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好調セブンイレブンと苦戦のヨーカドー、どうして差がついたのか?

3月8日から期間限定でスタートした「朝セブン」も大きな話題となり、ますますコンビニ業界で一人勝ちの様相を呈するセブンイレブン。一方、同じセブン&アイホールディングスのイトーヨーカドーは不採算店の整理を行うなど、苦戦を強いられています。何が明暗を分けたのでしょうか。メルマガ『理央 周 の 売れる仕組み創造ラボ 【Marketing Report】』の著者でMBAホルダーの理央周さんがその要因を探るとともに、絶好調のセブンイレブンから学ぶべき「顧客の作り方」を紹介しています。

好調セブンイレブンから学ぶ成長の図式と留意点

セブン&アイ・ホールディングス(HD)のグループ企業、ヨーカ堂の苦戦をしり目に、セブンイレブンが好調だ。

役員人事を一新を発表し、カリスマ経営者、鈴木氏の体制からいかに脱却しようとしているかを、顧客サイドのマーケティング視点で考えてみる。

苦戦するヨーカドー、好調なセブンイレブン

セブン&アイ・ホールディングスが、傘下のスーパー「イトーヨーカドー」の秦野店(神奈川県秦野市)や広畑店(兵庫県姫路市)など4店を、採算悪化を理由に、3月中に閉鎖することが28日、分かった。構造改革による初年度の閉鎖店舗数は、計画通り計20店舗となった。
(Sankei Biz 3月1日の記事より)

とあるように、セブンアンドアイホールディングスでは、これまでの拡大路線を修正新規出店を控え不採算店の整理を行っている。

一方で、セブンイレブンの方は、プライベートブランドである、「セブンプレミアム」の売上を、2019年度に1兆5,000億円、4,200品目へ拡大すると発表したり、パンとコーヒーで200円となる、「朝セブン」を発表したりと、好調を維持している。

ヨーカドーとセブンイレブンの違いはどこか?

ヨーカドーとセブンイレブンの業績の違いは、異なる業界にいるからというわけでなさそうだ。

生活者が買い物に行く店として、確かにスーパーは、コンビニよりも頻度が少ない。しかし、周りを眺めてもわかるように、どちらも、特にコンビニエンスストアの方が、人口当たりの出店密度から考えても、純粋な競争は激しい

ここ半年くらいに、セブンイレブンが打ち出している方向性に、顧客の消費動向をとらえた施策が多い点があげられる。

プライベートブランドの「セブンプレミアム」も、オリジナルのパンのブランドをセブンプレミアムとし、生鮮食品類を強化しつつ、「セブンプレミアム フレッシュ」と、ブランドラインナップを増やすとのこと。

これらも、コンビニにおいて増えている、女性購入者やシニア層を狙っての製品・ブランド開発と言える。

ここ数日で話題になっている、パンとコーヒーのセットで200円の朝セブンも好調だ。私も先日、青山通り沿いの、セブンイレブンに朝8時半過ぎに立ち寄ってみたところ、会社に行く途中のビジネス・パーソンを中心に、20代後半から40代くらいまでの男女が、行列になっていた。

商品としての「朝セブン」は、時間帯によって変わる消費者動向をにらんでの施策で、顧客行動を観察しニーズをとらえようとした、セブンイレブンの姿勢によるものであろう。

コンビニエンスストアが提供する価値は、その名の通り「利便性」だ。

売っているのはもちろん「商品」なのだが、公共料金を支払らえたり、宅配便を出せたり、ちょっと現金を引き落とすこともできる。

自社の事業を「小売業だ」と定義していたら、これらの付加サービスが追加されず、他の小売業態との競争では優位に立ちづらい

セブンイレブンから何を学ぶべきか?

我々中小企業は、好調なセブンイレブンから、何を学ぶべきなのか?

一番は、ビジネスモデルが顧客視点であること。ターゲット層の生活に密着し、先手を打っている点にある。

マーケティング活動が目指すところは、顧客ニーズを解決することだ。そのためには、顧客がどんな行動をし、顧客体験の中で、何を求めているのかを、しっかりと見極めることが第一になる。

顧客行動を把握するには、なにも高額で時間もかかるマーケティングリサーチをする必要はない。中小企業においては、顧客層がとるであろう行動を推測し隠れた欲求を発見することで、潜在ニーズを見つけられ、解決策を提供すればいい。

30~40代の女性向けの飲食店経営であれば、その顧客層がいそうな場所に行き、誰と買いに来ているのか、何を話しているのか、どんな店に立ち寄っているのか、という「行動観察」をすることで、ニーズを発見できる。自分の日々の生活の中でこういったことに気づけばよいのだ。

事業の目的は、顧客の創造である。戦略の出発点は、その意味で顧客にあるのだ。

image by: Sakarin Sawasdinaka / Shutterstock.com

 

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