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中国を選んだツケ。結局、鉄道建設で日本に泣きつくインドネシア

2016年に掲載した記事で台湾出身の評論家・黄文雄さんが出した「高い代償を支払わされることになる」との予言が、4年以上を経た今、現実となってしまったようです。黄さんは今回、自身のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』で、2019年に完成するはずが未だ工事の続く件の高速鉄道建設について、遂にインドネシア政府が日本への協力要請を表明したという報道と、工期が遅れに遅れた原因を紹介。さらにこの先、インドネシア国内で中国や華僑への憎悪が爆発する可能性についても言及しています。

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2020年6月10日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:黄文雄こう・ぶんゆう
1938年、台湾生まれ。1964年来日。早稲田大学商学部卒業、明治大学大学院修士課程修了。『中国の没落』(台湾・前衛出版社)が大反響を呼び、評論家活動へ。著書に17万部のベストセラーとなった『日本人はなぜ中国人、韓国人とこれほどまで違うのか』(徳間書店)など多数。

【中国】中国に近づいてやっぱりバカを見たインドネシア

中国受注の高速鉄道、延伸で日本に協力要請へ インドネシア

2015年9月、日中が激しい受注争いを繰り広げ、中国が勝利したインドネシアの高速鉄道ですが、その後、着工が遅れて2019年の完成には間に合わず、何回も完成予定が延期された末に2021年の完成とされましたが、インドネシア政府はさらに2022年までに工期が延長される見通しを明らかにしました。

さらには、当初は首都ジャカルタ~西ジャワ州バンドンを結ぶ路線でしたが、インドネシア政府はさらに国内第2の都市スラバヤまで延伸することとし、日本に協力を求めることを表明しました。

おそらく、インドネシア側は、遅れているジャカルタ~バンドンの路線建設も日本の協力を求めるつもりなのでしょう。とはいえ中国に配慮して、路線延長を理由として日本を引き込みたいのだと思います。

私は4年前から、インドネシアが高速鉄道建設を中国に委託したことについて、必ず後悔することになると述べていました。

日本を蹴り中国を選んだツケ。着工すらできぬインドネシア高速鉄道

そもそもこの中国側の受注については、かなりいわくつきでした。中国側がインドネシアに提示した計画書は、ルートも駅の位置も日本が提示したものとまったく同じで、違うのは提示金額だけだったとされています。

しかも、受注落札後も、中国側の書類不備により審査が進まず、工期は遅れに遅れたわけです。その原因として、中国企業が出資比率過半数の合弁会社・インドネシア中国高速鉄道社が運輸省に提出した書類に、公用語のインドネシア語や英語以外に中国語表記のものがいくつも含まれており、現地の担当官が読めない、という笑い話のような「書類問題」があるとも報じられました。

ところで、インドネシアは多民族国家ですが、経済の90%は人口わずか5%の華僑が牛耳っていると言われています。それだけにインドネシアの他の民族から華僑に対する差別が強く、暴動が起こったときによく華僑が狙われます。

有名なのが1965年9月30日の、陸軍左派による軍事クーデター未遂と、その後の共産主義者や華僑の虐殺です。また、1998年のスハルト独裁政権に対する全国的な暴動時にも、華僑が狙われ、華人商店はことごとく破壊、略奪されました。

東南アジアの国々では、西洋の植民地から独立したあとは、その西洋植民地の番頭役だった華僑の経済的搾取から独立することが課題となっています。ですから、たいてい東南アジアの国々では反華僑感情が強いのです。

よく知られているのは、ベトナムの華僑追放です。また、ボートピープルはほとんどが華僑です。ミャンマーを境に東が華僑、西が印僑として、縄張りを築いていますが、ますます動向は変化しつつあります。こと華僑は、パンデミックとともに中国からの観光客が減少したことにより、影響力が後退しつつあるとも言われています。

加えて、インドネシアでは国民の9割がイスラム教であり、経済を支配する華僑への憎悪に加えて、中国のウイグル人弾圧に対する怒りも高まっており、2019年12月末には、中国のウイグル政策に抗議するデモも行われています。

中国のウイグル政策に抗議 インドネシアで数百人がデモ

今年5月には、中国漁船で操業中に亡くなったインドネシア人船員の遺体が、海に投げ入られたという報道もありました。船長によれば、感染症にかかっていたため、他の船員の合意のもとで海葬にしたということですが、これに対してインドネシアの外相は国際労働機関の基準に合うかどうかの確認を求めて懸念を示したそうで、インドネシアの中国嫌悪がさらに高まりそうです。

インドネシアでは、新型コロナウイルスの感染者もいまだ増加しており、2020年6月10日現在で、感染者は3万3,076人、死者1,923人と、アジアでも中国を除いて最大の感染者、死者数となっています。

しかし、2月末時点では「感染者ゼロ」ということで、厳しい対策をとっていませんでした。そのために春節以降も中国人が大量に入り込んでいました。インドネシアが一部の例外を除いてすべての外国人の入国を禁じたのは4月2日でした。政府の遅い対応に国内では批判が上がっています。

とくにインドネシアには中国系企業が多いため、中国人の出入りが多く、そのことが感染拡大を招いた可能性も囁かれています。2019年のインドネシアへの海外直接投資は、1位がこれまで通りのシンガポールですが、2位は日本を抜いて中国となり、日本は第3位です。2019年の中国のインドネシアへの投資は過去最高になったということです。

インドネシア:中国、日本抜き2位 昨年海外直接投資 目標は達成

すでにインドネシアでは外国人労働者の入国禁止措置をとっていますが、5月中旬には中国系企業が人材不足を補うために、中国人労働者500人を入国させようとしていたことが発覚しました。

このように、中国はインドネシア経済への影響力を強めており、国内の華僑の存在感もますます高まっています。しかし、感染拡大により社会が不安定になれば、また華僑や中国への憎悪が一気に爆発する可能性があります。


 

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image by: Christina Desitriviantie / Shutterstock.com

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