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22兆円の爆風。中国バブル崩壊で世界で一番被害を受ける日本

中国経済崩壊をまさに「対岸の火事」と見ている日本人も多い中、「他人事ではない」と言い切るのはメルマガ『毎日5分! 経済英語NEWS!』の著者である八木翼さん。中国政府が金融機関に対して出した民間企業への貸出増指令のニュースを紹介しつつ、来たるべき「悲惨な結末」へと至る道を解説しています。

日本の企業はどの国に最も輸出していて、どの国から最も輸入しているか知ってる?

さてさて、中国の不動産市場が心配で心配でたまりませんが、中国政府は、さらにクレジットを拡大させようとする動きを見せていますね。いったい貸出はどこまで膨らむのか…。そして、それはどこで爆発するのか…。

貿易額的にみれば、日本の一番の取引相手は、アメリカではなく中国です。

輸出額
アメリカ:15.2兆円
中国:3.2兆円

輸入額
アメリカ:8.1兆円
中国:19.4兆円
(「2015年 財務省貿易統計」より)

もちろん、輸出額で見ればアメリカがトップですが、輸入はダントツで中国から行っています。その中国の動きですから気にしないといけません。

ではニュースを見てみましょう。

● China orders banks to clear hurdles slowing private sector lending: sources
(中国、民間企業への貸出を減速させるハードルの撤廃を命令)

 

(1)
China’s banking regulator has sent an urgent notice to banks telling them to clear bottlenecks slowing lending to private firms, sources with direct knowledge told Reuters, highlighting rising concern in Beijing about torpid private investment.
(中国の貸規制当局は、銀行に民間企業の貸し出しが減速している原因を解決するように伝える急告を出したと、直接的な情報を持つ関係者がReutersに伝え、中国政府が、不活発な民間投資への懸念を膨らませていることを浮き彫りにした。)

 

(2)
Chinese banks sharply cut new lending in April after a record first-quarter credit spree, much of which appeared to go to the state sector and may have helped inflate asset bubbles in real estate and commodities.
(中国の銀行は、4月、ほとんどが資産部門に行ったと思われたり、不動産とコモディティの資産バブルを引き起こすことを助長した可能性がある第1四半期の貸出のバカ騒ぎの後、貸出を急激に引き締めた。)

 

(3)
According to the document seen by Reuters, the China Banking Regulatory Commission (CBRC) is requiring financial institutions to conduct checks on their implementation of central government directives intended to make it easier for private firms to access bank credit.
(ロイターの見た文書によれば、中国の貸出規制委員会は、金融機関に、民間企業が、銀行の資金を入手しやすいように意図した、中央政府からの指示の遂行の度合いをチェックすることを求めている。)

 

(4)
It also tells them to work to resolve any problems in cases where lending support to private enterprise is insufficient, including small and micro-businesses.
(それは、同様に、民間企業への貸出への補助が不十分な場合には、問題を解決するように動くよう、彼らに伝えた。)

 

(5)
The document requires institutions to report their implementation results to the regulator by May 20.
(この文書は、金融機関に、彼らの実施結果を5月20日に規制当局まで報告するよう求めている。)

 

(一部引用 REUTERS: BY ZHENG LI AND PETE SWEENEY)

さて、中国が貸出を増やすように指令を出しているようですね。これは間違いなく不動産への資金の流れを助長させる行為につながりますし、短期的にはお金が回るようになりますが、長期的には不良債権返せなくなる借金を増加させる動きに繋がります。

中国政府としては、景気が悪化すれば中国の国力が弱まっていると思われる上中国共産党への求心力の減衰につながります。それだけは避けなければならないため、今回のような短期的な政策に走ろうとしているのかもしれません。

今回のようにバブルを続ければ、いずれどこかで破たんします。不良債権が明るみに出ると、バタバタと銀行が潰れ出します。以前、中国のシャドーバンクの危機が起こりかけたのですが、その時は、中国政府が主導してもみ消しました。株式市場も閉鎖して大騒ぎになりましたね。

中国は、今後もバブルを維持する明確な姿勢を持っています。このバブルをいつまで支えることができるのか?

現状、世界の経済は、だましだまし進んでいます。リーマンショックで発生した不良債権はFRBが買い占め、保有したままですし、ヨーロッパでもギリシャの債務は消えてなくなったわけでもありません。

そう考えれば、中国の銀行が不良債権を抱えたとしても、中国の中央銀行がしれっと保有し続けることで、解決してしまう可能性もあります(そもそもリーマンショックでも、リーマンブラザーズを潰さなければあそこまでの大恐慌にならなかった可能性があります)。

昔に比べ、金融緩和方法に柔軟さが出ているので、中国のクレジット崩壊は、国家が徹底的に隠ぺいすると決めてしまえば、案外起こりづらいかもしれません。それでもいつ発生するか分からないのが怖いんですよね…。我々は不確実性の中を泳ぐように投資しないといけないのです。

もちろん、円を保有して貯金しているだけと思っている人たちもここから逃れることはできません。円でしか貯金しないという行為は、円と言う通貨に一点張りのリスクの高い投資を行っているのですから。

それにしても中国の動向が気になりますね。中国の不動産バブルはどこまで突き進むのか…。そもそも民主国家でない中国は、国家が市場に介入し続け、延々とバブルを続ける可能性すらあります。

もちろん、理論上は、国家の債務が増えすぎれば、ハイパーインフレを招き、非常に悲惨な結果が待っているわけですが…。どうなるんでしょうかね…。

image by: Frame China / Shutterstock.com

(※編集部注:一部、記事内容を修正いたしました)

 

毎日5分! 経済英語NEWS!』より一部抜粋

著者/八木翼
TOEIC235点だった私が900点を超えるまでの勉強の過程で感じた、「英語のニュースを解説してくれる教材があったらいいのに」という思いを形にしました。全ての英文に和訳、文法解析がついています。
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