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狙いは築地の跡地。豊洲問題の「闇」を6年前に警告していた書籍

連日報道される「築地市場の移転問題」。盛り土がされていなかったことばかりに話題が集中していますが、そもそもなぜ土壌汚染の可能性があった豊洲を移転先にしたのでしょうか? これについて、メルマガ『佐高信の筆刀両断』の著者で評論家の佐高信さんが、2011年に出版された「ある書籍」を紹介。すでに6年前の時点で、豊洲は「最大最悪の土壌汚染地であることがわかっていた」と驚きの発言をしています。

東京ガスと東京都の関係

それは書かれていたのである。しかし、マスコミが取り上げないために、大きな問題とならなかった。

私もしばしば、「だから言ったじゃないか」と叫びなるたく時があるが、『黒い都知事 石原慎太郎』(宝島社)の著者、一ノ宮美成+グループ・K21も同じ気持ちだろう。

この本が出たのが2011年1月29日。6年近く前に発行されたこの本を本棚から取り出して目次を開く。

第一章が「羽田空港国際線オープンの黒い霧」で、第2章が「錬金術にまみれた『築地市場移転計画』の陰謀」、以下、第3章「“石原一家 ”と闇の勢力に喰われた『新銀行東京』」、第4章「幻の『東京五輪』で儲けまくった面々」と続く。

驚くのは、すでに2007年10月12日の時点で、築地市場移転予定先の東京ガス豊洲工場跡地は日本で最大最悪の土壌汚染地であることがわかっていることで、当時知事だった石原は記者会見で「びっくりした」などと言っている。

専門家会議の土壌汚染調査で、約半分の25地点で発がん性物質のベンゼン、シアン化合物(青酸カリの元になる物質)、猛毒のヒ素および鉛が環境基準を超えベンゼンは最高1000倍、シアン化合物は基準値の80倍に達していた。

29地点で実施された深部の調査では、3分の1の10地点でベンゼン、シアン化合物、ヒ素および鉛が環境基準を超え、ベンゼンは最高1600倍にも上っていたのである。

つまりは築地市場を移転するには一番ふさわしくない、というより候補から真っ先に除外すべき土地だったのだ。

ところが、強引にここに決められてしまう。それについて、NPO法人「市場を考える会」理事長の山崎治雄が、こう語っている。

「ひと言でいえば利権ですよ。こんな素晴らしいところ(築地市場)はない。銀座の隣りに7万坪という土地はないからね。日本一の土地ですよ。それに目をつけたのが、大手の不動産やデベロッパーの連中です。

新日鉄会長の三村明夫さんが会長をしているJAPIC(日本プロジェクト産業協議会)がずっと動いてきた話ですよ。JAPICには、日本の大手のほとんどのゼネコンや不動産会社が加盟している。築地を開発すると鉄も動くし、すべてのモノが動く。

それに対して石原知事とその取り巻き連中が利権に走る。みんな利権の構図です。我々素人でも、裏のことはわかります。とにかく魚屋を追い出してしまえ、豊洲に移転させようと」

なるほど、ねらいは築地の跡地だったのか。

そして、東京ガスと東京都が「密約」を結ぶまでには石原の側近の元副知事、浜渦武生が暗躍する。

その関係を暗示するように『週刊朝日』の最新10月14日号は、「豊洲戦犯」の1人の元知事本局長、前川耀男が2005年9月に執行役員として東京ガスに天下りしたと報じている。

 

『佐高信の筆刀両断』

著者/佐高信(評論家)
高校教師、経済雑誌の編集者を経て評論家となる。著書に『保守の知恵』(毎日新聞社)、『未完の敗者 田中角栄』(光文社)など。相手が誰であれ舌鋒鋭く迫る様はメルマガ誌上でも遺憾なく発揮。“政治”に殺されたくない人は読むべし!
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