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穴だらけ「入管法」を通す日本が学ぶべき、韓国の雇用許可制

野党各党から「穴だらけ」と猛反発を受けながらも27日夜、与党の強行採決で衆院を通過した入管法改正案。外国人労働者を「労働力」としてしか見ていないとの批判が相次いでいますが、後に禍根を残すような事態に陥ることはないのでしょうか。「諸外国では労働市場テストを実施した上で外国人労働者を受け入れるのが一般的」とするのは、健康社会学者の河合薫さん。河合さんは自身のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』で、世界が評価する韓国の「雇用許可制」を紹介した上で、日本も韓国から学ぶべきとしています。

※本記事は有料メルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』2018年11月28日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:河合薫(かわい・かおる)
健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。

ちゃんとやろうよ!労働市場テスト。

外国人労働者受け入れ問題。国会では、きちんとした実のある議論が行われないまま、衆議院で強行採決されました。

んったく…。あの野蛮な決議。何回やれば気がすむんでしょうか。

法務省が公表した「嘘のアンケート結果」など、「人」に関わる問題なのに最初から最後まで労働力としてしかみない政府の姿勢には、嫌悪感を抱かずにいられません。

これまで何度もこの問題に関しては書いてきました。

みなさんからのご意見もいただきました。

普通に考えれば、なぜ、そこまで拙速に法案を通そうとするのか。またもや…何か裏があるのでは?などとうがった見方もしたくなります。

そもそも諸外国では、「労働市場テストを実施した上で外国人労働者を受け入れるのが一般的です。これは「国内の労働者により充足されないことを確認するなど、労働市場の状況を勘案して国外の人に就労の許可を与える制度」です。

つまり、

ではなく、

といった具合です。

特に韓国の雇用許可制」は「人にやさしい制度」として、国際労働機関(ILO)からアジアの「先進的な移住管理システム」と評価されました。2011年6月には国連から「公共行政における腐敗の防止と戦い」分野における最も権威ある賞とされる国連公共行政大賞」を受賞しています。

それを可能にしたのが、「日本モデルからの脱却です。

韓国では、かつて日本の研修生制度をモデルに外国人労働者受け入れをスタートしました。ところが、今の日本と同じような問題が発生し、「現代版奴隷制度と世界中から批判を受けました日本も同様の批判をされています)。

そこで盧武鉉政権の下、「日本モデルを捨て2004年8月に「外国人勤労者雇用などに関する法律」を施行。「雇用許可制」という、国内で自国の労働者を雇用できない韓国企業が、政府から雇用許可書を受給し、合法的に外国人労働者を雇用できる制度を導入したのです。

さらに、民間企業や地域と協働して、外国人を生活者として受け入れる政策も進めました。2007年には「外国人処遇基本法、08年には「多文化家族支援法」などを相次いで制定。外国人参政権も認められるようになっています。

ソウルから、地下鉄4号線で南へ約1時間ほどの場所に位置する安山市は積極的に外国人を受け入れ、韓国でいちばん外国人労働者が多い町として有名です。

「安山市外国人住民センター」には、多言語図書館、多文化情報学習館診療所、朝鮮語の学習施設、母国語教育など、あらゆる面からのサポートをほとんど無料で提供し、活動の多くをボランティアたちが支えています

国と国を分ける境界線はあっても、人と人を分ける境界線はない。「心の壁」を取り払う工夫と努力に、国と国民が一体となって取り組んでいる姿には、日本が学ぶべきことがたくさんあります。

image by: shutterstock

※本記事は有料メルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』2018年11月28日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め初月無料のお試し購読をどうぞ。

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※『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』(2018年11月28日号)より一部抜粋

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米国育ち、ANA国際線CA、「ニュースステーション」初代気象予報士、その後一念発起し、東大大学院に進学し博士号を取得(健康社会学者 Ph.D)という異色のキャリアを重ねたから書ける“とっておきの情報”をアナタだけにお教えします。
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