MAG2 NEWS MENU

北朝鮮のミサイル開発が急成長、「いよいよ」なレベルに達している

以前は「ハリボテ」などと称され、世界中が笑い者扱いしていた北朝鮮のミサイル。しかし、「トランプ大統領が北朝鮮への攻撃を視野に入れ始めた」といった報道などからもわかるように、近年の北朝鮮の技術力の向上は目覚ましいものがあります。無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』の著者・北野幸伯さんは、「開発中の大陸間弾道ミサイルが完成すれば、アメリカへの核攻撃も可能になる」とした上で、近く実現されるという米中首脳会談の主要なテーマを大胆予測しています。

北朝鮮ミサイル戦力の現状

世界が、朝鮮半島に注目しています。今回は、北朝鮮のミサイル戦力の現状」について知っておきましょう。出所は、BBCニュース3月13日です。

ミサイルの分類

まず、ミサイルについて、基本的なことをおさえておきましょう。射程距離で分類されるのですね。

ミサイルの射程

 

  • 短距離:1,000キロ以下
  • 準中距離:1,000~3,000キロ
  • 中距離:3,000~,5500キロ
  • 大陸間:5,500キロ以上

 

出典・米国科学者連盟(FAS)

(BBCニュース3月13日)

北朝鮮は、どのくらいミサイルを保有しているのでしょうか?

北朝鮮は現在、さまざまな性能のミサイルを合わせて1,000発以上保有していると考えられる。
(同上)

1,000発以上! 次に、その内訳と開発の歴史をざっくり見てみましょう。

短距離ミサイル(1,000キロ以下)

北朝鮮は1976年、エジプトからソ連製のスカッドミサイル」を入手したそうです。これを基に1980年代半ば、国産短距離ミサイル「火星(ファソン)」を製造し始めた。北朝鮮が、「火星で攻撃できるのは韓国です。問題はこちら。

これらのミサイルは通常弾頭だけでなく、生物・化学弾頭や核弾頭を塔載できるとも考えられている。どちらもすでに実験を経て配備済みだ。火星6はイランにも輸出された。
(同上)

北朝鮮は、「生物兵器」「化学兵器」「核兵器」で韓国を攻撃できる。

準中距離ミサイル(1,000~,3000キロ)

北朝鮮は1980年代末、今度は準長距離ミサイル「ノドン」の開発を始めました。日本でも、よく知られた名です。

ところで、この「ノドン」で、どこを攻撃できるのでしょうか?

英シンクタンク、国際戦略研究所(IISS)は2016年4月時点の分析で、ノドンが韓国全土と日本の大半を射程に収めていると断定した。
(同上)

韓国だけでなく、日本の大半を攻撃できる能力がある

中距離ミサイル(3,000~5,500キロ)

北朝鮮は数年前から中距離ミサイル「ムスダン」の開発を進め、実験を繰り返しています(「ノドンB」「テポドンX」とも呼ばれる)。

射程距離は、2,500キロ~4,000キロ。韓国、日本はもとより、グアムの米軍基地も攻撃できる可能性がある。

多段式ミサイル

北朝鮮は1998年、同国初の多段式ミサイル「テポドン1」(=白頭山1)の実験を行いました。以後改良がつづけられ、「テポドン2」(=白頭山2)の発射実験が行われている。

テポドン2の発射が成功し、その射程が推定される最大の距離まで達したとすれば、オーストラリアや米国の一部をはじめとする国々が射程に入ることになる。
(同上)

なんと、北朝鮮が、オーストラリアも攻撃できるようになると。

大陸間弾道ミサイル(5,500キロ以上)

アメリカ国防総省によると、北朝鮮は現在、「KN-08」(=火星13)と呼ばれる「大陸間弾道ミサイル」を6発保有しているそうです。これを使えば、「アメリカ本土を攻撃できる。最近、トランプ政権が北朝鮮攻撃を検討し始めた理由は、まさにこれです。

金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は今年1月、大陸間弾道ミサイルの開発が「最終段階」にあると宣言した。その直後には、発射実験が間近に迫っていることを示す兆候もみられた。
(同上)

しかも「ただ」攻撃できるだけではなく、「核攻撃できるようになる。

北朝鮮がこれに先立ち、核弾頭を小型化したと主張していたことも考えると、長距離核兵器の開発が近いかもしれないという可能性はますます高まっている。
(同上)

あなどれない北朝鮮

こうやってミサイル開発、核開発の歴史を見ると、北朝鮮は、着実に前進していることがわかります。

振り返ってみると、北朝鮮が「核実験した!」「ミサイル実験した!」と宣言した。いわゆる専門家は、毎度毎度「懐疑的な態度」をとっていました。

初めて北が「核実験に成功した!」と宣言したときも、「本当に核兵器か疑問だ」などと言っていた。あるいは、「核兵器が製造できても小型化できなければ意味がない」などと言っていた。

それが今では、北朝鮮が核兵器を保有していることに疑問をもつ人はいません。ミサイルだって、バカにしているうちに、じゃんじゃん日本近くまで飛んでくるようになった

北朝鮮は、まだ大陸間弾道ミサイルの開発を終えていません。しかし、近い将来必ず完成させることでしょう。

「自分の兄をVXガスで殺した狂人が、アメリカ本土を核攻撃する力を手に入れる」。

これは本当の脅威なので、トランプ政権も放置できません。トランプは、習近平をアメリカに招くそうですが、中心テーマは、「北朝鮮問題」になるでしょう。前号でも書きましたが、

というディールは、可能性があると思います。

image by: Shutterstock.com

 

北野幸伯この著者の記事一覧

日本のエリートがこっそり読んでいる秘伝のメルマガ。驚愕の予測的中率に、問合わせが殺到中。わけのわからない世界情勢を、世界一わかりやすく解説しています。まぐまぐ殿堂入り!まぐまぐ大賞2015年・総合大賞一位の実力!

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 ロシア政治経済ジャーナル 』

【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け