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アツレキを超える。ジリ貧の中小企業が手を組み大手を倒す戦略

現在、約2割が危機に瀕しているという日本の中小企業。ネット販売や外商活動に力を入れるなど、さまざまな対策を講じてはいるものの、先が見通せない小売店等も少なくありません。今回の無料メルマガ『がんばれスポーツショップ。業績向上、100のツボ!』では経営コンサルタントの梅本泰則さんが、そんな苦境を打破するためのアイディアを紹介するとともに、具体的な戦略をレクチャーしています。

地域小売店の生き残り策は

帝国データバンクが全国140万社を調査したところ、「危機に瀕している中小企業は31万社に上」る、とあります(日経ビジネス)。約2割の中小企業が危ない状態にあるというわけです。

そんなことで、各業界の中小企業が、この数十年で激減しています。スポーツ用品業界も同じです。スポーツ店の数は、2002年の18,000店から2016年には13,500店となり、約25%の店が無くなっています(商業統計)。スポーツショップの経営者は、この状態に動揺していることでしょう。人口の少ない地域では、なおさら深刻な問題です。こうした状況に対して、何か手を打つことはできるでしょうか。

もちろん、それぞれのお店では、さまざまな対策を講じています。ネット販売に舵を切ったお店。外商活動に販売を集中させたお店。多店舗化に投資をしたお店。取扱商品を絞りこんだお店。スポーツ関連施設の事業を展開したお店。いろいろです。

しかし、そうした手を打てないお店もあります。また、手を打ったけれど必ずしもうまく行っていないお店もあるかもしれません。では、その他に何か有効な手はあるでしょうか。私なりに考えてみました。

合従連衡がっしょうれんこう)」という言葉を聞いたことがあるでしょう。合従連衡とは、中国の戦国時代、強国秦に周囲の弱小6国がどのように対していくかを考えたものです。そして、「合従」というのは、6つの国が同盟を結んで秦に対抗する策で、「連衡」は6つの国がそれぞれ秦と同盟を結んで安泰を図ろうとする策を言います。どうも今回はこの策がヒントになりそうです。

合従連衡を考える

この戦略を小売店に置き換えてみると、合従策は小売のボランタリーチェーンに、連衡策はフランチャイズチェーンに当たるでしょう。地域の弱小小売店にとっては、どちらの策が良いと思われますか。

例えば、大手スポーツチェーンが本部となり、地域スポーツショップをフランチャイズとして傘下に収めるといったことも考えられます。連衡策ですね。その場合、地域スポーツショップの独立性はなくなります

一方、合従策はどうでしょうか。地域のスポーツショップが集まり協力して行く方法です。対抗する相手は、大手スポーツチェーン、大手ネットショップ、メーカー直営店といったところとも考えられますが、「時流の変化こそ真に考えるべき相手です。

実は、私は今後地域スポーツショップが生き延びていくためには、この「合従策がふさわしいと考えています。例えば、合従策によって複数のお店が集まり、共同で力を発揮できるようにするのです。その集まったお店の年商合計が10億円~20億円くらいになればどうでしょう。それなりに存在感のあるグループになります。一つの勢力になるはずです。ですから、この「合従策」を真剣に考えられてはどうかと思います。

そして、幸いにも私たちの業界には、それを可能にする土台の組織があるではありませんか。小売商組合です。全国各県には、それぞれ名称は違いますが、スポーツ店小売商組合があります。そこに加盟しているお店がその気になれば、合従策がとれると思うのです。一つの県だけでなく、複数県でまとまる方法もあります。

グループ化をする

もちろん、今までも各県の小売商組合は頑張って活動をしてきていることでしょう。しかし、本気で加盟店同士が手を組むことはなかったのではないかと思います。なぜなら、同じ組合の店とはいえ、お互いに地域での競争相手として考えられているからです。その証拠に、よく「お客を取った、取られた」という話を聞きます。

今後は、そんなアツレキを超えて、地域のお店が本気で協力していくことが必要でしょう。ただし、それもうまく運営しないと、途中で機能しなくなる可能性が高いです。そのためには、しっかりとした運営本部を作る必要があります。そして、運営本部のリーダーとなる人材が重要です。自分の店の事だけを考えるリーダーではなく、業界や地域のことを真剣に考えるリーダーを選びましょう。

リーダーが決まったら、運営本部は事業計画をしっかりと作らなければなりません。この場合、経営コンサルタントに手伝ってもらうことを勧めます。その方がスムーズに出来るからです。その事業計画には、必ず商品戦略を入れておきましょう。それも、グループの各お店に利益がもたらされる戦略です。例えば、どこかのメーカーさんに協力してもらい限定のスポーツウエアやシューズを作れないでしょうか。同時に販売方法も考えます。1つのお店で考えるより、複数のお店で考えた方が良いアイデアが出るはずです。

また、グループのウェブサイトを作ってはどうでしょう。一店舗で運営するより負担も減りますし、内容も豊富になります。スポーツ教室や大会などのイベントも、グループで行えば結構インパクトのあるものになるでしょう。さらに、人材の採用や商品管理、顧客管理なども本部で出来るようになれば、グループの意味も増します。

これらのことによって、きっとそれぞれのお店の経営も強化されていくことでしょう。そのためにも、ぜひ「合従策」を検討してみてください。

■今日のツボ■

image by: Shutterstock.com

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ワン・トゥー・ワンコンサルティング代表。スポーツ用品業界での経験と知識を生かし、業界に特化したコンサルティング活動を続ける。
スポーツ用品業界在籍33年の経営コンサルタントが、スポーツショップの業績向上法について熱く語ります。スポーツショップのために書かれた、日本初のメルマガです。ここには、あなたのお店がかかえている問題を解決するヒントがいっぱいです。

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【著者】 梅本泰則 【発行周期】 週刊

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