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政治の不甲斐なさが目立つ今あえて問う。リーダーに必要な資質とは何か?

少人数のグループの統率者から国の指導者まで、一口にリーダーと言ってもさまざまな立場があり、背負う責任も千差万別です。それでもどんな立場のリーダーでも、究極的に必要な資質の二本の柱は「創造性」と「楽観性」になるとリーダー論を説くのは、メルマガ『8人ばなし』著者の山崎勝義さんです。山崎さんは、この二本柱がそれぞれどのような要素で構成され、発揮されるべきものかを解説。翻って私たちのリーダー(日本の柱)に「二本の柱」が備わっているのか、問いかけています。

リーダーの資質のこと

果たして自分はリーダーというものに向いているのだろうか? こんな風に悩むリーダー(あるいはその予備軍)は意外と多いのではないか。そこで今回は、所謂リーダー論について考えてみたいと思う。

そもそもリーダーにはどのような資質が必要なのだろう。まず何と言っても一番に挙げるべきは「創造性(creativity)」である。この創造の力なからせば、如何なカリスマの言葉といえど忽ちにその説得力は失われ、皮相なものになってしまうであろう。では、それ程重要な「創造性(creativity)」というものを今改めてどのように分析することができるだろうか。

まず何よりも大切なのはその独創性(originality)である。そして合わせて重要視すべきなのがアイデア数(number of ideas)である。これらは、アイデアの質と量と言い換えてもいい。質はともかく量が必要なのは意外かもしれない。しかし、アイデアというものが究極的には一人の人間の思考より出たものである以上、そこには必ずどこか独りよがり的な要素が含まれるものである。そういった状況を補完するためにも、やはり数が要るという訳である。

さらに自らのアイデアを実現するためには他人の意見も容れなければならない。そこで柔軟性(flexibility)が必要となり、また周囲を納得させるためには周到さ(elaboration)も必要となる。

以上のことをまとめると、リーダーに必要な能力とは、独創的なアイデアを数多く出し、変わり行く状況に柔軟に対応し、行動に際しては周到に準備できることである。もっともこれらのことはリーダーに限らず誰にとっても大切なことでもある。つまり個人としてリーダー的であることが、集団を率いるリーダーとしても必要な第一の条件ということになるのである。

次にリーダーというものをまた別の側面から論じてみたいのである。それはリーダーとしての属性の話とは異なる、言ってみれば、リーダーとしての在り方の問題である。蓋し、物事には「何が」と「如何に」の二相が常にある。「what」と「how」の二相と言い換えてもいい。つまり前述の創造性(creativity)が「what」論であり、これから述べようとするのが「how」論ということである。

その「how」即ちリーダーの在り方を論ずる時、最も重要なのは何と言っても「楽観性(optimism)」である。この楽観性は先の創造性とは異なり、独りの場合ではさほど大切とも思えない。が、集団を率いるとなると何よりも大きな意味を持つのである。

そもそも成功の保証がないことに挑戦する、あるいはし続けること自体、考えてみればおそろしく楽観的なことである。多くの失敗、数少ない成功を積み重ね、それでもチームとして挫けることなく進んで行く。楽観の性質がなければ凡そ無理である。敢えて誤解をおそれずに言うと、バカ(=究極の楽観主義者)であることがリーダーには必要なのである。

ある大学(確かアメリカだったと思うが)が、解のない問題に取り組める時間とその人の性格を調査したところ、悲観的な人は平均60秒で諦めてしまうのに対し、そこそこ楽観的な人は90秒、とても楽観的な人は120秒挑み続ける、という結果が出た。粘り強いこと、これは答えの分かっていないプロジェクトに挑む時には何よりも大切である。諦めないこと、これもまた成功の第一条件であると言える。

ということは、究極的にリーダーに必要な二本の柱は「創造性」と「楽観性」ということになる。うち創造性は個人的な属性であり、楽観性は集団の中での個の在り方のことである。

さて、今こそ問うてみたいのである。こんな時世だからこそ問うてみたいのである。
「我々のリーダーは、本当にリーダーたるに相応しいだろうか」

image by: Shutterstock.com

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ここにあるエッセイが『8人ばなし』である以上、時にその内容は、右にも寄れば、左にも寄る、またその表現は、上に昇ることもあれば、下に折れることもある。そんな覚束ない足下での危うい歩みの中に、何かしらの面白味を見つけて頂けたらと思う。

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