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ファーウェイCFO逮捕の報復でカナダ人に死刑判決を下す中国の闇

1月14日、麻薬密輸に関わったとされるカナダ人に対し、中国司法当局は死刑を宣告しました。昨年12月に起きたファーウェイCFOのカナダでの逮捕劇への報復措置と憶測され、世界的に批判が高まりそうです。国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんは、自身の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』で、対米国のみならずカナダとの外交も暗礁に乗り上げつつある中国は、着実に自滅へと向かっていると記しています。

中国、カナダ人男性に【死刑判決】の影響は?

皆さんご存知のように、昨年12月1日ファーウェイ創業者の娘孟晩舟さんがカナダで逮捕されました。それで、中国とカナダの関係は一気に悪化した。中国はその後、カナダ人を13人も逮捕したと報じられています。

そして、こんなニュースが入ってきました。

中国、カナダ人男性に死刑判決 ファーウェイ問題で関係悪化

CNN.co.jp1/15(火)10:24配信

 

北京(CNN) 中国で麻薬密輸にかかわったとして有罪判決を受けたカナダ人男性が14日、中国北東部・大連市の中級人民法院で死刑を言い渡された。

カナダ人男性が麻薬密輸の容疑で死刑】だそうです。詳細を見てみましょう。

死刑判決を受けたのはカナダ人のロバート・シェレンバーグ被告。判決によると、同被告は2014年11月に麻薬密輸組織によって大連に派遣され、222キログラム以上のメタンフェタミンを中国からオーストラリアへ密輸する手配をしたとされる。麻薬はタイヤなどに隠してコンテナに積み、シェレンバーグ被告は積み荷を点検して輸送の日程を決めていたとされる。しかし共謀者とされる人物が警察に出頭したことを受けてシェレンバーグ被告は大連から逃走し、14年12月1日に中国南部からタイへ出国しようとしたところを逮捕された。
(同上)

シェレンバーグさん自身は、なんといってるのでしょうか?

AFP通信の報道によると、シェレンバーグ被告は14日の判決言い渡しを前に、「私は麻薬密輸業者ではない。私は観光客として中国に来た」と訴えた。
(同上)

観光客として中国に来た」そうです。

カナダ側の反応

これ、どうなんでしょうか?シェレンバーグさんは、実際に麻薬の密輸に関わっていたのでしょうか?そんなこと、私にはわかりません。関わっていたのかもしれないし、関わっていなかったのかもしれない。

しかし、カナダ側の反応は、容易に想像できます。

● 麻薬の密輸で死刑なんてひどい!

カナダには死刑がありません。その一方で、中国と比べると麻薬に寛容です(麻薬に寛容なのがいいとは思いませんが…)。

● ていうか、そもそもシェレンバーグさんは無罪で、中国は孟晩舟さん逮捕に復讐しているだけではないのか???

こういう反応はあるでしょう。ちなみに、こんな事実もあります。

シェレンバーグ被告は当初、2016年に裁判にかけられ、麻薬密輸にかかわった罪で18年11月に有罪判決を受け、禁錮15年を言い渡されたことを不服として控訴した。しかし同年12月になって、シェレンバーグ被告が中心的役割を果たしていたことが検察の調べで明らかになったとして、高裁が審理のやり直しを命じていた。これに先立つ12月1日には、カナダで華為技術の経営幹部、孟晩舟(モンワンチョウ)容疑者が警察に拘束され、中国との外交関係が悪化した。
(同上)

これ、普通に考えたら、中国はカナダに復讐したくて判決を厳しくしたんだな」と思えますね。つまり、「中国は、法治国家ではないな」と。

影響は深刻

トルドー首相は、こんなことをいいました。

カナダのトルドー首相は14日の判決を受けて記者会見を開き、「カナダ人が罪に問われた事件で、中国が恣意的に死刑を適用し始めたことを、我々は政府として強く懸念する。国際社会の友好国や同盟国にとっても懸念すべき事態だ」と指摘した。
(同上)

中国が恣意的に死刑を適用し始めた」そうです。

上にも書きましたが、中国は法治国家ではない。お上の意向で判決がゆるくなったり、厳しくなったりする異常な国だと。そして、

「中国が恣意的な法執行も」…カナダが渡航注意

読売新聞 1/15(火)11:08配信

【ニューヨーク=橋本潤也】カナダ外務省は14日、カナダ国民の中国渡航に関し、中国当局による「恣意(しい)的な法執行」による拘束などの恐れがあるため、細心の注意を求める渡航情報を出した。米国務省も今月3日、米国民に同様の渡航情報を出している。

アメリカに次いで、カナダも、「中国に行くと無実の罪で捕まる危険性があるから要注意!」と警告しています。アメリカ、カナダから中国への旅行者は、激減するのではないでしょうか?そして、「死刑が大嫌い」な欧州諸国でも、反中の機運が高まることでしょう。

この一件、中国にとって「致命的」とはいえないでしょう。しかし、「方向性自滅」です。こういう言動を積み重ねていけば、国際社会で中国は、「異常な国という悪評が固まり、「孤立」し、「自滅」します。

これからの中国を、注視していきましょう。

image by: Shutterstock.comastudio / Shutterstock.com

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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