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中国の滑稽。一国二制度にしがみつく「台湾ストーカー」の醜態

今年1月の台湾総統選で再選を果たし、20日の就任式を経て2期目の任期をスタートさせた蔡英文総統。関係各国から祝福メッセージが届く中、中国からの圧力や嫌がらせは変わらず続いているようです。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では著者で台湾出身の評論家・黄文雄さんが、中国による妨害工作や武力威嚇の実態を明らかにするとともに、世界情勢が刻々と変わる中、旧態依然とした主張を繰り返す中国に、「明るい未来はない」と断言しています。

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2020年5月20日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄こう・ぶんゆう
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

【台湾】中国の恫喝はもう台湾に通用しない

台湾の総統 2期目の就任式前に中国が圧力

2020年5月20日、台湾時間の午前9時から蔡英文総統の就任式が行われました。

新型コロナウイルスの影響で、式典は例年より大幅に規模が縮小されましたが、200人程度が集まったようです。また、国交のある14カ国と、日本やアメリカなど理念が近い27の友好国、計41カ国92人の政府要人から祝福のビデオメッセージが送られたそうです。

520新局》41國92名政要録影賀總統就職 教廷以書面聲明致賀

ビデオメッセージを送ったのは、エスワティニ、グァテマラ、ハイチ、ホンジュラス、マーシャル諸島、ナウル、パラオ、ベリーズ、セントクリストファー・ネイビス、セントルシア、セントビンセント、ツバル、ニカラグア、パラグアイの国交ある国の要人65人、理念が近い友好国は、アメリカ、日本、オーストラリア、フィジー、インド、インドネシア、韓国、フィリピン、シンガポール、ドイツ、デンマーク、チェコ、スロバキア、イギリス、フランス、イタリア、ポーランド、リトアニア、ラトビア、カナダ、欧州連合からの27人だそうです。

とくに、アメリカは国務省の太平洋担当次官補や多くの上院議員など、過去最高レベルで就任祝賀の意を評したそうです。

また、総統第1期目の副総統だった陳建仁氏は、惜しまれながらも離任しました。新しい副総統は頼清徳氏です。

陳氏は、SARSが流行した際に中心になって感染防止に努めた専門家です。過去には、今回の新型コロナの統計で注目を浴びている米国のジョンズ・ホプキンス大学で博士号を取得しています。

陳氏は、規定上は副総統退任後も恩給の受給や送迎車などの待遇が得られますが、これら待遇を辞退し、引き続き中央研究院での研究に従事することを決めました。副総統待遇を辞退したのは陳氏がはじめてです。

新しい台湾内閣人事も事前に発表されました。以下、報道を一部引用します。

32人の部会(省庁)トップのうち、8人が新任するのを除き、続投がすでに発表されていた蘇貞昌行政院長(首相)をはじめ主要閣僚のほとんどが再任された。

 

新任するのは文化部(文化省)、科技部(科学技術省)、客家委員会、金融監督管理委員会、国家発展委員会、僑務委員会、移行期の正義促進委員会(促進転型正義委員会)、国家通訊伝播委員会の8省庁のトップ。このうち、文化部長には客家委員会の李永得主任委員、科技部長には呉政忠政務委員(無任所大臣に相当)が起用された。

 

一方、新型コロナウイルス対策で世界的に高く評価された陳時中・衛生福利部長(保健相)をはじめ、呉燮外交部長(外相)、林佳龍交通部長(交通相)などは再任される。

 

行政院の報道官を務めたKolas Yotaka(グラス・ユタカ)氏は総統府報道官の就任が決まっており、後任には同院で秘書を務める丁怡銘氏が充てられる。

行政院、新内閣の顔ぶれ発表/台湾

異色のIT大臣のオードリー・タン(唐鳳)氏も再任しています。

アメリカのポンペイオ国務長官は、事前に蔡英文の2期目の就任を祝う声明を発表しました。報道によれば、アメリカの国務長官が総統の就任式に合わせて声明を発表するのは初めてで、中国をけん制するねらいもあるとのこと。

蔡英文政権にとってもアメリカは重要な盟友であるため、この祝辞に対して蔡英文総統はツイッターで以下のような謝意を表明しました。

台湾とアメリカの関係は強く、前途は有望だ。私たちの間の共通の価値と利益に基づく友情がさらに深まることを楽しみにしている。

台湾 蔡総統 きょうから2期目 米国務長官がスタート祝う声明

米台の蜜月が本格的に始まりそうです。一方で、中国は蔡総統の就任式に向けて様々な妨害工作を行っています。報道によれば、中国が台湾総統府のコンピューターをハッキングして、台湾の機密文書を流出させる事件が起きました。以下、報道を一部引用します。

総統府を担当する台湾メディアの記者らに、差出人「SERLO」の不審なメールが届いた。4月に行われた蔡氏と蘇貞昌行政院長(首相に相当)の会談の記録や、昨年に民進党内で実施された総統候補の予備選挙における蔡陣営の作戦会議の記録などが大量に添付されていた。その後、一部の内容はインターネットにアップされた。

 

総統府は15日、コンピューターがハッキングされたとして、警察に通報したほか、各メディアに対し「会議記録の一部が改(かい)竄(ざん)されており、事実と異なる」と伝え、引用しないように注意を促した。会議記録には閣僚や党幹部の評価など機微な内容が多く含まれている。民進党関係者は「中国のネット部隊が総統就任式の関連資料を盗もうとしてハッキングし、誤って会議録を入手した可能性がある」と分析したうえで、あえて流出させたのは「民進党を混乱させるためだ」と説明した。

台湾の総統 2期目の就任式前に中国が圧力

さらに、中国の武力による威嚇もありました。中国軍が、北部の渤海で大規模な軍事演習をしたのです。中国の常套手段です。蔡英文氏の就任演説について、台湾メディアは両岸関係について8文字を重視すると報じていました。8文字とは「和平、對等、民主、對話」です。さらに、一国二制度は受け入れないとする姿勢を改めて示しました。

兩岸關係 重申8字箴言!小英520演説 維持台海和平穩定

折しも、台湾がWHOの総会にオブザーバーとして参加の是非をめぐって、中国が台湾に「中国の一部として認めるなら参加を許可する」という要求をしてきたばかりです。もちろん台湾はそんな要求は一蹴しましたが、中国は台湾が世界で存在感を増せば増すほど、圧力をかけてくるのです。

香港の大学入試で、中国の日本統治が「弊害よりも恩恵のほうが大きかった」かどうかを判断させる設問がありました。これに対して、中国は激しく非難し、環球時報(Global Times)は、「香港の出題は学生を反逆者にする」と報じました。

香港大学入試で日本の中国統治を評価させる出題、中国外務省が非難

今回の新型コロナ騒動では、世界から中国を批判する動きが強まりました。中国を巨大市場としてあがめ、恐れていた世界情勢はもう過去のものです。世界情勢は刻々と変わっています。そんななか、旧態依然と過去の主張を繰り返し、一国二制度にしがみついている中国は、むしろ滑稽に見えます。

就任式に登場した蔡英文総統と頼清徳副総統の表情は実に晴れ晴れとしていました。彼らの後ろには明るい未来が見えました。一方で、習近平の後ろには暗い未来しか見えません。中国は、北朝鮮や韓国を取り込んだとしても、このままでは彼らに明るい未来はありません。

「台湾は中国の絶対不可分の一部」「核心的利益」などと、中国がいくら主張しても、それは全く根拠のない主張です。中国は対外的には人権を主張するのに対し、国内ではチベットやウイグルなどで人権を無視した暴挙に出ています。

台湾の総統職は、やはり蒋介石親子の延長としての中華民国総統ですが、そのことに不満を持つ台湾人は少なくありません。そのため、次期の頼清徳副総統に国名変更を期待する人も多くいます。

台湾からみれば、中国はストーカーのようなものです。日本も、この迷惑な隣人には手を焼いています。しかし、新型コロナ後の国際情勢や国政政治は変わるでしょう。少なくとも、従来の体制のままの中国に対して、今後、国際社会から向けられる目は変わってゆくでしょう。


 

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image by: 蔡英文 - Home | Facebook

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