「理事会協力金」や「外部区分所有者協力金」の徴収を検討するマンション管理組合が増加していることをご存知でしょうか。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』ではマンション管理士の廣田信子さんが、そもそもなぜこれらの協力金を集める必要性が生じたかについて解説するとともに、その徴収にあたって注意を払うべき点について考察しています。
「理事会協力金」は5,000円、「外部区分所有者協力金」は2,500円?
こんにちは!廣田信子です。
管理費収入の不足を補うためと、役員を引き受ける組合員と引き受けない組会員の不公平を是正する目的で、「協力金」を徴収しようと考える管理組合が増えています。
この「協力金」について質問を受けました。
「理事会協力金」は5,000円が上限、「外部区分所有者協力金」は2,500円が上限、と聞いたが、この2つはどこが違うのか?金額が2倍も開きがあるのはおかしいじゃないか…と。
「理事会協力金」というのは、輪番制や抽選で理事を選任するルールの管理組合で、理事を辞退する組合員から一定の条件の下で、協力金を徴収するという趣旨のものです。
「外部区分所有者協力金」というのは、マンションに居住していない区分所有者は、役員資格がないため、結果役員を免除され、マンションの保守管理や良好な環境の維持に協力していないのだから、その分、協力金を徴収するという趣旨のものです。
「理事会協力金」については、過去記事に書きました。
この記事で書いたように、月5,000円の「理事会協力金」を徴収する規定は、横浜地裁の判決で、必要性と合理性があるとして認められたので、「理事会協力金」は5,000円までOKというような話になるのだと思います。ただ、いろいろな事情が考慮されているので、過去記事をよく読んでいただきたいと思います。
「外部区分所有者協力金」については、「最高裁三小 平成22年1月26日判決」があります。
ある管理組合で、外部区分所有者(=不在区分所有者)から、月額2,500円の協力金を徴収する規約改正が、区分所有法31条1項後段の「特別の影響を及ぼす」に該当しないと判断された判決を踏まえて、「外部区分所有者協力金」は月額2,500円までOKということが言われるのではないかと思います。
この事例では、当初、協力金は5,000円と規約改正されたのですが、裁判となり、裁判所から、「協力金」を月額2,500円する和解案が提案され月額2,500円と規約改正したのですが、それでも支払いを拒否する外部区分所有者がいたためまた裁判となったものでした。
「外部区分所有者協力金」を徴収する場合に気をつけて頂きたいことについては、過去記事に書きました。
● 外部区分所有者の協力金を収入を増やす手段と安易に考えないで
高経年マンションでは、ずっとマンションに住み続けて役員の経験もある方が、高齢になって役員をするのが難しくなる、施設入居したため外部区分所有者となる場合もあるのです。
いきなり、5,000円か2,500円かという問題ではなく、過去の経緯も踏まえ、何が衡平かだけでなく、住みやすい環境とは何かをみんなで考えて、結論を導いて頂きたいと思います。このような問題で訴訟になって組合員が分裂することは、住みやすい環境も損ない、今後の合意形成に大きな禍根を残すことにもなりかねません。
外部区分所有者については、マンション維持管理に協力できていないと責めるより、むしろ、空き室の管理をしてあげるぐらいの気持ちで、その分の経費を受け取る…と考えた方が、円滑にいくのではないかと思います。下記の事例を参考にしてください。
私は個人的には、外部区分所有者も役員になれるような規約にした上で、役員免除規定も作り、役員報酬をきちんと支払うことで、衡平性を確保した方がいいと思っています。
役員報酬が管理費会計から出せないというのであれば、管理費を値上げして、全組合員から広く薄く集め、捻出することだと思います。ただ、その場合も、役員報酬なく役員を務めてきて過去の役員の方々への感謝をきちんと示した上で…というところは忘れないで頂きたいと思います。
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