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年金崩壊や定年廃止も。武田教授が予測する日本の近未来予想図

もはや支払われるのかさえ怪しくなってきた、高齢化社会を迎えようとしている日本国民にとって最も関心の高い「年金問題」。近い将来、本当に年金は払われ続けるのでしょうか? 中部大学教授で老後に関する著作もある武田邦彦先生は、自身のメルマガ『武田邦彦メールマガジン「テレビが伝えない真実」』で、「年金は崩壊する」と持論を展開しつつ、年金以外にも今後の日本に起こりうるさまざまな現象を予測しています。

プロフィール:武田邦彦たけだ・くにひこ
中部大学教授。東京大学卒業後、旭化成に入社。同社にてウラン濃縮研究所長を勤め、芝浦工業大学工学部教授を経て現職に就任。現在、テレビ出演等で活躍。

「月2万の支給でも年金は年金だ!」こんな屁理屈がまかり通るのか?

先回の話で「たとえ少子高齢化が起こらなくても年金は崩壊する」ということがわかったかと思います。よく「年金は崩壊しない」という学者もおられますが、それは「60歳から月10万円」という約束が「85歳から月2万円」になっても「年金は年金だ」という、架空の話にすぎません。

私たちにとっては「最低限の老後を生きるための年金が、定年のころから支給される」というものを年金と言っています。まさに、年金を導入するときに政府が「これからの人生は『揺り籠から墓場まで生活が保障される」という錯覚があったからです。

また、これも先回までの整理ではっきりしたように、今後の日本社会は「少子高齢化対策」とか「保育所を整備して子供を産める環境を作る」などとはまったく関係なく、急速に50歳以上の人が過半を占めるようになるということです。

かつて、厚生省の年金課長が述懐しているように「積み立てた年金は貰う頃には価値がなくなっている」ということですし、「その時には賦課型年金にすればよい」と言っても、負担すべき若者もいないのです。つまり、近未来の日本社会はどうみても「年金が支払われるということは非現実的なのです。

このことを政府も、メディアもほとんど報道しないでしょう。年金は「赤字になった」という理由で徐々に支給年齢と支給額が減り、さらに現在すでに行われている「介護保険料」などがいつのまにか導入されると考えられます。もともと高齢になれば「介護」が必要な人が増えるのですから、最初から年金の計算に入っていそうなものですが、前回の年金課長の発言から、政府はまったくそんなレベルではないことがわかると思います。

したがって、私たちは政府に頼ることなく個人で個人の人生を考えるしかないのです。その時、すでにこのシリーズで述べましたので繰り返しませんが、

  1. 50歳になったら、全力で60歳から90までの貯蓄(お金、健康、恩)を始めること
  2. 正しい知識で自分の健康を保つこと
  3. 「自分は90歳まで動ける必要がある」と繰り返し口に出し、頭で理解しておくこと
  4. 60歳から90歳までの30年間、生活費の3分の1は何らかの形で手に入るようにしておくこと
  5. 人との関係を大切にし、感謝の心をもって人に接し、お世話をすること

でしょう。

この中で、なんといってももっとも大切で、かつ難しいのは、90歳まで働けるか?ということでしょう。これは勤めている男性だけに関係があるのではなく、単身の女性、バツイチの女性、専業主婦などにも共通して、今までと違った考え方が大切です。

定年が80歳に?ここ10年で起きる「社会的な大きな変化」

たとえば「定年を迎えて家でゴロゴロしている旦那が面倒」という主婦がいて「粗大ごみ」などと言っていますが、定年から40年もあり、年金も十分にもらえないのですから、夫が他界した後、主婦の生活も大変です。「粗大ごみ」と言っていた時代の夫というのは、「もう、十分稼いだからゴミのようなものだ」ということですが、これも考え直す必要があります。

膝も痛い、腰も痛いとなると外出もままになりません。また、医療費の高騰で医者にかかるのも高いし、大病院で診てもらおうとするとまず近くの医師に診察してもらい、5000円を払って紹介状を書いてもらう必要があります。

女性だけでなく、子供にとっても新しい課題が出てきます。たとえば80歳で一人で住むのが難しくなった親の面倒をみるとすると、子供は平均的に50歳になっていますから、これから第二の人生のための貯えの時期に入るのですから、親の面倒もほどほどにしたいということもあり、親が100歳近くなると子供も70歳になり、まさに「老々介護」になります。

つまり、ここ10年ぐらいで起きる社会的な大きな変化の一例をあげると、

  1. 定年が75歳から80歳に延びる。病気の人は退職せざるを得ない
  2. 定年のない企業が増える(アメリカの大学は定年がない)
  3. 年金がどんどん切り下げられる(若者が我慢できなくなる)
  4. 60歳が定年のお役人の退職者で街があふれる
  5. 何もすることがなく精神的に不安定になる女性が増え、ギスギスする
  6. 元気な老人が必要となり、血圧やコレステロールの制限がなくなる

などがあり、スーパーやレストランばかりではなく、衣料品、趣味、テレビの番組など何から何まで大きく変化するでしょう。

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image by: Shutterstock.com

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中部大学教授の武田邦彦です。主に環境問題や資源に関して研究を行っております。 私のメルマガでは、テレビや雑誌新聞、ブログでは語ることが出来なかった原発やエネルギー問題に鋭く切り込みます。

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