大学進学とともに地元を出ていった人たちが卒業後も戻ってこない。長く日本の課題として認識されているものの解決策は見えてきません。読者からのどんな相談にも答える『永江一石の「何でも質問&何でも回答」メルマガ』著者で、人気コンサルの永江一石さんなら、何かいいアイデアを持っているのでしょうか?最近奄美大島を訪れた永江さんは、島の人に聞いた現実を紹介したうえで、たいへん厳しい見方を示しています。
大学生のUターン就職を促進するために
Question
ひとつ質問があります。県外に進学した大学生のUターン就職を促進するためには、どのような取り組みが効果的ですか?
私は県外の大学に進学し、故郷に戻って、地元企業に就職したのですが、高校の同級生の多くは県外就職をしていました。大卒の人が地元に戻ってこない現実を目の当たりにしました。地方はこのままでよいのだろうか、と最近思います。永江様のお考えをご教示ください。
永江さんからの回答
地方へのUターン就職は、そもそも働き口がないので難しいですね。厳しいですが田舎は廃れていくほかないと思います。先日訪れた奄美大島の方に聞きましたが、Uターン就職で帰ってくるのは、
- 公務員になる人
- 実家の家業を継ぐ人
- 医療・福祉関係者
の3種類以外はいないそうです。一般的な企業に就職する普通の人は、働き口がないのでUターン就職すること自体が不可能とのこと。
もちろんリモートワークするエンジニアなど多少の例外はありますが、それでも閉塞感が強い地方に戻りたがるのはよほど地元に愛着がある人だけでしょう。
例えば市役所に就職して戻ると、地元の仕事を奪われるとか土日休み・残業なしが羨ましいとか誹謗されることもあるそうです。首都圏の大学を出た優秀な人が、あえてリテラシー低い人に囲まれて生活したいとも思わないですよね。
ですので残念ながら地方に戻ってくる人が増えることはないでしょう。これから人口も減って公共機関・医療機関の数も減るので廃れるばかりになると思います。
ただ、世界的な観光地をもっている地域は別です。屋久島やニセコ、伊勢志摩などは人口が増えています。
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