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いじめ問題に麻痺した教員たち。罰則なしで隠蔽しても心痛まず

2015年に明らかとなった、教科書会社から教員へ「謝礼金」が渡っていたという、いわゆる「教科書採択を巡る不正問題」。文科省はようやくこうした不正について罰則を設ける姿勢を明らかにしました。無料メルマガ『いじめから子供を守ろう!ネットワーク』ではこれを当然とし、いじめ隠蔽に対しても同じく罰則規定を作るべきとの主張を展開しています。

子供たちの範たれ

7月に入り、期末テストもまもなくはじまります。

先日、「教科書検定や採択で不正行為があったら…検定不合格に」という見出しのニュースが流れました。6月26日、文部科学省は、教科書採択の不正に対して、厳しく臨む姿勢を明らかにしたのです。報道によると、「教科書検定規則」を改正し、検定中に不正が発覚した場合は、その教科書は不合格とすること、また、合格後の不正については、既に採択してしまっている学校が発生することをかんがみて、次回の申請で不合格とすること、という内容を盛り込む方向とのことです。現在、パブリックコメントを受け付けており、8月に正式決定します。

きっかけとなった事件は、2015年の教科書の採択時期に起きました。本来、検定の対象になっている教科書を、外部の者に閲覧・流出させる行為は禁じられているのですが、教科書会社が検定申請中の教科書を、学校の先生方に閲覧させ意見を聞いた謝礼としてお金や図書カードなどを渡していたことが大きな問題となったのです。

不正発覚を受けて、文科省は教科書会社に自主報告をさせたところ、教科書会社22社のうち12社(2009年~2014年)が不正に閲覧させ、10社が謝礼を渡していたことが判明したものです。ちなみに、閲覧した教師は全国で5,147人、謝礼を受け取った教師3,996人。ある社は、2,245人の教員に対して、総額約2,250万円の金品を渡していたというものです。

教科書を採択してもらえるかどうかで売上が大きく変わってしまうわけですから、会社としては必死で「営業活動」を行い「接待」していたのでしょう。当然ながら、謝礼を受け取る教員の側にも「罪悪感はなかったであろうことが推測されます。結局、この不正は「業界内の常識」だったと言えます。

規則には、罰則もありませんでしたので、世論の反応も踏まえて今年、改めて「罰則」が盛り込まれようとしています。「罰則がないからなにをやっても構わない」という考え方は変えていくべきです。

いじめ問題においても、自殺した子がいじめを訴えていたのに、いじめを止めなかった教師がいます。教科書不正問題においてペナルティが検討されているように、「いじめ防止対策推進法」にも「いじめを隠蔽したら懲戒にするという罰則規定が必要な時にきています。文科省も身内の教師には甘いと言われないように、隠蔽教師に厳しい姿勢を示して欲しいものです。

ともあれ、「慣習」「常識」という言葉でおおい隠されていた悪しき慣習や事実が、少しずつ明らかになる時代がきているようにも感じます。

子供たちに関わる保護者、教師、教育に関係する会社や団体、官公庁、一言で言うと大人たちこそが、子供たちに対して恥ずかしくない行動を常に意識しなければなりません。

いじめ問題でも「いじめはなかった」と言っていた教育委員会や校長が「実はいじめがありました」と頭を下げている姿が映し出されるテレビ画面をよく目にします。子供たちに「嘘をつくのは悪いことだ」と教えているはずの教師が、嘘をつき、しかもその嘘がばれる。これは恥ずかしいことです。

教科書の不正問題も同じです。子供に関わっている大人であるからこそ、私たちは「子供たちの範たれ」と常に自らに問い続けなければならないと思います。

昨日も、「学校には相談しにくいんです」とお話されていたお母さんがいらっしゃいました。何か不安に感じたり、わからないことなどありましたらご遠慮無く、ご相談ください。お電話、メールお待ちしております。

いじめから子供を守ろう ネットワーク
松井・井澤

image by: Shutterstock.com

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「いじめ」と学校の「いじめ隠ぺい」から、子供たちを救うための、父母によるネットワークです。いじめの実態やいじめ発見法、いじめ撃退法、学校との交渉法、いじめ相談などを掲載します。

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【著者】 いじめから子供を守ろう!ネットワーク 【発行周期】 週刊

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