MAG2 NEWS MENU

コロナ禍でマンションのお祭り中止。補助金は管理組合に返すべき?

昨年度から新型コロナウイルスによる感染症予防のため、さまざまなイベントが中止や規模縮小を余儀なくされています。お住まいのマンション等のコミュニティ活動が取りやめになったという方も少なくないと思われますが、「補助金」問題は解決しているでしょうか。今回の無料メルマガ『まんしょんオタクのマンションこぼれ話』ではマンション管理士の廣田信子さんが、マンション管理組合と自治会の間における補助金の扱いについて、具体例を挙げつつ考察しています。

お祭り中止なら自治会は管理組合に返金しなければならない?

こんにちは!廣田信子です。

3月末決算、5月末総会の管理組合(一番多いパターン)では、4月は総会に向けての予算作成の最後の詰めの時期です。そのためか、管理費から自治会活動やイベントに支出することについて質問がいくつか来ています。

昨年度は、コロナ禍で、これまでのようにコミュニティ活動ができなかったことで、活動のあり方を見直そうという動きが出てきているように思います。昨年度は予算を組んでも、イベントを実施できなかったマンションも多いでしょうから…。

その中のひとつです。

補助金は返さなければいけない?

Aマンションでは、毎年、マンションのコミュニティ活動は、そのマンションの自治会が担っていて、お祭りの実施等の活動のために、毎年50万円の補助金が管理組合から自治会に支払われていました。その内訳は、自治会の中ではある程度報告されますが、管理組合の支出明細には出ません(ぼーんと50万円です)。

昨年度は、コロナ禍でお祭りも中止となりました。その他の活動もあまりできていません。その場合、管理組合から自治会に支払われた50万円は返却すべきなのでしょうか…。

どう思われますか。

毎年50万円を自治会に支払うに当たっての、細かい取り決めはありません。自治会は、コロナ禍でお祭り等ができなかったのは、自治会の責任じゃないのだから、返す必要はないと判断し、この50万円で、機器を新しく購入し、それでも余った分は住民に防災用品を配るという対応をしたのです。

もともと、お祭りの実施のために補助してほしいという話から始まったのに、それは、おかしいではないか。今年度はもう自治会への補助金の支払いはやめようという話が出て、自治会との間がごたごたしているというのです。そんなに揉めるぐらいなら、お祭りもやめてしまえば…というような声も出ているとのこと。

長らく、慣例で、自治会へ内容を明確にしない補助金を支出していたとしたら、コロナ禍は、それを見直すいいチャンスかもしれません。管理費会計では、ボールペン1本でも明細をしっかり記載しているのに、自治会活動補助金50万円…としてしまうのは、どう考えても、好ましいことではありません。

マンションのお祭りに関しては、一時的に立て替え金が必要でも、収支を最終的に黒字することは十分可能です(そうしているところもたくさんあります)。もし、諸事情で赤字が出るようなら、その分を補填するぐらいのことは、あってもいいと思いますが、お祭りを実施しなかったのに、自治会がもらったものとして勝手に使途を決めてもいい…という形のお金を管理費から支出するのは、好ましくありません。

自治会は、自治会として自立した会計でできる範囲の活動をしていけばいいと思いますし、管理組合活動にとっても重要な行事を行う場合は、管理組合と自治会が共催で行うことも考えられます。活動をしている立場としては、予算が急に減るのは不安なものですが、その気持ちが、支出を膨らませてきた側面もあります。

今期、自治体も、コロナ禍の影響で、収支が厳しくなって、さまざまな補助金が見直されています。コロナ禍で活動が止まった時を、ひとつのチャンスとして捉えているように思います。マンションのコミュニティ活動も、これまでのやり方を見直すひとつのチャンスだと思います。

image by: Shutterstock.com

廣田信子この著者の記事一覧

マンションのことなら誰よりもよく知る廣田信子がマンション住まいの方、これからマンションに住みたいと思っている方、マンションに関わるお仕事をされている方など、マンションに関わるすべての人へ、マンションを取り巻く様々なストーリーをお届けします。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 まんしょんオタクのマンションこぼれ話 』

【著者】 廣田信子 【発行周期】 ほぼ 平日刊

print

シェアランキング

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
MAG2 NEWSの最新情報をお届け