海外在住の日本人がリレー形式でコラムを配信する無料メルマガ『出たっきり邦人【アジア編】』。今回は、1月に安倍総理がフィリピンを訪問した際の動画に関する話題です。総理が否応なしにドリアンを試食させられたり、歓迎が手文字の「ようこそ」だったり、日本語の授業で話題の「ピコ太郎」が取り上げられていたりと、突っ込みどころ満載、ある意味感動的ですらありますよ。
ビサヤン天国 ―体力と忍耐と― 動画再生記録更新中だとさ
知らなかったんだが、日本の政府HPに首相の海外外交や要人の訪日の動画がアップされているらしい(恥ずかしながらホント知らんかった)。
政府広報動画は10万回再生されれば良しと言われている中で、それまでの最高が昨年オバマ大統領訪日、広島を訪れていた時のもので56万回。そりゃ歴史に残る訪問だったもんな。
しかし今年1月、それを軽々と抜き去り只今記録更新中の動画が登場。「総理大臣フィリピンへ」 だ。
今年1月に日本の総理大臣がフィリピン来訪。実はドゥテルテさん、大統領になって初めて迎える他国の首相だったんだ。まあ元々親日家だったけどね、張り切りましたよドゥテルテさん(笑)。
地元のダバオまで招待して、自宅のキッチンで仲良く朝食だかをとっている写真は日本でも報道されていたんだ。でもそれだけ。ニュースで数秒の扱いだった。まあしゃあないねえ。アジアの小さい一国、それでもドゥテルテさんが話題になって報道されるだけでもまあ良しとしよう。
しかし後日、また別の報道でちょっとだけクローズアップされる総理大臣がダバオを訪れた時の政府動画が、同月18日には再生回数124万回突破! 日本人が再生するというより、世界各国に在住しているフィリピン人が再生しまくっている模様。故郷を懐かしむフィリピン人。わかる気がする。
ダバオはドゥテルテさんが大統領になる前、長年市長だったところ。就任前、ダバオと言えばものすごい治安の悪いところだった。
俺がなんとかする~! とばかりにドゥテルテさんが犯罪撲滅に向けて、極端な政策方針を貫いた所。銃片手にでっかいバイクに載って自ら町を走り回ってましたから。フィリピンのダーティー・ハリーの異名を持ってましたよ。その頃の写真をみたら誰よりも危ない人です(笑)。
私設処刑団を雇ってるなんて言われてね(結構マジでそう言われてる)。犯罪者、特に麻薬系の人間はバシバシ捕まって(というか何故か死んじゃってるのも)いました。
彼のやり方は賛否両論ですが、確かにダバオはフィリピンの中でも比較的安全な都市へと生まれ変わりましたね(今やまあそれを国レベルでやろうとするから問題なんですけど…)。
ダバオ市民にとってドゥテルテさんは名士のなかの名士。彼が招待するっていうんだから頑張って準備したんだろ。もちろん準備にお金もかなり投入されているだろうし、練習や段取りやら市民はやらされてるんですよ、そういう指示で。
でもですね、一回ぜひこの動画みてほしい。想像以上に大騒ぎです。小生、大笑いしてしまいました。
ダンスしたり、「せ~かい~はひ~と~つ~なんて」日本語で歌っちゃったり。ようこそなんて手文字つくったり。旗もって熱烈に総理を歓迎してたり。あらあら総理ドリアン試食させられてるよ。
もともとは厳しい指示のもと練習させられてたり、準備させられてたり絶対してるんですが、実際その場になると、楽しんじゃってます、フィリピン人(笑)。
根っからのお祭り好きですからね。わーわーやっているうちに楽しくなっちゃって、本当に歓迎している気になっちゃうもんです。これこそフィリピン人って感じ。
日本もこういうのをもっと報道してくれればいいのに。動画をみてアジアの外交ってこういうものがいいんだという人がいましたがホントそうなのかもしれんね。
あまりリンクを載せるのは好きじゃないが、ここまで書いて載せないのもなんなので。
● ドゥテルテ大統領の故郷 フィリピン・ダバオ訪問(首相官邸FB)
只今130万回突破中。音でかいですからね、気をつけて。
著者/トム爺(「ビサヤン天国 ―体力と忍耐と―」連載。フィリピン・セブ在住)
image by: 首相官邸