相手にも喜ばれます。「私のことをよく見ていてくれる。よくわかってくれている」と感じてもらえます。
「褒めるのが苦手」だという人の中には「わざとらしくなってしまいそう」「本心ではないと思われ逆に不快感を与えてしまうのではないか」といった不安から躊躇してしまう、という人がいます。しかし、実はそんなことはほとんどありません。
たしかに、相手から褒められて「社交辞令だな」「本心じゃないな」と感じることはあります。しかし、そう思ったとしても、よほど的外れではないかぎり、嫌な気持ちにはならないものです。少なくとも、私はそうです。褒める際に最も大切なのは躊躇しないことです。
しかし、わざとらしさがどうしても気になるという人のためによい方法を一つお教えします。それは裁判や交渉で弁護士が使う「誘導尋問」を応用する褒め方です。誘導尋問とは、実際に聞きたい答えを引き出すため、一見関係ない質問をすることです。
たとえば「あなたはお茶を飲んだとき右手で持ちましたか、左手で持ちましたか」という質問をしたとします。聞かれた方は「どっちだっけ」と考えますが、実はその時、本当に聞きたいのは手のことではなく、「お茶を飲んだこと」自体だったりします。右か左を答えると、お茶を飲んだことは認めたことになるわけです。
さて、この理論を応用したほめ方は例えば次のようなものです。「そのバッグは、すごくカッコいいですね。そろそろバッグを買い換えようと思っているのですが、そういうバッグが欲しいです。どこのブランドか、教えていただけますか?」と質問してみるのです。わざとらしくないですね。
どこにポイントが有るか、もうおわかりだと思います。「どこのブランドか、教えていただけますか?」という質問の形にはなっていますが、その前提として、相手が趣味のよいバッグを持っている、またその人がセンスがいい、というメッセージが隠れています。ブランドを聞かれたのに、なぜか嬉しく感じます。これならあまりわざとらしさは感じないのではないでしょうか。
つまり、質問をすると、相手は、その質問に答えようとします。その質問に頭を支配されてしまうわけです。そこで、その質問の前提に、褒め言葉を入れておくことによって、わざとらしさを薄めてしまうわけです。
褒め上手は雑談上手です。褒めることに躊躇せず、いろいろな方向から、さまざまな手法で雑談を相手を褒めてみたいものです。
「人間は誰でもほめられることが好きなものだ」(リンカーン)
今回は、ここまでです。
image by: Shutterstock
『弁護士谷原誠の【仕事の流儀】』
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