韓国の文在寅大統領がタイの有力紙「バンコクポスト」の取材に対してまたも日本批判を展開し、ASEAN諸国に対して自国の味方につくことを要請したことが報じられました。台湾出身の評論家・黄文雄さんは自身のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』で、これまで文氏がASEANで繰り返してきた外交的欠礼を指摘するとともに、そんなASEANでしか「日本との反目」を呼びかけるほかなかった韓国の置かれた立場等を解説しています。
※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2019年9月3日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。
プロフィール:黄文雄(こう・ぶんゆう)
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。
【韓国】対日共闘をASEANに持ちかける文在寅大統領の愚
● 文氏「日本の報復は世界経済に悪影響」 ASEAN諸国へアピール狙う
9月1日からの東南アジア歴訪を前に、文在寅大統領は現地メディアの取材に応じ、韓国への半導体素材輸出管理強化や「ホワイト国」除外について、「日本の経済報復は、世界経済に悪影響を及ぼす」と日本を批判しました。加えて、ASEAN諸国に日本が対話に応じるように協力してほしいと要請しました。
ただし、ASEAN諸国は非ホワイト国です。もともと韓国はアジアで唯一のホワイト国として優遇されていたわけですが、その優遇措置が外されたからといって、もともと優遇されていないASEAN諸国が韓国の味方につくはずもないでしょう。
やはり韓国には、「絶対に正しいのは自分たちだけ」という思い込みが強いのでしょう。そして、みんなが自分の味方についてくれると思っている。韓国政府は日韓GSOMIAの破棄について、「アメリカは理解してくれている」と発表しましたが、アメリカ政府から即座に「それはウソだ」と否定され、抗議を受けています。
彼らとしては、「誰もが正義である自分の側についてくれる、悪の日本などどこも応援するはずがない」と思い込んでいるのでしょう。
しかし、どう考えても、ASEAN諸国から好感度を得ているのは日本のほうで、韓国ではありません。
日本の外務省がASEAN10カ国を対象に実施した世論捜査では、「過去50年でもっとも貢献が大きかった国」として、日本を選んだ人が最多で55%、以下、中国(40%)、米国(32%)、韓国24%、オーストラリア23%でした。
その他の調査でも、ASEANの91%が日本を「信頼できる」と回答しており、もちろんこれはアジアで第1位です。
そもそも文在寅大統領は、今年3月にマレーシア、ブルネイ、カンボジアというASEANの3カ国を歴訪しましたが、マレーシアではマハティール首相との会談後に行った会見で、文在寅はマレー語ではなくインドネシア語で挨拶したことが発覚。さらに、イスラム教国で公の場での飲酒を禁じているブルネイで乾杯を提案、さらにカンボジア訪問時には自身のSNSにカンボジアとは関係ない写真をアップするなど、外交的欠礼を繰り返しました。
● 外交欠礼連発の文在寅大統領、イスラム国家では「乾杯」提案―韓国メディア
結局、文在寅大統領はASEANにまったく興味がないということなのではないでしょうか。そんなASEAN諸国を利用して、日本政府に圧力をかけようとしているわけです。
もちろんASEANとしても、表立って韓国に反論するわけもいかず、かといって変な答えをしてしまえば、「ASEAN諸国が韓国の言い分を理解してくれた」と喧伝されてしまいます。日韓2国間の問題をASEANに持ち込まないでくれというのが、正直な気持ちでしょう。
もはやこの問題でアメリカの仲介は期待できず、かといってあからさまに中国を頼るわけにもいかず、結局、ASEANくらいしが、不満のはけ口がなかったということなのかもしれません。
アメリカは中国がWTO違反を繰り返し、自身を発展途上国だと言い張っていつまでも「最恵国待遇」を受け続けることにNOを突きつけました。また、日本は韓国を「ホワイト国」から外し、貿易上の優遇措置を取りやめました。
それによって大中華、小中華とも罵詈雑言を繰り返し、大騒ぎしているわけですが、それはつまり、両国とも「別格扱い」を受けなければ存立が難しいということを意味しているわけです。
米中・日韓をめぐるトラブルを経済だけに限って見れば、世界経済にも大きな影響をもたらすでしょう。しかし、政治・社会・文化などの各分野から見ると、21世紀の時流を変えた事件であり、また、中国にとっても韓国にとっても、むしろプラスに働くと思っています。
日米としては、現政権を支持しないだけであり、大中華や小中華を潰すところまでは考えていないでしょう。日米の言論人などは、中国・韓国の人々に、今回の対立が得になるということを、さまざまなかたちで説くべきです。
この問題が長期化すればするほど、日米のみならず、中韓にとっても世の中が明るくなる一助となると私は考えています。
image by: 대한민국 청와대 - Home | Facebook
※ 本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2019年9月3日号の一部抜粋です。