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横浜駅「異臭」は地震前兆か?関東大震災でも三浦半島に「ガス噴出」の記述

JR横浜駅や駅周辺で12日、「ガス臭がする」との通報が相次ぎ、改札を一時封鎖する騒ぎがあった。神奈川県内では、横須賀市や三浦半島全体で6月から複数回にわたって「異臭騒ぎ」が続いており、原因不明の異臭に不安の声が広がっている。その不安の一つが、「首都圏直下型巨大地震の前兆」説だ。

6月、7月、8月…神奈川県内で続く「異臭騒ぎ」の謎

この異臭騒ぎは6月4日、横須賀市を含む三浦半島全域で相次いでいた。6月4日当時は250件もの通報が相次ぎ、横須賀市が公式ツイッターで情報を投稿する事態にまでなった。

そして7月17日午前にも、横須賀市周辺で「異臭がする」「ガスの匂いがする」「ゴムのような匂い」「海の方から匂いがする」という通報が地元の消防に相次いでいた。

さらに、8月21日午前、横須賀市の住民から「ガスの臭いがする」という119番が約40件も相次いだという。この際も、テレビのワイドショーや地元新聞などで大きく報道されたが、いまだに原因はわかっていない。

今回の「異臭」「ガス臭」騒ぎで最も懸念されているのが、巨大地震発生の前兆である。

実は、大正12年(1923)9月1日に発生した関東大震災の直後におこなわれた海洋調査で、震源地に近い三浦半島周辺で「ガス発生」が確認されていたのである。これは一部の研究者の間では有名な話だが、関東大地震とガスの因果関係を示す確たる証拠はあるのだろうか

それは意外な場所で見つかった。国立国会図書館に保存され、デジタル版も一般公開されている、ある一冊の書物の付録としてつけられた一枚の「地図」に重要な記述がある。「ガス噴出」だ。

内務省の関東大震災記録集にあった「ガス」の文字

大正15年(1926)に内務省社会局が発行した『大正震災志』には、東京だけでなく、横浜市や、神奈川・千葉・埼玉・静岡・山梨・茨城各県における関東大震災の被害状況と救護実績等が記録されている。その貴重な資料に「附図」として付けられた一枚の地図に、今回の異臭騒ぎに関係が深いと思われる記述を発見した。

それが『大震後相模灘水深変化調査図』だ。国立国会図書館が公開しているデジタル版の地図の三浦半島に注目していただきたい。

『大正震災志.』に付けられた『大震後相模灘水深変化調査図』(部分)国立国会図書館蔵

よく見ると、三浦半島の「三崎」下部分に「一時瓦斯(ガス)噴出ス」、「浦賀」右横部分に「瓦斯(ガス)噴出」の文字が見える。

同『大震後相模灘水深変化調査図』(拡大)国立国会図書館蔵

つまり、大正時代の関東大震災直後の調査でも、三浦半島の二箇所で「ガス噴出」が確認されていたということである。この記録が直接、関東周辺の巨大地震の前兆に結びつくかどうかは不明だが、このような記録が実際に残されていることだけは確かだ。

異臭と地震の関係は? 気象庁の見解

気象庁は、ホームページ「よくある質問集」の「動物や植物は地震を予知できるのですか?」という質問に対して以下のように回答している。

動植物には、音、電気、電磁波、匂いなどに対する感知力が人間などに比べ格段に優れているものがあることは知られています。

 一方、地震は、地中の広い範囲で、固い岩盤同士が、破壊し合い、ずれ合う大きなエネルギーの集中や解放を伴うため、徐々に岩盤が変形し始めたり、地下水位が変動したりして、地震の発生前から非常に微弱で特異な音、電気、電磁波、匂いなどが周辺の地面や大気などに現れ、それを動植物が感じ取る可能性もあるのかもしれません。

注目すべきは「地震の発生前から非常に微弱で特異な音、電気、電磁波、匂いなどが周辺の地面や大気などに現れ」という部分だ。気象庁が公式ページにおいて、地震の発生前に「匂い」などが現れることを認めているのだ。

地震とも関係が深い「火山噴火の前兆」であれば、火山ガスに含まれる「硫化水素」が卵の腐ったような臭いであることから、一連の横須賀の異臭に関連していても不思議はないのである。もしかすると「令和関東大震災」の発生は、そう遠くないのかもしれない。改めて、巨大地震発生への備えを確認する必要があるのではないだろうか。

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image by: TK Kurikawa / Shutterstock.com

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