「我が国の大手メディアは真実を報道しない」と言われて久しいですが、台湾出身の評論家・黄文雄さんによると、台湾での出来事も日本では正しく伝えられていないようです。黄さんは自身のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』で、中国資本により言論が歪められつつある台湾の実情を記すとともに、せめて日本のマスメディアには台湾の事情と真実を伝えてほしいと訴えています。
※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2018年10月31日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう)
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。
【台湾】日本で歪められる台湾のニュース
よく「日本人の常識は世界の非常識、世界の常識は日本人の非常識」などと言われますが、私は文化はすべてユニークなものだという文化観があり、中国人、韓国人の「常識」も「非常識」なものです。
日本の文化人、言論人で、台湾と中国を同一視する人も少なくありません。しかし、中国と台湾は、同じモザイク社会でも体制のみならず歴史の歩みも異なっているため、「常識」すら違っています。以下は、台湾を知るために最低不可欠の「常識」です。
- 台湾は多言語、多文化、他文明、多民族の社会で、その多様、多元こそが社会のベースとなっています。
- 多様、多元だけでなく、国家、民族、政治、経済、社会、文化、アイデンティティまで、中国とは異なっています。
- はるか17世紀のオランダ時代から、鄭成功三代、清の212年、日本時代、中華民国統治時代まで、島と陸、台湾と中国とは「絶対不可分」などでは「絶対」なかった。あくまで敵対的であり、それは現在も続いている。
- 日本時代の50年と中華民国時代の70年の台湾人は、アイデンティティも「人となり」も決して同じではない。
以上のことについて、日本の学者、文化人、言論人、ジャーナリストさえ「常識不足」であり、わざわざ事実を歪曲することすらあります。
目下の台湾は、11月24日の統一地方選挙(中間選挙)を控え、藍(ブルー、中国派)と緑(グリーン、台湾派)、白(ホワイト、無党派)が激突し、パフォーマンス合戦を繰り返しています。
国民党台南党本部の候補者は、わざと党本部の一角に「慰安婦像」をつくって、反日パフォーマンスをしています。国民党本部も党員、シンパなどを動員して、台北の日本代表所(大使館に相当)に押しかけるなどの反日行動をアピールしました。
国民党の反日パフォーマンスを「台湾人の反日」として針小棒大に書きまくったのは、反日日本人の言論人です、それはまさしくフェイクニュースで、私は実にいやらしさを感じます。
長年にわたる国民党の統治下で、学校教育から社会にいたるまで台湾語の使用はタブーとされてきましたが、「国語」とされる北京語専用は、世界最大のチャイナタウン・台北を中心に、北部だけに限定されてきました。
日本の各社マスメディアの特派員は、日中台3つの言語ができる通訳を雇うのが常識です。日本のメディアの特派員が現地取材したか、たんにネットからピックアップして記事にしたか、内容を一読すればすぐにわかります。
10月20日に台湾独立派「喜楽島連盟」が台湾独立を問う住民投票の実施を台湾民進党本部前を求めてデモ行進をしましたが、産経新聞も結果だけの記事を流していました。それはしかし、偏見に満ちたものです。
「喜楽島連盟」の台湾総督府包囲デモについて、蔡英文総統は先手を打って台湾民進党員の参加を阻止、しかも総統府前の大通りはすでに台北市政府が別団体のデモ行進を許可していたという理由で、「喜楽島」の総統府包囲デモを台湾民進党本部前の数百メートルに限定したのです。つまり、住民投票を要求するデモを葬ったのです。
産経新聞は、単に結果だけを伝えて、その経過を報じませんでしたが、それは台湾の国民党本部のホームページに書いてあることをそのまま使用したからだという声も多いのです。もちろん、産経新聞は蒋介石以来の台湾国民党政権との付き合いも長いので、複雑な台湾事情については、日本のマスメディア各社よりもよく知っているはずです。
台湾のニュースについては、せめて公正、公平、そして真実を伝えてほしいと願うのは、決して私一人ではないでしょう。
目下、台湾独立系のメディアは「自由時報」以外にはテレビでは「民視」と「三立」くらいしか残っていないので、「三民治」(サンドイッチ)などとも言われています。ほとんどが中国資本(中資)といわれています。
台湾の言論界は中国の言論とほぼ一致しています。せめて日本のマスメディアだけは、台湾の事情と真実を伝えてほしいものです。それをこのメルマガで声を大にして言いたいと思います。
image by: 中國國民黨 KMT - Home | Facebook
※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2018年10月31日号の一部抜粋です。初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込648円)。
こちらも必読! 月単位で購入できるバックナンバー
※ 初月無料の定期購読手続きを完了後、各月バックナンバーをお求めください。
2018年10月配信分
- 中華社会とジェンダー問題/日本で歪められる台湾のニュース(10/31)
- なぜ中国は民主主義が永遠に不可能なのか(10/23)
- 偽英雄である李舜臣の旗を掲げて日本を侮辱する韓国の愚/「国交を超える日台の絆を探る旅」を終えて(10/16)
- 後出しの理由づけでゴネるのが中華の本質/中韓によるノーベル平和賞の政治利用に注意せよ(10/10)
- ハイリスク金融の破綻続々の中国、ついに景気悪化報道も規制/世界最大の自転車メーカーがつなぐ日台の絆(10/3)
2018年9月配信分
- 欧州はようやく中国の異常性に気づき始めた/台湾人外交官を死に追い込んだ中国のフェイクニュースの実態(9/25)
- 建国70周年を迎える中国は米中貿易戦争に絶対勝てない/すべてが政治の中国に、娯楽作品は無理(9/18)
- 日台の厳しい出版事情を相互交流で乗り切れ(9/12)
- メディアの教育を日本政府に要求するが、人民の教育もできない中国(9/4)
2018年8月配信分
- 「台湾製」表記を許さない中国でも避ける「中国製」/絶望的な中国の学生デモの現状(8/28)
- 中国の妨害に屈せず「日本精神」で通じ合う台湾とパラオ/歴史的に監視大国だった中国が監視カメラとAIで行き着く先(8/21)
- 終戦記念日を迎え、戦後73年の日台関係を考える(8/15)
- 【終戦記念日にあわせてメルマガ発行日変更のお知らせ】(8/14)
- 水不足の中国が金門島に送水する政治的思惑(8/7)
2018年7月配信分
- 国際大会を中国に阻止され、ますます強化された日台の絆(7/31)
- 日台の絆を悪用して台湾人になりすます中国人/アフリカしか相手にしなくなった一帯一路(7/24)
- ついに中国で反・習近平の狼煙が上がった/中国に対して「Think different」できないアップル(7/17)
- 台湾で環境保護運動が進む本当の意味/マナー無視の中国人が自らを窮地に追い込む(7/10)
- なぜ中国人は他人の不幸を喜ぶ民族なのか/米台接近に日本も加わるときが来(7/3)
2018年6月配信分
- 李登輝氏が沖縄で「為国作見證」を示した理由/日本人から「日本精神」が消える日(6/26)
- 大阪地震への支援表明した台湾が目指す華僑支配からの脱却/もう韓国との付き合いを完全に変えるべき時だ(6/19)
- 米朝首脳会談後、台湾を巡る米中激突が本格化する/日本時代の建物を残したいという台湾人の思い(6/12)
- 天安門事件を直視できない中国に未来はない/アップルマンゴーの父が残した日本の作物技術(6/7)
※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2018年10月31日号の一部抜粋です。