去年あたりからよく耳にするようになった「5G」。すでに海外では5Gの運用がスタートしていますが、日本でもようやく2020年の3月ごろからサービスを開始すると、各通信会社が公表しています。でも、実際のところ、5Gが何のことなのか、5Gになることで世の中がどう変わるのか、きちんと説明できる人は少ないのではないでしょうか?そこで今回、無料メルマガ『アリエナイ科学メルマ』の著者で現役科学者のくられさんが携帯電話の5Gについて詳しくご紹介。勘違いしやすい家庭無線LANの5Gとの違いも詳しく説明しています。
無線ってなんだっけ?
ちまたでは5Gがサービス開始だので、超高速通信ができる反面、パケ死も超速では?みたいな話などなど盛り上がっておりますが、その反面、5GならウチのWiFiで使ってるけど?みたいなトンチンカンな話もあったりします。
…今の話がトンチンカンに思えなかった人、ヤバいので知識をちゃんとしておきましょう。
まず、携帯の5Gというのは第5世代、つまりジェネレーションのGであり、WiFiに使われている5Gは5ギガヘルツのGです。もう全く違います(笑)。
単純にスマホの普及に応じてインフラがアップデートされてきて、より高速で大量のデータを裁けるようにしたのが3G、4Gとアップデートされてきて次のジェネレーションで5Gなだけです。
家庭内の無線LANで使うのは5ギガヘルツという周波数でデータを送受信する通信方式のことです。
携帯会社の提供するモバイルネットワークや携帯基本料金プランは基本的に、現在の4G(しつこいようですがジェネレーション)でも相当速いです。
これが使い放題なら何の文句もないのですが、YouTubeで動画をボコスカみているとすぐに帯域制限にひっかかります。また出先でGoogleマップを使っているだけでもわりとあっというまに帯域制限の影響をうけます。つまりネットの速度が制限されることで不便になる…わけです。
これはインフラが抱えきれるデータ量が有限であり、みんなが野放図に使い放題しても余りあるほどリソースが…「ない」ということなので、そうした制限の中細々とネットを使っている人は多く、実際に動画の再生数も月末になると鈍化することが知られています。
そんな帯域制限から逃れるために使うのがWiFi。
公共だろうが家庭内だろうがWiFi環境を使う人は多いかと思いますが、家に光回線をちゃんと引いていて、それでいてちゃんとした設定にした5GHzの通信はマジでクソ早いです。
WiFiには大きく分けて2.4GHzと5GHzの2つの周波数があり、データ転送では5Gのほうが圧倒…なのですが、遮蔽物に弱く、ちょっと広い家や家の1階2階の間だけで2.4GHzに余裕で負けてしまう遅さが出てしまうことがあります。
2.4Ghzは電波自体が干渉しやすく、つまりまわりのご家庭の2.4Ghzと競合して速度が低下する傾向があるのです。とはいえ、格闘ゲームや通信対戦ゲームでもしないかぎり多少ラグが出てもそれなりに快適なのがWiFi環境。
なので、固定回線を家に引いておくのはネット社会ではやはり必須で、帯域制限におびえながら日々携帯会社の提供するサービスの中だけでネットとつながりを持つのはもったいないですヨ。
ちなみに他にもある身の回りの無線データ通信としてはBluetoothやNFCなどがある。BluetoothはワイヤレスヘッドホンやIoTによく使われる方式でWiFiよりは短距離でデータ通信を行う方式で、初期はイヤホンでさえクソオブクソのクソクソ音質でしたがアップデートのおかげでかなり良い音でラグが少なく音楽などが転送できるようになりました。まぁ有線のが段違いに音はいいですが…。
NFCはSuicaやおサイフケータイなどの電子マネーなどのやりとりに使われる通信方式で10センチ以下で運用されています。通信は13.56MHzとギガヘルツではない周波数帯です。
とりあえずとりとめもなく話を続けると長くなるのでこの辺で…。
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