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サンゴ礁の北上と死滅が、なぜ「沖縄の海の青さ」を奪うのか?

数ある沖縄の魅力の中でも、国内でほかに代わる場所のないものとして、青く透明な海と白い砂浜、きれいなサンゴ礁を挙げる人は多いのではないでしょうか。しかし、この数年、サンゴ礁の北上や白化現象が伝えられ、このままでは沖縄のサンゴ礁は失われてしまうと、メルマガ『ドクター徳田安春の最新健康医学』の著者で現役医師の徳田先生は訴えます。そして、サンゴ礁の死滅は、沖縄の海の色をも奪ってしまうと、その理由を説明しています。

サンゴ礁壊滅と日本の責任

世界でサンゴ礁が危機に瀕しています。原因は地球温暖化、海洋酸性化と汚染、そして魚の乱獲です。過去70年間で世界のサンゴの20%が死滅しました。現在、サンゴ礁が存在するのは、世界の海洋の1%未満のみとなっています。

オーストラリアのグレートバリアリーフが世界最大のサンゴ礁ですが、日本にも沖縄から九州にかけてサンゴ礁が広く分布し、沖縄の石垣島と西表島の間には日本最大のサンゴ礁「石西礁湖」があります。

しかし、この石西礁湖では、最近の数年間で白化現象が何度もみられています。海水の温度上昇や酸性化によって、サンゴと共生しているプランクトンが死滅し、サンゴが白くみえる現象です。白化したサンゴはしばらくすると死んでしまいます。

サンゴ礁壊滅の原因

サンゴ礁は生物多様性の宝庫といわれています。サンゴ礁とその周辺には何百種類もの海洋生物がいるのです。これらには多種類の魚介類が含まれており、ビタミンやミネラルなど人類の貴重な栄養素となっています。その意味で、人類もサンゴ礁に共生しているのです。

沖縄のサンゴ礁が死んでいる最大の原因は地球温暖化です。海水温の上昇は共生しているプランクトンを減らし、サンゴを白化させます。日本周辺の海水温は上昇しているので、サンゴ礁の分布は年間で約10キロメートルも北上しています。

しかし、海洋酸性化の影響で、北上しているサンゴ礁も死滅し始めています。酸性化の原因は大気中の二酸化炭素の増加です。二酸化炭素が海に溶け込んで水素イオンを増加させ、海の酸度を高めるのです。つまり、地球温暖化の最大原因である二酸化炭素増加が共通原因なのです。

日本からサンゴ礁が無くなる

最近の研究では、現在のペースで地球温暖化と海洋酸性化が進むと、2070年代には日本からサンゴ礁が無くなると予想されています。最大の原因は大気中の二酸化炭素です。

サンゴ礁がなくなるとどうなるか。まず、海がどうなるかについてみていきましょう。沖縄の海岸の砂が白いのはサンゴ礁や貝の殻が分解されてできているからです。沖縄の海が青いのは、太陽の光のうち青色の光線が海底の白い砂に反射されるためです。

このままのペースで大気中の二酸化炭素が増えると、沖縄の青い海と白い砂が見られなくなるかもしれません。大気中への二酸化炭素の排出量を国別にみたランキングがあります。2017年のランキングを見ると、1位が中国、2位アメリカ、3位インド、4位ロシア、そして5位が日本です。世界で5番目に多くの二酸化炭素を排出している日本の責任は大きいのです。温暖化対策を日本全体で真剣に考えるべきと思います。

文献 山野博哉。世界と日本におけるサンゴ礁の状況、今後の予測、そして保全に向けた取組。日本サンゴ礁学会誌。第19巻。41-49 (2017)。

image by: Damsea, shutterstock.com

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