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首都直下型地震の発生率70%。それでも原発に頼る亡国ニッポン

多くの人に避難を余儀なくさせた福島第一原発事故から、来月で10年。その収束も見えない中、国は運転開始から40年を超えた関西電力美浜原発3号機をはじめ、全国の原発を再稼働させる方向で動いています。その安全性は担保されているのでしょうか。今回のメルマガ『きっこのメルマガ』では人気ブロガーのきっこさんが、世界の巨大地震の20%が発生し、2,000以上の活断層が全国を走る日本において、原発の再稼働を進めること自体の異常性を指摘。その上で、政府はエネルギー政策の抜本的な転換を進めるべきと記しています。

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地震・雷・火事・原発

2月13日23時8分、福島県沖を震源とする最大震度6強、マグニチュード7.3の大きな地震が発生しました。幸いにも死者は出ませんでしたが、宮城、山形、福島、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、神奈川の9県で計157人の負傷者が出てしまいました。そして、住宅被害も相次ぎ、学校や病院を始めとした施設なども数多く被害を受けてしまいました。

政府の地震調査委員会は、2011年3月に発生した東日本大震災の余震との見方を示し、今後1週間は震度6強程度の地震に注意するようにと発表しました。「10年も経ったのに、まだ余震?」と思った人もいるでしょうが、地球の時間で見たら10年など一瞬なのです。本震があれほどの巨大地震だったのですから、10年後どころか、20年後30年後にも余震が起こることが考えられます。

日本列島は、東日本が北米プレート、西日本がユーラシアプレートの上に乗っています。そして、東から進んで来る太平洋プレートが、東日本の乗っている北米プレートを押しながら、その下へと潜り込み続けています。これが東日本大震災を引き起こした原因で、今回の地震もその延長線上で発生しました。一方、西日本が乗っているユーラシアプレートは、南から進んで来るフィリピン海プレートに押され続けています。

今から500万年前、日本列島の形は現在とは大きく違っていました。北海道や東北は小さな島々でしたし、四国と九州は本州と一体化していました。これが、長い年月を掛けて変化して行き、一時は北海道と九州がユーラシア大陸と地続きになり、また分離され、少しずつ現在の形に近づいて行ったのです。こうした地形の変化も、日本列島が4つのプレートの合流地点に位置しているために起こったものです。

神奈川県の丹沢山地は、もともとは太平洋の沖に浮かぶ火山島でした。それが、フィリピン海プレートの移動で少しずつ日本に近づいて来て、今から500万年前に、現在の神奈川県と静岡県の境あたりにドカーンとぶつかって本州と一体化したのです。しかし、その時は、まだ山地ではありませんでした。

それから300万年後、今度はさらに沖にあった大きな島が、またまたフィリピン海プレートの移動で日本に近づいて来て、同じ場所にドカーンとぶつかったのです。これが現在の伊豆半島で、この時の衝撃で一気に隆起して誕生したのが丹沢山地なのです。あたしは中学生の時、夏休みの自由研究で丹沢山地へ行き、かつてのプレート境界の構造線の断層を観察しました。

先ほど「東日本が北米プレート、西日本がユーラシアプレートの上に乗っています」と書きましたが、日本列島の中で伊豆半島だけはフィリピン海プレートの上に乗っていて、今も本州を押し続けているのです。こうしたプレート移動の力によって、丹沢山地は今も隆起し続けているのです。

これと同じなのが「世界の屋根」と呼ばれているヒマラヤ山脈です。ユーラシア大陸の南側に三角形に出っ張っているインドは、もともとは地球の反対側、南半球にあった大陸の一部でした。これが、約1億3,500万年前のジュラ紀に大陸から分裂して、インド・オーストラリアプレートの移動で少しずつ北へと移動して、今から約4,000万年前にユーラシア大陸にドカーンとぶつかったのです。

伊豆半島がぶつかっただけでも高さ1,600メートルクラスの丹沢山地ができるのですから、遥かに巨大なインドがぶつかった衝撃はもの凄いパワーで、地面が一気に8,000メートル以上も隆起してヒマラヤ山脈が生まれました。そのため、ヒマラヤ山脈の頂上付近に見られる「イエローバンド」と呼ばれる化石の層からは、アンモナイトや三葉虫など、当時の海の生物の化石が見つかっているのです。インドとユーラシア大陸に挟まれた海の生物たちが、標高8,000メートルまで押し上げられたのです。

日本もこれと同じで、丹沢山地からはオウムガイやサンゴなどの化石が見つかっていますし、伊豆半島がぶつかった場所の神縄(かんなわ)断層でも、貝やサンゴの化石を見ることができます。これらの化石の年代を検証することで、丹沢や伊豆半島が本州にぶつかった時期を特定することができたのです。

ここで重要なのは、伊豆半島が乗っているフィリピン海プレートも、インドが乗っているインド・オーストラリアプレートも、今も動き続けていて、伊豆半島は本州を、インドはユーラシア大陸を、それぞれ押し続けてるということなのです。これらのプレートは年に5センチ前後しか移動していないので、ヒマラヤ山脈の成長も年に5ミリ程度ですが、これは「人間の時間」の感覚の話であって、何百万年、何千万年という「地球の時間」で考えたら、ものすごい速度で隆起し続けてることになるのです。

ちなみに、ヒマラヤ山脈の世界最高峰エベレスト、チベット語でチョモランマは、1954年の光学機器による測量で「8,848メートル」と計測され、以来、この数字が公式のものとされて来ました。しかし、科学は日進月歩です。現在では人工衛星を利用したGPSによる測量が可能になったため、ネパールと中国の合同チームが昨年、最新技術による測量を行ない、昨年12月8日、これまでより86センチ高い「8,848.86メートル」と発表しました。

1954年の測量が不正確だったのか、それとも、この65年間で86センチほどエベレストが隆起したのか、それは分かりません。しかし、プレートが動き続けいること、プレートとプレートが巨大な力で干渉し合っていることは事実ですし、その干渉によって、10年前の東日本大震災や今回の地震が起こったことも事実なのです。

日本の面積は、世界の陸地の総面積のわずか0.28%しかありません。しかし、世界で発生する巨大地震の約20%が、日本で発生しているのです。単純計算で他の国々の約100倍の地震発生率であり、その原因の1つが、この「4つのプレートの上」という世界唯一の立地なのです。そして、もう1つの原因は、確認されているだけでも2,000を超える活断層が、北海道から沖縄まで日本列島の下を縦横無尽に走っていることなのです。

その上、日本は世界有数の火山国です。これほど「負」の条件が揃っている国が、未だに原発をベースロード電源として再稼働を進めていること自体が正気の沙汰ではありません。そして、安全化するまで10万年も掛かる使用済み核燃料を地層処分するなどという責任放棄、これも決して許されるものではありません。

政府の地震調査委員会は、首都直下型巨大地震が30年以内に発生する確率を「70%」と試算しました。関東から九州まで壊滅する恐れのある南海トラフ巨大地震の発生も、すでに秒読み段階です。このような状況下で最優先すべき政策は、福島第1原発を始めとした全国すべての原発の一刻も早い廃炉であって、間違っても再稼働ではありません。

来月で東日本大震災から10年を迎えますが、未だに自宅に戻れない避難者は4万人を超えていますし、復興も道半ばです。そして、復興の最大の足かせになっているのが、福島第1原発の事故なのです。政府は、この事実を真摯に受け止め、二度と同じ轍を踏まないように、エネルギー政策の抜本的な転換を進めてほしいと思います。(『きっこのメルマガ』2021年2月17日号より一部抜粋・文中敬称略)

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