「成功しない人の典型的な気質」を知り、その逆を行けば成功が見えてくるのは自明の理。今回の無料メルマガ『弁護士谷原誠の【仕事の流儀】』では、著者でテレビ朝日『報道ステーション』などの解説でもお馴染みの谷原誠さんが、ある成績が伸びない少年の「考え方」を例に上げつつ「成功しない人特有の気質」を紹介するとともに、そこから脱却する方法をレクチャーしています。
許さない勇気
こんにちは。弁護士の谷原誠です。
少年は、悩んでいました。学校のテストの成績が悪いのです。少年は、塾に通っていました。自分では頑張っているつもりです。
また、テストの答案が返ってきました。点数は、55点。周りの友達に聞いてみると、90点を取っている人、80点を取っている人。中には40点の人もいました。
「ああ、40点の人がいるのかあ。良かった。自分はまだ最下位ではない」
少年は、安心しました。
「また、次のテストで頑張ろう」
そして、次のテストになりました。答案が返ってきました。点数は、50点。自分では頑張ったつもりです。周りの友達に聞いてみると、90点を取っている人、80点を取っている人。中には40点の人もいました。
「ああ、40点の人がいるのかあ。良かった。自分はまだ最下位ではない」
少年は、安心しました。そして、少年は、最後には、40点になり、同点最下位になってしまいました。
少年は、こう考えました。
「ああ、40点の人が他にもいた。良かった。自分だけ最下位じゃなくて」
この少年の成績が上がらない理由。それは、色々考えられるでしょう。ただ、成功しない人が持っている典型的な気質を持っていることがわかります。
私たちは、自尊心を満たさなければ、自己重要感を満たさなければ、自分を正当化しなければ、苦痛を感じます。この少年もそうです。テストで悪い成績を取ったとき、自尊心が傷つきます。自己重要感が低下します。苦痛を感じます。
そこで、この少年は、心の苦痛を和らげるため、自分よりも成績が悪い少年を見つけ、「自分はまだ大丈夫だ」と傷ついた自尊心を修復しています。そう考えないと、自尊心が傷つき、耐えられないのです。
イソップ寓話のキツネが、ブドウを取ることができず、「どうせあのブドウは酸っぱいに違いなかったのだ」と自己正当化しないと、諦めきれなかったのと同じです。
しかし、少年の、「自分はまだ大丈夫だ」という気持ちは、「このままでいいんだ」という気持ちを生み出します。つまり、それ以上の努力の必要性を消してしまう、ということです。
ここは重要なところです。
努力によって結果が異なってくる場面で結果を出せなかったことを自己正当化してしまうと、それ以上の努力をする気をなくしてしまう可能性がある、ということです。
「参加することに意義がある」という言葉がありますが、この言葉は、参加するかどうか迷っている段階で使うのは良いと思います。しかし、試合に負けたり、結果を残せなかった時に使うと、それは、試合に負けたことを自己正当化するための言葉となり、負けた悔しさをバネに、次に向け、猛烈に努力しようとする気持ちを消してしまう恐れがあります。
常に向上していくためには、結果を残せなかった時、うまくいかなかった時には、自分を許さない勇気が必要なのではないか、と思います。
ダメな自分を決して許さず、努力を重ね、結果を出した時に、その結果の達成によって自尊心や自己重要感を満足させる、そんな思考になる方が、成功しそうな気がします。
そんな、「自分を許さない勇気」を持ちたいものです。
今回は、ここまでです。
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