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今だから話せる。元陸自幹部が知る「地下鉄サリン事件」の真相

「地下鉄サリン事件」をはじめ、オウム真理教が関わったとされる数多くの事件に、陸上幕僚監部の運用(作戦)幹部として関わってきた元自衛隊陸将補の作家・池田整治さん。池田さんは今回、自身の無料メルマガ『心のビタミン』で、「北朝鮮にとって日本を潰すことは韓半島統一に欠かせないこと」とした上で、オウム真理教の事件と北朝鮮との意外な関わりを記しています。

我々の後ろには誰もいない

1993年5月。北朝鮮のノドン1号が東京の方向に初めて発射され能登半島沖に落下しました。第一次北朝鮮危機の勃発です。この時、最悪の事態として北朝鮮のコマンドによる若狭湾の原発攻撃が考えられました。いわゆる第一次北朝鮮危機です。金日成の目的は、「南進統一」、つまり武力による韓半島統一です。この時もっとも邪魔なのが日本という兵站基地」です。ここを潰さない限り、北朝鮮軍に勝利はありません。

先の朝鮮戦争で、北朝鮮軍(当初ソ連、後中共軍支援)は韓国・国連軍(実体は米軍)を釜山まで押し込めながら、最終的に38度線で休戦条約を結ばざるを得ませんでした。米軍の圧倒的な兵站力の前に、南進統一の夢は儚くも潰されたのです。軍事的教訓は一つ。「日本という兵站基地を潰せば南進統一できる」。

そこで考えられたのが、オウム真理教を使ったサリンテロに連携する北朝鮮コマンドの隠密侵攻、特に若狭湾の原発の破壊です。もっとも自衛隊には、普通の国のような平時からの「領域警備」の任務がありません。あくまで、テロ等は警察が対処しなければなりません。

北朝鮮コマンドの攻撃要領やサリン対処などの「警察との勉強会」はおこなえても、総理大臣の命令や県知事等の要請がない限り自衛隊は動くことはできません。しかしながら、上九一色村のオウム第7サティアンには、ドラム缶700本の薬剤と旧ソ連軍のヘリコプターの存在もあきらかになっていました。ヘリコプターで都心にドラム缶1本落とせば100万人が死にます。警察では対処できません。ヘリコプターが飛び出してから要請されても間に合いません。当時は、社会党の村山首相であり、阪神淡路大震災対処中でもあり、事前命令などあり得ません。

自衛隊作戦幕僚としてのハラ決め

上九一色村のオウムサティアンへの強制捜査の警察の作戦会議」でのことです。通常自衛隊ならば最悪の事態に備え、綿密に分析し、対策をしたうえで、部隊に行動を命じます。「家族もいるかわいい部下を殺さない」ためです。

ところが、会議では何らの情報も出しません。さすがに会議終了後警察責任者に聞きました。

「どれだけの被害を考えているの?」
「最初に封鎖に入る機動隊員の50人から150人は死ぬかもしれない
「その時に、ヘリコプターがサリン散布に飛び立ったら?」
「それは、その時に泥縄的に対処します」

部下の死を平然と口に出し、ヘリコプターによるサリン散布の見積もりに対しても「泥縄的に対処」、つまり成り行き任せ。あくまで強制捜査は警察マターであり、自衛隊は要請がない限り動けない。しかし、そういう事態で動かなければ100万の国民が死んでいく…。

「我々の後ろには誰もいない」
「国民の命を守る」

そこで、飛び立ったヘリをただちに落とせるように北富士演習場に攻撃ヘリを準備し、またサリンテロ対処に特殊武器防護隊や中央病院の医師達に即応体制をとらせました。民間ヘリを落としたことで国民の非難が上がれば、運用責任者として現地で腹を切る」。責任を一身に背負って墓に埋める覚悟です。

その為に、警察に同行支援するために家を出るときに、妻に、「3日間連絡無ければ俺の事は諦めて、あとの子どもの面倒は頼む」と覚悟を言い渡しました。前夜は、阪神淡路震災対処から深夜帰宅していたため地下鉄の最終に間に合わず自転車を使っていました。その自転車で青梅街道を霞が関に向かって走っているまさにその真下で、並行して走る丸ノ内線がサリンでやられました。

地下鉄サリン事件です。後で確認すると、同行する強制捜査員7人を狙ったテロ事件でした。結果として、最悪の事態に備えた即応体制ができていたからこそ、地下鉄サリン事件が起こっても、ただちに自衛隊は対処ができたのです。そして、オウムを先駆けとした本格的テロは未然に封じ込めたのです。

地球文明の最後の砦

今、この文明は、「滅びの道」を進んでいます。誰が「永久の道」に舵を切るのでしょうか。

我々の後ろには誰もいない

そう。食物連鎖の頂点である我々人類しかその使命を果たす存在はいません。その中でも「自然との共生の心」と「利他愛の精神」をDNAにもつ日本人にこそ、その使命があるのではないでしょうか。日本人の「ヤマトごころ」と「武士道」のよみがえりを祈って…。

image by: Wikimedia Commons

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【著者】 池田整治(元自衛隊陸将補) 【発行周期】 ほぼ週刊

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