こだわっていたはずのGO TO事業の全国一斉停止を発表し、その夜に高齢者同士大人数で会食していたことが判明した菅首相。案の定と言いますか、支持率の急降下を各メディアが伝えています。このままでは総選挙の見通しは厳しいと語るのは、小沢一郎氏の秘書を長く務め、永田町の動向に詳しい元衆院議員の石川知裕さんです。今回のメルマガ『石川ともひろの永田町早読み!』では、政府の説明が足りないことを批判。しっかりとした見通しを示して事業者、個人とも資金繰りを考えやすい対策を打つべきと持論を展開しています。
米メディア「ポリティコ」の忠告/「もうすぐ良くなる」が経済と暮らしをさらに悪化させる
菅総理がGO TO事業の全国一斉停止を決定した。経済との両立を優先する菅総理は、GO TO事業の継続にこだわり続け、政権の浮沈とGO TO事業はセットとしてきた。株価は順調なだけに、GO TO事業による実体経済の引き上げで支持率アップを図った上で実績を積んで総選挙に臨むという思惑があったが、見通しは厳しくなった。
GO TO事業と感染拡大の因果関係について政府は認めていない。一方で、因果関係を認めていないのに、なぜGO TO事業を一旦停止するのかの説明はない。
私は感染拡大の原因は、気温の低下でウイルスが活発化したことが最大の原因だと考えている。夏場にGO TO事業を拡大しても、感染は収束していったからだ。しかし、GO TO事業によって旅行や食事に出かける人が多いほど感染するリスクは高くなる。政府もはっきり5人以上の会食による感染率は高いと言っているように酒を飲むことによって声が大きくなり飛沫感染の確率が高まることは政府も認めている。
だから、GO TO事業と感染拡大が全く関係ないかというとそうとは言えない。主たる要因ではなくとも助長していることは確かである。ではどうすべきなのか。私も経済との両立派だ。このままだと旅行業界、飲食業界は来年の3月までもたないところも多い。
以前から指摘しているが、近場の旅行支援が第一だ。今回は全国一斉停止となったが、感染のステージが低い地域からは不満の声が上がるのは当然である。次に直接支援だ。政府も最大で120万円を休業支援に充てると発表しているが、これは了としたい。やはり「真水」が大事だ。
100年前のスペイン風邪は収束まで1年半かかっている。米国の政治に特化したアメリカ合衆国のニュースメディア「ポリティコ」の特集では専門家が「ワクチンが一般に広まり接種される来年11月ごろに新型コロナウイルスは衰退し、統制されるだろう」と見通している。まだ長期戦を覚悟しなければいけないのである。
政府はその点をしっかり説明し、企業や家計の資金繰りを考えさせやすいようにしなければいけない。安易に「もう少しで良くなる」などと言っていると、より経済や暮らしの状況を悪化させるだけである。
image by: 首相官邸