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【書評】敏腕医師が、絶対かかりたくない医者「5つのタイプ」

引退した医師ではなく、現役の医師が「本音」を告白する本はなかなかお目にかかれません。そんな中、今回の無料メルマガ『クリエイターへ【日刊デジタルクリエイターズ】』で編集長の柴田忠男さんが紹介しているのは、読み手が思わず「失礼なのでは?」とすら感じてしまう質問に若手医師が赤裸々に答える一冊。同業者が「かかりたくない」と思う医者の5タイプとは?

偏屈BOOK案内:『医者の本音 患者の前で何を考えているのか』


医者の本音 患者の前で何を考えているのか
中山祐次郎  著/SBクリエイティブ

帯に「ここまで書いていいの?現役の医師が勇気をもって明かす」とある。この本は医療業界の暴露本ではない。医者に面と向かって聞いては失礼ではないのか、機嫌を損ねるのではないか、そんな医者が答えづらい質問をいくつも考えて、著者に突きつけたであろう、企画した編集者はエラい。本の構成がしっかりしている。中見出しもうまい。たぶん医者の本音が出ていると思う。

著者は外科の医者になって12年、これまでの手術件数は1,000件超、外科専門医、がん治療認定医、内視鏡外科技術認定医(合格率26%の高難度手術資格)である。ちょっと自慢、自信たっぷり。いままでも医者の本音を語ると銘打った本は少なくないが、たいていは引退前後の医師が書いたもので、この本のように、これから数十年を見据える若手医師の書いたものは初めてかもしれない

医者業界全体の本音(といいつつ建前も多い)からは、たぶん(いい意味で)ズレている。業界としては、あまり公開してほしくない内容もあると思うが、それこそ読者として知りたいところである。患者と医者の関係を同じ病気に立ち向かうパートナーへと変える第一歩となれば嬉しいという。患者としては望むところだ。

著者の考える「良い医者」とは、医療技術・知識に加えてコミュニケーション能力も高い医者である。それは「これからの医療界に変革をもたらすAIに、人間の医者が適合するための必須スキルだからです」。適合とは、医師がAIと調和をとれるようにならねばならぬ、という意味だ。すでにAIにそこまできている。AIはもうすぐ内科医のように診断し、外科医のように手術するようになる。

そのとき、人間の医者がAIより優れた能力を発揮できるのは「共感力」である(それだけかもしれない、とわたしは思うが)。AIは正確な説明はできても、患者の感情を共有した視点で治療を選択することはできない。そこを人間の医師がAIを補完するかたちで協業する。AIと人間と二人三脚?人間が通訳?

患者が望むコミュニケーションの4要素というのがあって、支援的な環境悪い知らせの伝えかた付加的な情報安心感と情緒的サポートをいう。これはAIよりも人間のほうが優れているが、ここをおざなりにするコミュニケーション能力が低い医者がいる。「良い医者」とはいえず、AIにも適合できない。

筆者による「かかりたくない医者」の5タイプとは、話を聞かない医者話を遮る医者白衣がヨレヨレな医者看護師や若手医師に異常に高圧的な医者、「わからないと言えない医者。こんな医者は医者である自分から見てもイヤだ、そう書く真意は「私も気づいたらそうなっているかも、気をつけよう」という自戒だ。

筆者は大腸がんの専門なので、「がんを告知されたときにすべき3つの質問」を教示する。

  1. そのがんの治療に慣れているか、1年で何人くらい担当しているか
  2. どんな予定で検査や治療を進めるか
  3. 私・家族にできることは何か

1.なんて聞きにくいが、がんの治療は命を左右するから、遠慮なく聞くべきだ。また「わからないと言えない医者は信用できないという。こういう質問をするシーンが来ませんように……。

編集長 柴田忠男

image by: Shutterstock.com

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