先日掲載の「結局Sなの?Aなの? 2種類もできる『マンション評価制度』の大混乱」で、2022年4月のスタートが予定されている2つの集合住宅評価制度を取り上げた、マンション管理士の廣田信子さん。今回廣田さんは自身の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』で、そのうちの1つ、「マンション管理適正評価制度のランク付け」について詳しく紹介・解説しています。
【関連】結局Sなの?Aなの? 2種類もできる「マンション評価制度」の大混乱
マンション管理適正評価制度の仮評価の結果は…
こんにちは!廣田信子です。
● 結局Sなの?Aなの? 2種類もできる「マンション評価制度」の大混乱
に関して、マンション管理業協会のマンション管理適正評価制度のランク付けについて詳しく知りたいという声がありました。
まだ、評価基準正式には決まっていませんが、マンション管理業協会は、昨年3月に「マンション管理適正評価研究会」が取りまとめた評価基準で、仮評価を行っていて、その結果を3月30日に発表しています。
「マンション管理適正評価研究会」がとりまとめた評価基準(案)は次の5項目です。
■評価項目と配点
- 管理組合体制関係(20点)
・管理者の設置
・総会の開催、議事録の作成
・規約の整備状況 - 管理組合収支関係(40点)
・管理費会計の収支
・修繕積立金会計の収支
・滞納管理費等への対策
・修繕に関する資金計画の状況 - 建築・設備関係(20点)
・法定点検の実施
・長期修繕計画書の有無
・修繕履歴の保管 - 耐震診断関係(10点)
・耐震診断の実施の有無
・耐震診断結果、改修計画の予定の有無 - 生活関係(10点)
・設備等異常時の緊急対応
・消防訓練の実施
・防災マニュアル等の整備状況
それぞれの項目を点数化し、下記のランク付けをしています。
■評価ランク
S:特に秀でた管理状態 90~100点
A:適切な管理状態である 70~89点
B:管理状態の一部に問題あり 50~69点
C:管理状態に問題あり 20~49点
D:管理不全の恐れがある 0~19点
もっとくわしい内容が知りたい方は、「マンション管理適正評価研究会中間とりまめ」で検索してください。
仮評価の調査は、令和2年4月~12月にかけてアンケート形式で実施されたもので、回答会員社数は142社(会員社数358社のうち)、回答総数は70,107棟(受託棟数118,386棟のうち)。集計対象数は63,969棟(三大都市圏50,765棟、その他地域13,204棟)というかなり大掛かりなものでした。
その結果は、全体では
S:10.5%(6,714棟)
A:54.6%(34,921棟)
B:27.3%(17,482棟)
C:7.1%(4,549棟)
D:0.5%(303棟)
と、Aが圧倒的に多い結果になりなりました。三大都市圏(首都圏・近畿圏・中京圏)とその他地域を比較すると、分布割合に大きな違いはありませんでした。
年代別の内訳では…
Sランクは
1979年以前:2.2%
80~90年 :10.9%
91~2000年:24.5%
01~10年 :31.8%
11年以降 :30.7%
となり、築浅のマンションほどSランクの割合が高い傾向がありました。
Aランクは
1979年以前:7.7%
1980~90年:23.4%
91~2000年:31.3%
01~10年 :26,2%
11年~ :11.4%
となっています。
Dランクの年代別分布は
1979年以前 :30.4%
1980年~1990年:57.8%
1991年~2000年:7.9%
2001年~2010年:3.6%
2011年以降 :0.3%
と、9割近くが1990年以前となります。
1979年以前の6,790棟のS~Dの分布では
S:2.2%
A:39.4%
B:39.3%
C:17.3%
D:1.4%
1979年以前でSランクになっている2.2%はすごいですね。
あまりに管理状況が悪いマンションは回答していないのでは…という声もありましたが、これは、貴重な基礎的データとなります。管理会社が評価したものなので、信憑性はどうなんだろう。自社の評価を上げるために下駄をはかせることはないか…という声が管理会社の社員の方からもありましたが、そこは、チッェク体制等何らかの仕組みが検討されるのでないでしょうか。
今後の動向に注目です。
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