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その病気「自作自演」かも。武田教授が原始時代の生活を勧める訳

医療技術が発達する現代ですが、まだまだ完治しない病気は多くあると言われています。生活習慣病、がんはもちろん、偏頭痛や便秘も一種の身体の異変と捉えてもいいでしょう。今回のメルマガ『武田邦彦メールマガジン「テレビが伝えない真実」』の著者で中部大学教授の武田邦彦先生は、健康を保つために「まずは動物や原始時代と似た生活をすること」と提言。その理由とは?

私たちの求める健康は「動物や原始時代と似た生活をする」ことが大前提

果物が嫌いというわけでもないのですが、皮を剥いたり種を出したりするのが面倒で、つい手が出ずにいつも家内に怒られています。でも、果物がなんとなくイヤなのはそれだけでは無いのです。

生物というのはもともと「自分で必要なものは自分の体で作る」のが原則で、ベジタリアンが野菜だけを食べていても自分の体の肉を作ることができるように、体内で必要なものは合成します。でも、同時に生物は自分の祖先の生活に影響を受けています。「人間と果物」では、人間の祖先がサルだったので木の上で果物を食べていました。その結果、もともとは自分の体の中で合成していたビタミンCを合成できなくなったのです。

サルから進化した人間では体内のビタミンC合成工場が止まっていて、仕方なく果物を食べなければならないのです。私はそれに腹が立って、果物嫌いというわけです。

もちろん、人間は生物であり、動物であり、サルの子孫でもあります。だから人間は生物、動物、サルの影響を強く受けているのですが、「調理したもの(人間以外の生物は自分が食べるものを調理することはない)を食べる」「栄養学などを勉強する」「家の中にいることが多い」「エアコンで温度一定」「自分の足で移動しない場合が多い」などまったく他の生物とは違う生き方をしています

だから人間だけは生活の様式にそって他の動物とは違う体になっていなければならないのですが、体だけはまだ昔のままなのです。

奇妙なことが数多くあります。朝起きると歯を磨きますが、動物で歯を磨いているのを見たことはありません。朝食は大事と言いますが、動物はいつも餌がとれるわけではありません。お腹がすいてきたら狩りに出かけ、その日は不運にも食事にありつけないことすらあります。

体の構造を決めたり、健康を維持する第一は私たちの体の中の遺伝子ですが、遺伝子は元来、化学物質ですから容易なことでは変わらず、10万年ぐらいもすれば少しずつ変わってくるといわれています。でも1万年前はまだ石器時代で人間はほとんど動物と同じ生活をしていました。

ということは、私たちの健康というのは「まずは動物や原始時代と似た生活をする」ことが前提になります。朝起きたらまず太陽の光を浴びる(動物では当然)、テレビなどを見る前に体を動かす(動物では当然、以下同じ)、やや不足気味の食事をとる、生活に必要なぐらいの軽い運動をする、敵がいないか危険では無いかを五感と頭脳を使って警戒する、土や草などの自然と接する、暗くなると寝る…などです。

その病気、「自作自演」になっていませんか?

最近、健康の第一歩(ガンの予防でも同じことが言われる)として、日光浴、深呼吸、軽い運動が大切と言われますが、これも当然です。そして飽食しない、少し熱めの風呂に入るなども良いとされます。また動物は獲物を追いかけるのに10分ぐらいの激しい運動はしますが、人間のようにテニスやマラソンを1時間もすることはありません。

ところが、体の不調を訴える人の様子を聞いてみると、朝起きてもベッドでグズグズしていてテレビを見ていたり、ほぼ一日中エアコンの部屋に入っていたり、そうかと思うと激しい運動をスポーツと称して真夏に何時間もしたりします。また夜も遅くまで起きていますが、もともと150年ほど前にエジソンが電球を発明するまでは基本的には「暗くなったら寝る」のが普通でした。

つまり、「体の調子が良く、楽しい人生」を送りたかったら、少なくとも朝起きたら太陽の光を浴び、軽い運動(台所など)をして体を慣らし、テレビ、エアコンなどは余り使わずに日光の当たるところで自然と接しながら過ごし、男性は少しきつい運動をし(血管の構造などがそうなっている)、食事は腹八分目か朝食を抜き、夜もできれば10時頃には寝て、夜明けとともに起きるという生活をしてから「体の調子はどうかな?」と様子を見ることです。

あまり運動もせずに「便秘」になったとか、朝の太陽も浴びずに「精神的に不安定」とか、日光浴不足で骨粗鬆症になったり、たらふく食べて肥満や糖尿病になったりするのは、まさに「自作自演」なのです。さらにそれに加えて「幼稚園がうるさい」と怒鳴り込んだり、マンションで上の階の足音が聞こえるなどと神経過敏になる人もいますが、これも「自作自演」が嵩じた例でもあります。

森に足を踏み入れると爽やかな気持ちになりますが、これは樹木の中心部にあるフェノール性の化合物の臭いと、木々の葉がこすれ合う高周波の音とも言われています。私たちは海の中、森の中から出てきたものですから、心理的にも自然に接することは大切です。

image by: Shutterstock

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中部大学教授の武田邦彦です。主に環境問題や資源に関して研究を行っております。 私のメルマガでは、テレビや雑誌新聞、ブログでは語ることが出来なかった原発やエネルギー問題に鋭く切り込みます。

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