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なぜ定時の強制消灯を徹底した会社は、業績が一気に上がったのか

今話題の、働き方改革。「我が会社でも是非実行したい!」と思っている方、まずは「会議」を減らしてみませんか。今回の無料メルマガ『「二十代で身につけたい!」教育観と仕事術』では著者で現役教師の松尾英明さんが、自身の学校で行われ効果を発揮している「会議の減らし方」を紹介しています。

会議を10分の1に減らすには

政府の呼びかけにより進められている「働き方改革」。皆さんの職場には反映されているだろうか。「そんなの無理」という声が上がるかもしれない。しかしそのままで無理だからこそ「改革」という言葉なのであると捉える。

「改」はかえる、なおす、新しくするという意味。「革」という字も、獣が毛皮になる様から、全く異なるものに変わるという意味である。「改革」とは「改善」とは違い、今までと全く違う新しいものにしていくということである。少しの変化ではなく、激変である。

以前お伝えしたが、私の勤務校では、これがかなり推進されている。特に、職場の負担感のベスト3に必ず入る会議の精選が、かなり推進されている。

もしあなたが部下をもっていて、学校(社内)の会議を今までの10分の1にするように」と言われたら、どうするか。「そんなの無理」と即答したくなる。しかし「実行しないとクビ」と言われたらどうするか。恐らく、知恵を絞って、何とかするだろう。

実は、これは決して無理ではない

例えば、私の勤務校では、職員会議の数自体が、前年度の4分の3ほどに削減された。協議事項は3分の1ほどに精選し、他の例年通りのものは「紙上提案」ということになる。この時点で、3/4×1/3で、1/4。つまり、職員会議だけで75%カットということである。既にこの時点で、10分の1は目の前である。

また、他の各種会議は、出席者を精選。会議の時間も、必ずしも放課後以降ではなく、メンバーが集まれる時間に設定されている。例えば、同学年内では週1時間だけ空き時間が揃えられ、そこで学年会が実施される。クラブや委員会の時間には、担当者でない職員が出席する各種会議が並行して実施される(以前の勤務校でも、学年主任はクラブと委員会を担当せず、代わりにそこで企画・経営会議が実施されていた)。

会議には終わりの時間が設定されている。時間外に会議を設定する日は、最低でも申請を1週間ほど前にして管理職の許可をとらないといけない。なぜなら、勤務時間外に、会議を開きたい主催者以外の職員をも強制的に職場に拘束することになるからである。それには、本来残業代を支払うのが筋ということになる(学校に、そんな余剰の予算はない)。それほどの覚悟で行わせていただく「緊急事態」ということである。

これらの取り組みをしているため、会議に無駄がない。時間が限られるため、その会議に本当に必要な職員が必要な資料を揃えて必要な提案だけをするのである。

ある一流企業では、業務終了後、一定の時刻になるとセキュリティを除く社内の電気関係が一斉に切れるという。いきなり真っ暗で、エアコンもエレベーターも切れる訳である。そうとなれば、さすがにどの人もその時間までには帰る。それでも自前で明かりを灯して行う猛者も出るらしいが、それは本人の勝手であり、他の関与するところではない。これも、時間を貴重なものとみなし、区切るということを徹底するからこそである。

さて、それで会社の業績が下がるかというと、そうではない。むしろ、一定の期間を経て、業績は一気に上がるという。なぜなのか。様々に考えられるが、業務に無駄がなくなるということ、それ以上に、社員自体が心身共に健全になることが挙げられる。要は、本来会社として必要な仕事に精選されることになり、人間としてあるべき生活に戻れる訳である。ぐっすりと十分な睡眠、栄養豊富で美味しい食事、適性な運動といったことが確保される。当然、仕事へのモチベーションも高まり全力で打ち込める。必然、会社全体の業績が上がる。至極単純な論理である。

ただ、これらの改革は、実行にがあるという。こういうことをいうと、必ず「今まできちんとやってたのに無理」「会議を急にやりたい時もあるよね」という人がいる。実は、そこがポイントである。そういう悪い風習を断ち切る必要がある。今までと今は違う。急にやりたくなることと、先が読めていないことは同義。会議をいきなりやらないといけないのは、主催する側の人間の勝手な都合である。そういう甘えのある社員が固まって作られた慣習を認めていたら、改革はできない。よって、ここを断行するしかない。

これらは、管理職の手腕一つである。それは、一教諭や一社員の立場で左右できることではない。意見までは述べられるかもしれないが、そこへの決定権は管理職や経営陣である。

きっと、上の方々も、社員に気持ちよく働いて欲しいと願っているはずである。しかし、こちらが変な抵抗をするから、改革ができないのである。互いに首を絞め合っている状態といえる。

しかし、とてもではないが、そんな進言はできないという人も多いだろう。だから、「ちらっそういった他の取り組みを紹介するのである。忘年会や新年会といった飲み会の場でもいいし、何かの雑談の場でもいい。「そんなの、うちの学校では無理ですよね」という感じで構わない。「なるほど。そういう方法もあるのか」と考えてくれる人も中にはいる。それが、働き方改革の第一歩になるかもしれない。

来年度の計画は今の時期に行われるのである。みんながリラックスする今だからこそ、虎視眈々とねらいを定め、粛々と次への準備を進めるチャンスがあると思われる。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 松尾英明 【発行周期】 2日に1回ずつ発行します。

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