社長や上司の目を気にするがあまり、自分の意見を変えたり押し殺したりしてはいませんか? 今回の無料メルマガ『ビジネス真実践』では著者で戦略コンサルタントの中久保浩平さんが、実際にあったクライアントの事例を紹介しながら、「自分の意見をきちんと主張することの大切さ」と、「それによって大きく変わること」を記しています。
自分で決断する
会議やミーティングなどで1つのことを決める時、「みんながYESなら自分もYES」「彼が賛成するなら俺も賛成するよ」というように、自分の意志を押し隠し、あるいは、そもそも意志がないのか、決断を他人に任せる人が結構います。いつもこのような感じで他人任せでいる人は、決断力が鈍っていき、大事な決断をしなくてはいけないときに決断を下せなくなったっり、軸がぶれぶれで間違った方向へ行ってしまうなんてこともあります。
「自分は、その案件に対して前向きだけど、どうも周りの反応は違うようだ」と感じれば、「だったら、自分も反対側に廻っておくほうが無難か」ということで、自分の意見も主張しないまま周りの意見に流されていく。いつまで経ってもこうしたことの繰り返しです。
確かに周りに同調していれば、その場は楽ですが自分の意志に従い決断することができないままだと、当然、大事な仕事や大きな仕事を任されられるような人材にはなり得ません。
周りがみんな反対していても、本人にとってはその企画や案件に対して価値がある、と思えば採否は別にしてそのことをきちんと意思表示をするべきです。周りは、こぞって反対していたけど、実際に動いてみて良かったというケースはいくらでもあるものです。というか、周りが反対していたからこそ自分がいいと思った企画や案件に磨きがかかって、よくなっていくものなのです。さらには、反対派の人達も触発されるようになっていきます。
そういえば以前、こんなことがありました。そのクライアントは、業績に伸び悩んでいました。そして、「営業は、先方へ出向くのが当たり前」という常識が社内にあり、業績を伸ばすには、もっと小まめに取引先に顔を出していこう! というスタンスを取っていたのです。よくあるパターンです。
ですが、扱っている商品の性質上、営業をかけても実際に成約に至るまでスパンがかかるものでしたので、営業マンが、つなぎで小まめに顔を出すだけでもコストがかかり、それもしんどくなってきたということでした。
「だったら、営業マンが出向くのではなく、お客様の方から、会社にわざわざ来てもらうようにしましょう!」ということを提案しました。これまでにそうした発想はなかったようでしたので、その提案に対して社内で話し合ってもらいました。
店舗営業でも無いし、ショールームがあるわけでも無いので…ということで、ほとんどの営業マンは反対しました。そして何より、「今までのやり方を変えるのが恐い。不安だ」というのが、主たる理由だったようです。
肝心の社長も「みんながそういうので…」と消極的でした。それこそ他人任せの決断をしようとしていたのです。「もし、『みんなが反対しているから』という理由だけで、何もやらずに後悔するのなら、それは勿体無い」と思いましたので、「社長自身は、この提案に対してどうお考えですか?」と尋ねると、「本音では取り組んでみたい」というのではありませんか。
だったら、ということで…、社長だけでも、今までのやり方を180度変え、お客様の方からわざわざ来てもらえるような仕組みを考え、実際に取り組んでもらいました。すると、前月は0だった新規の取引先が、1ヶ月ほどで6社、冬眠顧客が5社ほど復活し、成約に繋がったのです。
こうしたことを目の当たりにした反対派の営業マン達は、それまで当たり前のように行っていた御用聞きや、顔つなぎの為だけに取引先へ廻るという活動を止め、自分の顧客を自社へ来ていただく為にはどうすればいいか? という工夫を考え出すようになり、自ら積極的に取り組んで行きました。
後日、社長は「今まで当社に来てもらうということなんて考えたこともなかった。業界的にもそんな営業をしている所は無かったので、最初は不安でしたが、あの時決断してほんとうに良かった」と仰っていました。
周りがいくら反対しようが、自分がいい、と思ったことに対しては、とにかくやってみる、ことが大切です。せっかくいいと思ったことなのに、何もやらなくて後悔することだけは、ほんとに勿体無いことです。やってみて駄目ならそれはそれで経験になるので、次に活かせばいいだけのことです。
ということで、自分自身ではいいと思っている企画や案件で、周りに反対されたり、みんながいいというかどうか…ということだけで、決断することに躊躇していませんか? 自分の意志を押し殺して他人任せの決断をしようとしていませんか?
■今日のまとめ
『自分の意志で決断する。』
- 決断力を高めるには普段からどのようなことに気をつければよいか?また、どのような工夫ができるか? 考えてみる。
- みんなで1つのことを決めるとき、自分の意志や意見を必ず明確にし決断する。
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