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コンビニの新商品が「増えては消え」を繰り返すほど雇用の場が増える訳

毎週100品にも及ぶと言われる、コンビニの新商品。当然ながら生き残り競争は過酷で、多くの商品が消えてゆくというのが現状です。しかし、こんな環境が新しい雇用を生んでいるとするのは、繁盛戦略コンサルタントの佐藤きよあきさん。佐藤さんは自身の無料メルマガ『繁盛戦略企画塾・『心のマーケティング』講座』で今回、聞いて納得のその理由を解説しています。

飽きやすい消費者が増えると、雇用の場が増える!?

24時間営業していて、生活に必要なものをいつでも買うことができる、コンビニエンス・ストア。

出勤途中に朝食を買うサラリーマン。昼食を買う、オフィス街の人たち。外まわりの休憩場所として。会社帰りにお酒とおつまみを。夜食を買ったり、立ち読みしたり。荷物を送ることも、公共料金の支払いも。チケットも購入できます。

あらゆる時間帯に、たくさんの人びとが利用します。まさに、“究極の便利(コンビニエンス)”を提供するお店です。

しかし、便利なだけではありません。“つい立ち寄ってしまう”魅力を持っています。

まず、行く度に新しい商品を見ることができます。コンビニは毎日利用する人も多いので、飽きられないように、頻繁に商品を入れ替えています。しかも、ユニークなものが多く、見ているだけでも楽しいものです。コンビニ限定商品もたくさん出ているので、用がなくとも、足を運んでしまいます。

また、コンビニの新商品は話題になりやすいので、“話のネタ”を仕入れることができます。特に最近は、コンビニスイーツが注目され、若い女性を魅了しています。

そして、「レジ横」コーナー。会計をしていると、どうしても目に入ってきます。唐揚げや串もの、中華まん、おでん……。つい、「すみません。これも…」と、追加の注文をしてしまいます。非常に誘惑されるコーナーです。

この感覚は、高速道路のサービスエリアに似ています。縁日の屋台のような魅力、とでも言うのでしょうか。しかも、それほど高くないので、誰もが買ってしまいます。このように、コンビニは楽しいところです。良く練られた戦略に、まんまと引っ掛かってしまいます。

さて、ここからが本題。これだけ人びとに支持されるためには、さまざまな仕掛けが必要となります。出店場所や品揃え、陳列方法などが、緻密に計算されています。

しかし、もっとも大きな仕掛けは、次々に登場する新商品です。人は、新しいものが出てくると、まずは試してみたくなります。その選択が正しいかどうかは関係なく、“お試し”することが楽しいのです。その楽しさが、毎日のように体験できるのですから、コンビニには飽きる暇がないのです。

次々に新商品を開発することは、コンビニにとってもメーカーにとっても、大変なことです。

それにも増して大変なのは、製造現場ですが、次々に商品が変わるので、製造ラインを自動化できません。大量に売れるからといって、設備投資をしてしまうと、非常に大きなリスクを伴います。流行り廃りの激しいコンビニ界では、突然売れなくなることもあるからです。よって、人海戦術がもっとも効率の良い製造方法となるのです。

現在のコンビニの、特に食品関連の工場では、製造ラインの両側に人が並び、手際良く作業しています。まるで、高度成長期の自動化前夜の工場のような光景です。すなわち、工場に人がたくさん存在しているのです。自動化で人がいなくなった工場に、人が戻ってきています。これは、非常に重要なことです。単純労働が減っている現代社会において、新しい雇用が発生しているのです。

新商品が次々に登場しては消えていく生活環境には、あまり良いイメージはありませんが、新しい雇用を生み出すという事実には、喜ぶべきかもしれません。飽きやすい消費者が増えていることが、雇用を拡大するとは、なんとも不思議なものです。コンビニがいまの地位を堅持、あるいは成長し続けると、一定の雇用は確保されるのではないでしょうか。

モノを作ることは、働くことの基礎。やはり、産業が栄えてこそ、社会は繁栄するのです。

image by: mayura benjarattanapakee / Shutterstock.com

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なぜ、人はモノを買いたくなるのか。欲しいという感情は、どこから生まれるのか。消費行動における人の心理を知れば、売れるモノが見えてくる。売り方がわかる。小手先のテクニックなど、いらない。人を研究すれば、やるべきことはすべてわかる。

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【著者】 佐藤きよあき(繁盛戦略コンサルタント) 【発行周期】 週刊

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