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「筋肥大には高重量が必須?」ボディメイクのプロに聞いてみた

筋肉を大きくしたい。トレーニングに励む人には筋肥大を目標にしている人も多いでしょう。メルマガ『届け!ボディメイクのプロ「桑原塾」からの熱きメッセージ』の桑原弘樹塾長が、「筋肥大には高重量を追求すべきなのか?」という質問に答えます。桑原さんは、筋肥大のメカニズムから、可能性は高まるものの重ければいいものではないと、効果的なトレーニング方法と栄養摂取の面から効果を上げる方法をアドバイスします。

高重量は必須か?

Question

ウエイトトレーニングは高重量を扱わなくては大きくなれないのでしょうか。確かにバルキーな人は高重量を扱っている事が多いように感じますが、中には軽めの重量でも十分に大きい人もいるように思います。肩が痛いのであまり無理をしたくないのですが、やはり高重量を追求すべきなのか悩んでいます。(33歳、男性)

桑原塾長からの回答

結論的には軽い重量よりは重い重量の方が大きくなる可能性は高いと言えます。しかし、ここで言う重いというのは、速筋にどれだけ刺激を与えているかという意味における重さなので、ひたすら重ければいいという意味ではありません。

筋肥大に関してはまだまだ未解明な要素も多いので、一概に結論を言えない面があるのですが、分かり易い表現でいうならば「効く」という状態がとても大切です。効くというのは、速筋に対して効くという意味です。どんなに重量を重くしても速筋に効かなければ筋肥大にとっては効果的ではありません。

そこで大切なのがフォームなのです。正しいフォームとは2つあって、1つはより重い重量を挙げられるフォームです。これは主にパワーリフティングなどの競技者が追求するフォームです。

もう1つはより効くフォームです。こちらがまさに筋肥大を目的とした際のフォームと言えます。この効くフォームの状態で徐々に扱う重量を増やしていくと、やがてフォームが崩れてきます。これは効くフォームから挙げるフォームへと変わって(崩れて)いくことを意味しています。

また、筋肥大には大きく2つのメカニズムがかかわっています。1つは筋線維を壊して、そこから更に強くなろうと筋線維が修復していくという、いわゆる超回復のメカニズムです。

この場合にも更に2つのパターンがあり、1つは筋線維そのものが太くなるというパターンで、もう1つは筋線維が増えるというパターンです。

いずれにしても筋線維をしっかりと破壊(正確には微少な損傷)をする必要があるため、この場合にはより高重量という発想が当てはまりやすくなります。

もう1つのメカニズムとは、筋肉内のタンパク質の合成と分解のバランスをいかに合成に傾けるかというメカニズムです。

こちらに関しては単に高重量を扱うという発想では必ずしも十分ではなく、いかに合成を促進させるか、またいかに分解を抑制するかという別の発想も必要となってきます。

例えばエムトールという筋肉の合成のスイッチのようなタンパク質があります。これがリン酸化されることが筋肉を合成に傾けて、ひいては筋肥大へと繋がっていくのですが、この場合は単に高重量でリン酸化されることにはなりません

1つ目の筋線維を壊すトレーニングに関しても、理論的にも経験則的にもだいたい80%1RMで8レップが理想とされています。逆にこれ以上重い負荷にしても、先のフォームを崩す原因となるだけで必ずしも効果的ではないというわけです。

また2つ目の筋肉を合成に向かわせるというトレーニングは、更に重さ以外の要素がクローズアップされてきます。例えばスロトレやハイレップトレのように、筋肉内の酸欠を促進させて乳酸を溜めるようなトレーニングは合成のスイッチが入りやすいとされています。この場合はもはや重さというよりも、他の要素をもってトレーニングの刺激を高めるといった方がいいかもしれません。

質問の答えがトレーニング以外になってしまいますが、栄養という観点も重要となってきます。筋肉の材料となるタンパク質や必須アミノ酸がしっかりと補充されているということが前提になりますが、そこに加えてたとえばBCAAやHMBといったアミノ酸に関しては、合成のスイッチのエムトールのリン酸化を促進させることが分かっていますから、筋肥大には効果的と言えます。

もう1つ見落とされがちな要素は、合成ではなく分解を抑えるという発想です。合成と分解は綱引きと同じ状態ですから、合成を促進させるという要素と同じくらい分解を抑制するという発想は大切であり、また効果的なのです。

例えばトレーニング中は筋肉の合成はほとんど起こりません。むしろ分解に傾いていきます。ところがトレ直後から、一気に合成が勢いを増していってある時点で形勢が逆転をして最終的に合成が優位となるのが一般的です。そこでより合成を優位にするために、トレーニングに絡めて分解を少しでも抑える工夫があると、これも筋肥大の要素のひとつとなります。

代表的なものは、なんといっても糖質です。トレ直後の糖質はタンパク質以上に筋肥大には有効であって、それはすなわち分解の抑制という要素が重要ということでもあります。トレ直後にMD(マルトデキストリン)を摂取するのもいいですし、トレ中にCCDをBCAAと一緒に摂取しながらトレーニングするというやり方もトレ直後からの分解抑制と合成促進に効果があります。

アミノ酸でいえば、グルタミンが分解抑制には効果があります。トレーニングの前後に摂取するのもいいですが、就寝前などの摂取も睡眠時の分解を抑えてくれるという点において効果があります。特にこのタイミングは糖質の摂取を控えたいタイミングでもあるため、アミノ酸であるグルタミンの利用度はグッとあがっていきます。

質問の本質に戻りますが、重い方が効果的というのは単に重量を重くした方がいいという意味ではなく、トータル的な運動強度を高めていく中で重量というのは中心的な要素であるという意味です。

もし同じ内容のトレーニングをこなすならが、少しでも重い方が運動強度が高くなるため、筋肥大の効果もあがりやすくなるということです。効かせるという事に意識を集中させて、それが出来るようになったら少しでも従来よりも重さを増やしてみるという流れがいいと思います。

image by:  Shutterstock.com

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桑原塾塾長 桑原弘樹は、国内大手食品メーカーでサプリメント事業を立ち上げ、全商品の企画開発に携わる一方、全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部PDAなどの立場で、国内外問わず多くのトップアスリートに直にコンディショニング指導を行ってきた。サプリメントは作るだけにとどまらず、「日本で一番使っているのでは」と豪語するほどのユーザーでもあり、年間300回のワークアウトも欠かさない。サプリメントやダイエットなどの分野で、多くの情報が散乱する昨今。サプリメントを作り、自ら試し、活用法を指導してきた、桑原塾長が、本物で価値あるボディメイク情報を提供すべく、スクランブル発進する!!!

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