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頭でっかちの人間はさようなら。「大学入試改革」で変わること

2020年を境に大学入試が大きく変わります。受験者の思考力・判断力・表現力などを深く問うという観点から、国語と数学に記述問題が追加され、早いうちからの対策が必要になると考えられます。今回の無料メルマガ『「二十代で身につけたい!」教育観と仕事術』では著者の松尾英明さんが、大学入試改革の基本概要をわかりやすく解説するとともに、未来の日本社会に求められる人物像についても分析しています。

2020年大学入試改革に向けて

2020年大学入試改革が目前に迫っている。この大学入試の在り方というのは、高校以下すべての学校の在り方そのものを左右する。

センター試験で広汎な知識を問うマークシートのテストがあるから、それに合わせた勉強が必要になる。一方、これから導入されていく予定の記述式は、採点が難しい分、思考力や表現力を問うことができる。単純に考えて、小学校段階から知識・理解よりも、思考力・表現力重視になっていくことが予想される。

現在のセンター試験の科目は、最も多い7科目型で「外国語」「国語」「数学」「公民」「地理歴史」「理科」の7つである。これを小学校におろすと、外国語、国語、算数、社会、理科、の5つである。特に外国語200点は、3科目選択の場合でも避けて通れない。こうなると、小学校段階から外国語が重視されるのは、試験の面からも当然ということになる。この流れ自体は、2020年でも変わらず、むしろこれ以降もその重要性は高まる一方である。

外国語について話す・聞く・読む・書くという経験を、どれだけ実践的にやれるかがカギである。小学校段階においては、現在話す・聞くという活動がメインだが、これからは読み・書きの活動も入ってくるだろう。具体的には、教師以外の外国人講師を交えてのコミュニケーションをとる活動はこれからも更に活発化する。加えて、英語による手紙のやりとりといった子ども同士の交流も入ってくることが予想される。

大学入試の改革は小学校段階は大きな影響がないように思われるかもしれないが、とんでもない。大学入試で問われる内容とは、そのまま社会で役立つ力そのものである。小学校でも「主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニングの視点からの授業改善)」が広く言われている。つまり、その時代の社会で即戦力になる能力を備えた人物像を想定した育成が求められる。

これからの時代に必要な人材とは、知識・理解をベースとして、自らの頭で思考・判断し、それを表現していける人物である。それも、他と協力しながら、よりよい社会を創造していこうという姿勢を兼ね備える必要がある。これらは、すべて子ども時代から身に付けていける素地である。

知識・理解のないところに深い思考と判断はなく表現もできない。よって、知識がベースとして必要になることはこれからも変わらない。小学校レベルの例でいうと、台形の面積を公式を使って求められるだけの力なら必要ない。三角形の面積の求め方を応用して、台形の公式を作り出せる、あるいは、何通りもの方法を考え出せる力が必要となる。さらにそれを、言葉や図や式を使ってわかりやすく伝える(表現するである。発展して、様々な図形の場合においても試行錯誤して求め、その過程を説明できるようになる力である。

ごく単純に言えば、頭でっかちで答えがわからないと動けない人間は必要とされない。知識がある上で、答えが見えない場合でも根気強く考えて解決しようとする人間が求められる

こういった人間は、学校の中だけでは育たない。本当に未解決の問題は、学校の外にあるからである。例えば、3.11からの復興問題。超高齢社会の問題、こうした未解決の大問題に向き合い、その解決の糸口を見つけるには、まず現場に出向くことである。よって、大学入試においても、ボランティア活動の経験は必須になっていくだろう。社会のために貢献することが真に自分のためにつながる、という実感は、体験を通してしか得られないからである。

広く日本の社会に貢献し世界に貢献しようという志のある人物の育成

これこそが、現在の教育の目指す方向ではないかと考えている。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 松尾英明 【発行周期】 2日に1回ずつ発行します。

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