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管理組合が火災保険の「付保割合」を知らないマンションは危険

自分が住んでいるマンションの保険内容をしっかりと把握されている方、案外少ないかもしれません。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』で著者の廣田信子さんが懸念しているのは、火災保険の付保割合。一体なぜなのでしょうか。

あなたのマンションの保険の「付保割合」は何%?

こんにちは!廣田信子です。

先日、管理組合から相談を受けている仲間たちとの情報交換で、お金がないのに、30年以上も付保割合100%の保険をかけ続けているマンションがまだまだ多いことが話題になりました。

付保割合とは、建物評価額共用部分の何%を保険金額にするかという割合のことです。

管理組合が共用部分の火災保険を掛ける場合、鉄筋コンクリート造のマンションで火災やガス爆発があったとして修復に満額必要とは考えにくいので、付保割合を30%~60%ぐらいに設定しているケースがほとんどです。付保割合ついては過去記事(17/06/07)でくわしく書いていますで、参考にしてください。

付保割合はどのくらいがいいの?

保険が適切か見てほしいと言われたとき、一番にチェックするのが付保割合です。しかし、保険契約に関する情報として、総会議案書にあるべき付保割合の数字が記載されていない場合があります

「付保割合も分からなくては、適切な保険かどうか判断できないじゃない…というのは、ある程度マンション管理の知識がある者の発想で、ほとんどの組合員は、それが何を意味するのかも知らないのが普通なんだろう。でも、金が足りなくて大規模修繕工事もできない状況で、付保割合を下げる提案をしないって、管理会社がひどくない?」という話になりました。たいていは、管理会社が代理店となる保険に加入しているからです。

管理会社の実情をよく知る人が言います。

「管理会社は企業だから、売上、利益を上げるのが目的なので、管理組合側が無関心なのに、あえて、自分たちの売り上げを減らすような提案はしないと思った方がいい。わざと付保割合の数字を議案書ではわからないようにしていることもある。理事だけなら、適当に丸め込めても、組合員全員となると、その中には、保険会社勤務の人もいて、突っ込まれると面倒だから」…と。

「でも、自立した運営をしている管理組合の理事さんは、うちの管理会社はしっかり情報公開した資料をつくってくるよ。組合員の中には、それぞれの分野のプロがいるから、管理組合に不利益な情報を隠していると思われると、管理会社が信用を無くし、リプレースに繋がりかねないから…」と言います。

管理会社も、結局、相手を見て対応の仕方を変えているのが実情なのでしょう。

しかし、保険でいくら儲けても、大規模修繕工事もできないような状況だと、管理会社だって困るでしょう…というと、「もう、管理会社は、その管理組合を捨てるタイミングをみているのかも。大規模修繕工事もできない高経年マンションは、そのうち、管理会社にも保険会社にも捨てられる」…とリアルでショックな発言が…。

でも、現実にそうなったときに、「これまで、管理会社に任せて何でも言う通りやってきたのに管理をやめるなんて酷いじゃないか…。これまで、無駄な付保割合100%の保険料を払い続けてきたのに、ここで引き受けないなんて酷いじゃないか…」といっても、管理会社も保険会社も取り合わないでしょう。

自分たちの無関心は、管理会社に都合がいいようにやっても大丈夫いう免罪符を与え、限られた情報しか与えられず、結局、無駄なことにお金を垂れ流すことになる。突然、大幅にお金が不足することを知らされ、修繕積立金の大幅値上げを迫られる。そして、その合意形成ができなければ、管理会社にも保険会社にも見限られる…

そんなことが、これから起きてくるのでは…という話になりました。

皆さんのマンションの火災保険(マンション総合保険)の付保割合は何%ですか?もし、知らないな~ということなら、議案書を見て確認してください。議案書で確認できないようなら…理事に聞いてください。理事が何のことは分からず答えられないようなら、それはかなりの要注意です。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 廣田信子 【発行周期】 ほぼ 平日刊

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