オンライン授業は、子どもの学校での様子を垣間見る機会になり、わが子の言葉遣いがキツくてハラハラするという親御さんもいるようです。メルマガ『子どもを伸ばす 親力アップの家庭教育』著者の柳川由紀さんは、「自分の意見を言えるのは素晴らしいこと」としたうえで、いくつかの会話のテクニックを意識すると好感度がぐっと上がるとアドバイスします。まずは親が子どもに対して実践しながら会話のトレーニングを始めてみましょう。
会話上手になるには?
Question
息子は、思ったことを口にしてしまいます。オンライン授業では、意見をズバズバ言って、頼もしい反面、自分と意見の違う子には、詰め寄る感じでモノを言ってしまいます。
本人にはそんなつもりは全くないので、指摘すると泣いて訴えます。もう少し、柔らかい物言いをして、友達との会話力を磨いてほしいのです。(小3男子のお母様より)
柳川さんからの回答
自分の意見を人前でしっかり言えることはとても素晴らしいです。相手へのものの言い方や、会話は、まさにこの小学生時代に練習すればいいことです。学校生活は、そうしたコミュニケーションを上手に取れるように訓練する場所でもあるのです。今回は、簡単で効果の高い会話テクニックをお伝えします。
1.ぺーシング
「相性が合う」と思わせる魔法のようなテクニックが「ペーシング」です。これは、相手と「波長を合わせる」ことです。「動作・表情・感情・声のトーン」をものまねするように相手に合わせます。
- 相手が笑顔で話していたら、自分も笑顔で話す
- 相手が落ち込んでいたら、自分も静かに話す
- 相手が興奮して話していたら、
自分も興奮してうなずく - 相手がのんびり話していたら自分ものんびり話す
- 相手が水を飲んだら、自分も飲む
すると相手は「この人とはウマが合う」「なんだかいい人だな」と感じるのです。まるで、魔法をかけたように、好感度をアップさせることができます。
2.アイメッセージ
アイメッセージとは、「自分」を主語にしての気持ちを伝えることです。ふつうは褒めたり、怒ったりするとき「相手のこと」を言います。
褒め「髪型、カッコ良いね!」
怒り「何で?約束したよね!」
どちらも主語が「あなた:You」です。
アイメッセージの場合は「自分の気持ち」を伝えます。
褒め「その髪型、なかなかいいと思うよ」
怒り「何で?約束守ってくれなくて悲しい!」
これは主語が「私:I」です。
アイメッセージは、嫌味がなく、言葉が相手の心に届きます。
「一緒に遊べて楽しかったよ」
「手伝ってくれて助かった」
「勉強一緒にできて嬉しかった」
「サッカー上手いんだね、感動した」
など、アイメッセージは、友だちとの距離が縮むテクニックです。
3.マイナスプラス法
友だちにきつい言い方をしたり、悪口や不平不満を言ったりすると、好感度が下がりますし、場合によっては、友だちが離れていってしまうかもしれません。
それを回避するために「マイナスプラス法」で話をしましょう。会話を前向きに変換できます。やり方は…「最後に前向きな言葉を加える」だけです。
NG例:「ここの駄菓子屋さん、色々あって楽しいけど、いつも混んでるよね」
OK例:「ここの駄菓子屋さん、いつも混んでるけど、色々あって楽しいよね」
最後に前向きな言葉を加えれば、会話全体が前向きになります。授業の終わりに「はぁ~」とあくびが出ても、最後に「良かった」を加えて前向きに。
「はぁ~、眠かったけど、終わって良かった(笑)」
「あ~疲れた。今夜は眠れそう!」
と最後を前向きにすれば、感じのいい子になります。
誰かの悪口になっても…「柳川さんが仕切るのも、学級委員だから仕方ないよね」と前向きに言って終わらせれば悪いイメージは残りません。
家庭教育アドバイス…「普段の会話から」
親として子どもにできることの一つは、会話のトレーニングです。普段から、前述した1、2、3を心がけてみて下さい。また、心理テクニックとして、「ネームコーリング」があります。これは、会話の中に「相手の名前」を挟むことです。
「おはよう、ユキちゃん。昨日ね…」
「智弘君、宿題なんだけどさ…」
「知ってる?美穂ちゃん。この消しゴムはね…」
不思議なことに人は、自分の名前を呼んでくれる相手に好感や親近感を覚えます。「ねえ」「お前」「あんた」と呼ぶ相手には、好感や親近感は覚えないのです。
このネームコーリングはその心理を突いた優れたテクニックと言えます。テレビで名司会者と言われる方たちを見ていると、このネームコーリングや、1、2、3のテクニックを使っていることに気づくでしょう。
普段から、このような会話をしていると、子どもは学校でも、好感度の高い、会話上手な友だちとして認められる可能性が大きいでしょう。
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