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井戸社長が斬る、大量閉店「いきなりステーキ」「幸楽苑」の今後

飲食店経営に関する読者からの質問にお答えするQ&Aコーナーや「レストラン訪問記」など内容盛りだくさんの、外食チェーンを知り尽くした男・井戸実社長のメルマガ『<ロードサイドのハイエナ> 井戸実のブラックメルマガ』。井戸社長は同メルマガの中で、最近「大量閉店」で話題となった、ステーキ専門店「いきなりステーキ」と、FC契約で「いきなり!ステーキ」「焼肉ライク」の展開も実施しているラーメン店「幸楽苑」の混迷について持論を展開しています。

「いきなりステーキ」と「幸楽苑」大量閉店のニュースに触れて

いきなりステーキの上級マイラーが心不全で亡くなったと言う話がネットで騒がれました。

ここ数年、追い風の追い風で一気に600店舗超まで駆け上がった、いきなりステーキですが、2019年中旬ぐらいから、一気に逆風に変わった感じがします。こんなネットニュースとか、もはや言いがかりじゃん、と言いたいのですが、持ち上げて太らせて叩き落すというのは、マスコミの常套手段であります。昨年末に増資と借入で100億円以上を集めましたので、経営は安定するかと思いますが、今年はどんな一年になるんでしょうね。

先週、何気なくテレビを観てたら「とんちゃん」というサムギョプサルのお店などを18軒展開している会社がテレビCMを入れてました。地方のテレビCMだと目にすることはあるのですが、全国ネットで、この規模の外食企業がテレビCMを打つのはかなり珍しいです。どんな出稿かわかりませんが、ワンクールで流したら3000万円位しますもんね。全国チェーンで数百店舗あれば、テレビCMの広告効果で売上の上昇を見込めますが、この規模感だともう少し費用対効果の高い販促があると思うのですが。まぁでも儲かってるんでしょうね。

年始にラーメン大手の幸楽苑が、全店舗の1割に及ぶ51店舗の閉店を発表したことが話題になりました。昨年10月の台風で郡山の工場が水没し、半数近い店舗の営業ができなくなったりと、散々な一年でしたが、それらを含め、この際、不採算店も一掃してしまおうと思い切った決断を図りました。財務内容はそこまで良好とは言えませんが、現預金が35億円ほどあるので、この局面での投資は大きく明暗を分けますね。「焼肉ライク」や「からやま」等への業態変更もこの中からあるのでしょうが、いきなりステーキには切り替わらないようですね。

幸楽苑は、既存店競合による売上高の減少を早期に判断し、ただ間引きするだけでは無くて、その物件で他社のブランドにFC加盟するという割り切りが本当に凄いと思います。これは創業者の新井田傳会長から経営を引き継いだ、現社長の新井田 昇社長の存在が大きいと思います。

ピーク時に540店舗を超えたいきなりステーキの店舗数も、この度の閉店で500店舗を割り込むことになります。いきなりステーキもこの5年で500店舗に迫るまでになりましたが、昨年末に40数軒の閉店を決めました。こちらは創業者の一瀬邦夫社長が、まだ現役なんですね。もう78歳ですよ。幸楽苑の創業者の新井田傳さんでも、一瀬社長の二つ下ですからね。

いきなりステーキのペッパーフード社は、ご子息の一瀬健作さんが副社長の役職に就いてらっしゃいますが、まだまだ一瀬邦夫社長の影響力は強いもので、一店舗のコックから創業したゴリゴリの職人である一瀬邦夫社長が、いくら採算性が高いとはいえ、他社のブランドに加盟して商売をするという考えには確実に及ばないことと思います。

この度、幸楽苑といきなりステーキという業態や、出店立地が大きく異なる2社ですが、両社とも500店舗超で頭打ちと判断した店舗数のリストラ後を、どういう形で再建するかとても興味深いです。

しかし、評論は楽ですね。責任も無いですし。訳知り顔の外食メディアを名乗っている人と、実際に経営して来た人間の発言という違いを、このメルマガでは変わらず発信し続けて行きたいと思います。(井戸実社長のメルマガより一部抜粋)

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image by: 運転太郎 [CC BY]

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2010年度外食企業売上高伸長率で日本一となった株式会社エムグラントフードサービスの創業者オーナーです。
たった5年で総店舗数260店舗以上。売上高で165億円の社を作った軌跡の一部をメルマガにてお伝えします!

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【著者】 井戸実 【月額】 月額880円(税込) 【発行周期】 毎週 水曜日(年末年始を除く) 発行予定

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