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新型コロナウイルスの正式名称「SARS-CoV-2」の日本語訳とは?

新型コロナウイルスの感染拡大の中心地は欧米諸国に移っています。各国の対応や感染状況などのニュースが増え、このウイルスの正式名称「SARS-CoV-2」を目にした方も多いのではないでしょうか。この名称の日本語解釈を伝えるのは、メルマガ『8人ばなし』著者の山崎勝義さんです。山崎さんはさらに、マスク不足の現状について、かつての人気海外ドラマ『冒険野郎マクガイバー』のように「あるだけのもので何とかする」精神が大切だと訴えています。

『SARS-CoV-2』とパニックのこと

「SARS-CoV-2」。新型コロナウイルス(Novel Coronavirus)の正式名称である。名前の最後に「2」とあるのは2002年、中国広東省を起源として世界中に拡がったSARSの原因となったコロナウイルス「SARS-CoV」の姉妹ウイルスという意味である。

因みに「SARS」とは
S(Severe)=重症
A(Acute)=急性
R(Respiratory)=呼吸器
S(Syndrome)=症候群
のことであり、日本名で言えばそのまま「重症急性呼吸器症候群」となる。

という訳だから、整理すると、「SARS-CoV」に感染した後、発症重症化したのが「SARS」、「SARS-CoV-2」に感染した後、発症重症化したのも「SARS」ということになる。そして現下に猛威を振るう後者の「SARS」を、前者の「SARS」と弁別するための呼称が「COVID-19」ということなのである。

因みに「COVID-19」とは
CO(COrona)=コロナ
VI(VIrus)=ウイルス
D(Disease)=病
19(2019)=2019年型
のことであり、敢えて日本語にするなら「2019年型コロナウイルス病」とでもするしかないが、少なくとも現時点においてはそのような逐語的な翻訳名は存在していないようである。蛇足だが、個人的には「SARS-CoV」感染症が「SARS」なのだから、「SARS-CoV-2」感染症は「SARS-2」くらいがいいように思うのだがどうだろうか。

さて、この「SARS-CoV-2」を巡って少しばかり日本がおかしくなっている。軽いパニックなのである。実はこの「軽い」というのがポイントで、それは破壊行為を伴うような暴力的なパニックとは全く異質なものなのである。

日本でこの種のパニック発生の指標となるのが所謂「○○不足」である。昭和のオイルショック以来、今まで何度あったことか。割と近い経験を言うと、東日本大震災直後の東京でガソリンが極端に不足したことがあった。

ここで重要なのが、こういった「○○不足」のほとんどが根拠の乏しい非合理的なナニモノかによって突き動かされた結果起こるということである。落ち着いてよくよく考えてみれば分かることなのだが、そもそも車にガソリンを入れるということは道路が使える状態であるということが分かっているということである。道路が使えるならタンクローリーも走行可能だろうからガソリンはすぐに補給される筈である。実際、この問題は1日2日で解決した。ガソリンスタンドに長蛇の車列をつくる必要はなかったのである。

今はマスクと手指消毒用アルコールが不足している。アルコールに関しては、今まで使う習慣のなかった人たちが使うようになったと考えれば品薄も理解できる。ただ、今まで使わなかったという人も衛生面に配慮してきっと普段から石鹸等で手洗いはして来た筈である。本当はそれで十分なのである。

コロナウイルスはエンベロープと呼ばれる脂質の膜構造を持つタイプのウイルスである。脂質と聞いてピンときた人も多いと思うが、これを破壊するにはアルコールと同様に界面活性剤である石鹸も有効なのである。寧ろ徹底してやれば手洗いの方が安全である。そこは手術前の外科医にでもなったつもりで是非とも手際よく入念にやってもらいたい。

マスクに関してはまさに前述のパニック状態である。ここ数年来マスクは、冬は感染症対策、春は花粉症対策として必須のアイテムである。ついでに言えば、すっぴんを隠すのや有名人の変装にも使える。目立たないからそんなふうにも使えるのである。電車も歩道もあっちもこっちもマスク面だらけ、つまり十分行き渡っているということである。

もとより医療従事者は事の有る無しに関わらずマスク着用は常識である。故に必要量は常に安定している筈である。然るにマスクが不足しているということは、必要以上に買い込んでいる者があるということである。何百枚買い占めても口は1つである。意味はない。それに万一、万々一に備えると言うならマスクよりも、水・糧食(ration)・アサルトライフルに大量の弾丸でも隠し持っていた方が余程安心であろう。世界秩序の崩壊まで案じてみても詮無いことである。

いっそ無いなら無いなりに割り切って「マスクなぞは口鼻を覆うガーゼ付きの布だ」くらいに考えて、いろいろ代替してみてはどうか。個人的には西部劇の列車強盗風なんかおすすめである。「あるだけのもので何とかする」非常時にこそ大切なのは、この「マクガイバー精神」なのである。

image by: Morumotto / shutterstock

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ここにあるエッセイが『8人ばなし』である以上、時にその内容は、右にも寄れば、左にも寄る、またその表現は、上に昇ることもあれば、下に折れることもある。そんな覚束ない足下での危うい歩みの中に、何かしらの面白味を見つけて頂けたらと思う。

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