仕事、勉強、スポーツ、およそどんなことでも基礎や基本を疎かにする人間が成功を収めることはできません。今回の無料メルマガ『起業教育のススメ~子供たちに起業スピリッツを!』では、著者で長く人材育成に携わってきた石丸智信さんが、一冊の本を紹介しつつ改めて「基礎・基本」の大切さを記しています。
基礎、基本をないがしろにしていませんか?
『「サービス」を安売りするな!』
高萩徳宗 著/成美堂出版
以前、有限会社ベルテンポ・トラベル・アンドコンサルタンツの代表取締役である高萩徳宗氏のご著書『「サービス」を安売りするな!」を拝読しました。その中で、見過ごされがちな基礎、基本を今一度見直すきっかけとなる一節が著されていました。
著されていた一節は、仕事についてでしたが、何らかの物事に取り組む上では、基礎、基本をないがしろにしないことが、とても大切ではないでしょうか。そこで本号では、その一節を引用しつつ、基礎、基本の大切さについて考察していきたいと思います。
本書の中で、高萩氏はこのように著されています。
世の中には、自分の仕事の本丸である「核」の部分は何か。お客に何を期待されているのかを理解せず、自分のやりたいこと、自分が楽しいことを「サービス」だと勘違いしている人が増えています。
まず、この一節を読んで、物事には絶対に外してはいけない基礎、基本があり、その基礎、基本をしっかりと身につけるからこそ、応用も利くことを教えてくれる言葉だと思いました。
例えば、算数の問題にも、基礎・基本問題と応用問題がありますね。まず、その基礎・基本問題に取り組むことになり、その問題を解き続けることで、その基礎、基本を身につけることになります。その上で、応用問題に取り組むことによって、その応用問題も解くこともできるのではないでしょうか。
もし、基礎、基本を身につけずに、1つの応用問題をたまたま解くことができたとします。ですが、別の応用問題も解くことができるか、というと、難しいのではないでしょうか。
こういったことは、仕事でも、スポーツでも、様々な物事において同様ではないかと思います。私自身、子どもの頃に野球をやっていたのですが、野球の基本であるキャッチボールをまず教えられたことを思い出します。
算数の基礎、基本問題や、キャッチボールなどといった基礎、基本の部分は、地味で、目立たない、面白みのないという側面もあるように思います。野球でも、経験を積んでいけばいくほど、ついついキャッチボールなどの基礎、基本を軽視してしまって、ないがしろにしてしまいがちです。
反対に、応用の部分や付加の部分というのは、派手で目立ちますし、面白みもあるので、自分でやっていても楽しく、面白く感じます。野球であれば、プロ野球選手の真似をして、ランニングスローなどをやると、その気になって楽しいですし、面白いです。
ですが、プロ選手は、基礎、基本がしっかりと身についているので応用が利くのであって、真似して、たまたまうまくいくかもしれませんが、それが常にできるか、というと難しいのではないでしょうか。
仕事においても、基礎、基本の部分を踏まえずに、この応用、付加の部分をやってしまうと、どうなるでしょうか。お客さんなど、相手から見ると、その人自身の独り善がりのように見えてしまうこともありますね。すなわち、相手の期待に応えているように見えて、実は、応えることができていない、ということになります。
逆に言うと、基礎、基本の部分をしっかりとやった上で、応用、付加の部分に取り組んだとしたら、相手の期待に応えるとともに、よりお役に立つことができる、のではないでしょうか。
最後に、基礎、基本の重要性に関して、バスケットボールNBAの元選手であるマイケル・ジョーダン氏の言葉があります。
一瞬でも基本を忘れたら、根本から崩れさってしまう。
スポーツにおける正しい技術、会社における倫理、心構えといった基本を忘れたら、試合に勝てないし、会社や学校で成績をあげることもできない。
私自身も含めて、基礎、基本を疎かにしていないか、と今一度、自らを見つめ直していきたいですね。
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